国民健康保険被保険者証・雇用保険関係などで経営業務の管理責任者(経管)と営業所技術者の常勤性の確認する基準について解説します。
静岡の行政書士法人アラインパートナーズです。日頃の建設業許可業務のご質問などの経験に基づいて、建設業者様にぜひ知って頂きたい建設業許可の基礎知識を信頼性が高く権威のある静岡県の手引きを基に、アラインパートナーズの日常業務経験のノウハウを加えてわかりやすく解説します。
建設業許可を受けるための経営業務の管理責任者(常勤役員など)と営業所の技術者は、いずれも本店などの営業所に専任、常勤している必要があります。アルバイトなどの非正規雇用は認められておらず、原則として他の会社での常勤と重複することもできません。
常勤性の確認方法の流れ
経営業務の管理責任者及び営業所の専任技術者が常勤であることの確認方法としては、原則として、健康保険被保険者証によって社会保険の被保険者となっていることによって常勤と判断されます。
健康保険被保険者証により常勤であることが確認できない場合は、次の方法などで確認されることになります。
被認定者の「国民健康保険被保険者証」に加えて、次の確認資料により常勤であることを確認します。
1.社会保険関係
「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書」(新規適用者等)などで確認します。
次のいずれか一つを提出します。
・健康保険及び厚生年金保険の保険料の納入に係る領収証書
・健康保険及び厚生年金保険の納入証明書(原本)
いずれも、申請時の直前のものであることが必要です。
「健康保険・厚生年金保険 被保険者標準報酬決定通知書」は、従業員の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の計算基準となる「標準報酬月額」が決定したことを知らせる書類です。日本年金機構や健康保険組合から会社宛てに送付されます。
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書」は、従業員の入社時に会社が年金事務所へ提出した「資格取得届」の内容が確認され、最初の社会保険料(標準報酬月額)が決定されたことを知らせる書類です。
2.雇用保険関係
社会保険(健康保険・厚生年金)の「適用除外」ということもあります。法律上、社会保険の加入義務がある「適用事業所」に勤務していたとしても、一定の条件を満たす人については、被保険者(加入者)として認めない(除外する)制度があります。雇用期間が短い、あるいは働き方が限定的な場合、75歳以上の高齢者、船員保険の被保険者などは、適用除外となります。75歳以上の高齢者は、後期高齢者医療制度に加入するため、健康保険の適用から除外されます。
社会保険の適用除外等の場合は、雇用保険関係で確認されることになります。
「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」
「事業所別被保険者台帳決定通知書」などで確認します。
次のいずれか一つを提出します。
・労働保険概算・確定保険料申告書の控え及びこれにより申告した保険料の納入に係る領収済通知書(両方必要)
・雇用保険料納入証明書等(原本)
いずれも、申請時の直前のものであることが必要です。
「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」は、会社が新しく従業員を雇い入れ、ハローワークに雇用保険の加入手続きを行った際、その処理結果として交付される公的な通知書です。
事業所別被保険者台帳決定通知書は、ハローワーク(公共職業安定所)に対して、会社が申請を行うことで発行される、その事業所で雇用保険に加入している従業員の一覧表(公的な証明書類)です。従業員の雇用保険加入状況の確認や、公的な手続きの証明書類として用いられます。
3.特別徴収関係
同じく社会保険の適用除外等の場合は、特別徴収関係で確認します。
「住民税特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)」
「普通徴収から特別徴収への切替届出書」(新設法人、雇用直後の場合)などで確認します。
「住民税特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)」は、市区町村が計算した従業員の住民税額を、給与を支払う事業者(会社)に通知するための書類です。会社ではこの通知書をもとに、毎月の従業員の給与から住民税を天引き(特別徴収)し、自治体に納付します。
「普通徴収から特別徴収への切替届出書」は、自営業や転職などの理由で、自分で市県民税(住民税)を納付していた人(普通徴収)が、会社などの給与天引き(特別徴収)へ納税方法を切り替えるために市区町村へ提出する書類です
4.その他常勤であることを確認できる書類
専従者、事業所で従業員が5人未満の場合などのケースです。
法人役員の場合
「法人税確定申告書」に添付された「役員報酬手当等及び人件費の内訳書」(当該書類に事業年度が記載されていない場合は「法人税確定申告書 別表一」等事業年度が分かる書類を併せて添付)などで確認します。
法人役員以外の場合
「賃金台帳」、「源泉徴収簿」などで確認します。
「賃金台帳」、「源泉徴収簿」等で確認する場合、著しく低い報酬・賃金(月額12万円を目安)で雇用されている者については、常勤として認められません(正当な理由がある場合を除く。)。
賃金台帳は、従業員に支払った給与の額や労働日数、労働時間数などを記録する帳簿のことです。労働基準法で定められた「法定三帳簿」のひとつで、雇用形態(正社員、パート、アルバイトなど)を問わず、すべての従業員を対象に作成・保管が法的に義務付けられています。
兼務役員の場合
被認定者が他社の役員等を兼任している場合は、次のいずれにも該当する場合に限り常勤の者として認められます。
・他に専任技術者となる者がいない場合
・申請者(届出者)において、以下のいずれかの方法で常勤性が確認できた場合
ア 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書により、申請者において常勤であることが確認できた場合(2以上事業所勤務被保険者の場合を除く。)
イ 2以上事業所勤務被保険者の場合にあっては、申請者及び兼務会社それぞれの役員報酬が分かる書類等により、申請者において常勤であることが判断できた場合

参考資料
国土交通省ホームページ(土地・不動産・建設業)
静岡県建設業許可の手引き
Q&A
まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。
Q)経営業務の管理責任者や営業所技術者には常勤性が必要ですか?
A)はい。建設業許可では、経営業務の管理責任者(経管)や営業所技術者は営業所に常勤している必要があります。
Q)常勤とはどのような状態ですか?
A)原則として、通常の勤務時間中に営業所へ継続的に勤務し、専らその職務に従事している状態です。
Q)アルバイトでも