こんな相談がありました。GビズIDを取ったので経営事項審査を電子申請したいのですがという相談でした。実は、静岡県の場合、勝手にすきな時に電子申請できません!申請は必ず予約が必要になります。管内の土木事務所総務課建設業班まで予約しなければなりません。電子申請で予約がいるなんて思いませんよね!いるんです。しかも受審日も指定されてしまいます。それでは、静岡の経営事項審査電子申請(JCIP)について詳しく解説します。
GビズID
経営事項審査を電子申請するには、JCIPのログイン時に「gBizIDプライムアカウント」の登録が必要になります。GビズIDは、静岡県でも使えますが、国内共通の日本中で使えるIDです。法人代表者や個人事業主が取得するアカウントで、補助金申請などの各種行政サービスを複数の行政サービスに一つのIDで利用するための共通認証システムです。経営事項審査以外でも、いろいろ使えますのでぜひ申請しておいてください。
利用者は、本人の身元確認後にアカウントが発行され、マイナンバーカードを利用することで最短即日で取得できるオンライン申請と、印鑑証明書や登録印の提出が必要な郵送申請の2つの方法があります。
こちらから申請することができます。まずgBizIDプライムアカウントの申請をして取得します。gBizIDアカウントの取得には、2~3週間かかります。経営事項審査の申請が決まっている場合は、余裕をもって申請しておいてください。
GビズID申請先URL https://gbiz-id.go.jp/top

JCIPの書類関係の注意点
JCIP上でできない(完結しない)書類があります。JCIPにログインした後に、次の必要書類は、JCIP上にアップロードの上、提出しなければならないので、注意が必要です。
・利益額計算表
・工事種類別完成工事高計算表
・工事種類別元請完成工事高計算表(決算期変更等で12か月に満たない決算期間がある場合)
・経理処理の適正を確認した旨の書類
・建設機械の保有状況一覧表
・職員名簿
経営事項審査手続きの概要
紙で申請するにしても電子申請するにしても同じ考え方に基づいていますので、経営事項審査の手続きの概要をご説明しておきます。
経営事項審査の手続きは、まずは「決算変更届」を提出して、その後に「経営状況分析」を行って「経営状況分析結果通知書」を取得するという流れになります。
経営状況分析は建設業者が公共工事の受注資格を得るために必要な経営事項審査の「Y点」を算出する手続きのことです。国土交通大臣に登録された分析機関に会社の財務諸表などを提出して財務状況を会計的に評価・数値化することで、「経営状況分析結果通知書」が発行されます。
そして建設業許可を出した都道府県の建設業課において「経営規模等評価申請」を行うという流れですすめることになります。
経営状況分析結果通知書と決算変更届の内容を基に、建設業許可を出している都道府県の建設業課に経営規模等評価申請書を提出します。この申請によって総合評定値P点、Y点、技術評価点、M点の4項目で総合評定値が算出されます。

電子申請の流れ
受審予約
冒頭にも書きましたが電子申請をするは、必ず予約が必要になります!管内の土木事務所総務課建設業班まで予約してください。予約は審査前日の午後3時までに行っていただくともに、予約時に電子申請の旨をお伝えください。
・静岡土木事務所
静岡市駿河区有明町2番20号静岡総合庁舎
建設業班 電話 054-286-9309
・浜松土木事務所
浜松市中央区中央一丁目12-1
電話 053-458-7253
・下田土木事務所
下田市中531-1
電話 0558-24-2103
・熱海土木事務所
熱海市水口町13-15
電話 0557-82-9156
・沼津土木事務所
沼津市高島本町1-3
電話 055-920-2202
・富士土木事務所
富士市本市場441-1
電話 0545-65-2222
・島田土木事務所
島田市道悦5丁目7番1号
電話 0547-37-5271
・袋井土木事務所
袋井市山名町2の1
電話 0538-42-3210
書類送信(申請)
予約をすると審査日が決まりますので、審査日の前日の午後5時00分までに、JCIP上で書類を提出します。書類送信後、JCIP上のステータスが「確認待」と表示されていれば、申請が役所に届いています。審査日までお待ちください。
予約のない電子申請は審査が行われませんので、電子申請する場合は必ず予約をしてください。電子申請を行う場合は、必ず予約した後に行ってください。
審査当日
審査当日は、JCIP上で補正指示や内容説明が必要な場合がありますので、速やかに対応してください。
補正がある場合、原則として規定の審査日に補正指示がきます。「経営事項審査要領」に記載された日程表次回審査日(対象、決算月は問わず、)まで、または、1週間以内に補正をします。対応ができていない場合は、審査を継続することができないことがあります。
JCIPシステムヘルプデスクの電話番号は、0570-033-730(ナビダイヤル)です。
電子納付
審査完了後、JCIP上で納付指示がありますので、申請手数料をインターネットバンキングによって電子納付します。
静岡県収入証紙により納付する場合は、システムから用紙を印刷の上、書留(手数料が5万円超の場合は一般書留)などの補償付きの方法により静岡県庁交通基盤部建設業課まで送付します。
結果通知
JCIP上のステータスが「手続済」と表示されていれば、審査は終了です。申請日から約30日以内に結果通知書が届きます。
注意点
電子申請を行った場合でも、次回以降は紙申請することもできますが、その場合は電子申請で行った時の提出書類等はすべて紙での印刷が必要になります。
書類送信後、申請に必要な書類毎にいずれか書類(PDFファイル)が添付されていなかった場合は、審査日当日は審査を行われず、補正扱いになりますので必ず送信前に申請に必要な書類毎に、すべて書類(PDFファイル)が添付されているかどうか、確認してから送信してください。
また、虚偽申請に対しては処分が下る可能性があります。
申請書類に虚偽の記載をして提出した者は、6か月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられます(建設業法第50条第1項第4号)。
また、審査に必要な報告をせずに、もしくは資料の提出をせず、または虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者は、百万円以下の罰金に処せられます(建設業法第52条第4号)。
なお、申請書類に虚偽の記載をして提出して得た経営事項審査結果通知書を発注機関に提出した場合など、契約行為に関し不誠実な行為をした場合には、許可行政庁より指示または営業停止等の行政処分が科せられることがあります(建設業法第28条第1項第2号及び同条第3項)。
(参考)建設業法の経営事項審査について抜粋
建設業法の経営事項審査を規定されている条文です。
(経営事項審査)
第二十七条の二十三 公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
2 前項の審査(以下「経営事項審査」という。)は、次に掲げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとする。
一 経営状況
二 経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項
3 前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。
必要提出書類
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
会社の基本的事項を記入します。例えば、「どの業種で経審を受けるか?」「自己資本額・利益額はいくらか?」「技術職員数は何名か?」といった項目の入力が必要になります。
「申請・届出内容」画面の、「申請・届出書類」グリッド内、書類名「経営規模等評価申請書・総合評定値請求書」を押下します。
工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高
経審を受ける業種(工事の種類)ごとに、「完成工事高」と「元請完成工事高」を記入します。
「申請・届出内容」画面の、「申請・届出書類」グリッド内、書類名「工事種類別(元請)完成工事高」を押下します。
その他の審査項目(社会性等)
建退協への加入の有無・退職一時金制度の導入の有無・法定外労災の加入の有無・防災協定の締結の有無のほか、営業年数やISOの登録の有無などを入力します。
「申請・届出内容」画面の、「申請・届出書類」グリッド内、書類名「その他の審査項目(社会性等)」を押下します。
技術職員名簿
技術職員名簿には、審査基準日から遡って6か月を超える期間、常勤している技術職員を記載することができます。1人の技術職員あたり、2業種まで点数アップの評価対象にすることができます。
「申請・届出内容」画面の、「申請・届出書類」グリッド内、書類名「技術職員名簿」を押下します。
経営状況分析結果通知書
経審を受けるには、先に経営状況分析を受けて、結果通知書を入手しておかなければなりません。この経営状況分析結果通知書には、経審の審査項目の1つであるY点が記載されています。これは添付します。
直前3年の各事業年度における工事施工金額
決算変更届のなかに含まれている書類です。東京都の経営事項審査を受けるには、決算変更届の中にある「直前3年の各事業年度における工事施工金額」をコピーし、他の申請書類とともに提出する必要があります。
「申請・届出内容」画面の、「申請・届出書類」グリッド内、書類名「直前3年の各事業年度における工事施工金額」を押下します。
提出必要な資料
提出が必要な書類に記入した事項や記載した金額を確認するために必要な資料です。提出するのではなく提示するだけです。経審の審査が終わり次第、持ち帰ることができます。
・建設業許可通知書
現在有効な建設業許可の通知書です。建設業許可番号や許可業種を確認します。建設業許可通知書を紛失した方は、許可証明書を発行してもらうことによって、許可通知書に変えることができます。
・建設業許可申請書
現在有効な建設業許可の建設業許可申請書の副本一式です。建設業許可を取得した際もしくは建設業許可を更新した際の、副本を持参することが必要です。
・前回の経営事項審査申請書類
前年度の経審を受けた場合の書類です。前回の経審終了後に、副本に受付印が押印されています。はじめて経審を受ける会社は、必要ありません。
・変更届出書の副本
本店所在地の変更や経営業務管理責任者の変更や営業所技術者の変更などがあった場合、変更届の副本を持参しなければなりません。変更事項がない場合には、変更届の提出も必要ないので、変更届出書の副本の持参も必要ありません。
・決算変更届(決算報告)の副本
毎事業年度終了後4か月以内に許可行政庁に提出しなければならない決算報告です。「1.提出が必要な書類」の中の「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」で「2年平均を選択した場合」は2期分、「3年平均を選択した場合」は3期分の決算変更届を持参することが必要です。
・技術職員の常勤性の資料
「1.提出が必要な書類」の中にある「技術職員名簿」に掲載した技術職員が、審査基準日から遡って6か月を超える期間、会社に常勤していることを証明する資料です。
・雇用保険・健康保険・厚生年金保険の確認資料
雇用保険・健康保険・厚生年金保険に加入し、審査基準日において、保険料を納入していることが確認できる資料です。
・建設業退職金共済事業加入・履行証明願
建退協に加入している場合のみです。
・退職金制度や企業年金制度の確認資料
退職金制度や企業年金制度を導入している場合のみ。
・法定外労災への加入を証明する資料
法定外労災に加入している場合のみ、保険会社に発行してもらう加入証明書が必要。
・消費税確定申告書(控え)
「決算変更届」や「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」に記載した完成工事高(および総売上高)が、消費税の課税標準金額を上回っていないかを確認するために必要な書類。
・消費税納税証明書その1
税務署から発行してもらう審査対象事業年度分の消費税の納税証明書その1。
・工事請負契約書など
決算変更届で提出した工事経歴書の上位3件について、工事の実績を証明するために「工事請負契約書」「注文書・請書」「請求書・入金通帳」のいずれかを持参します。
最後に
たしかに、このように個人でも申請できますが、このようにかなりの書類を用意して、たとえ電子申請とは言え、かなり煩雑な手続きになります。電子申請でもリアルの手続きとあまり変わりません。ぜひ、静岡の行政書士法人アラインパートナーズにお任せください。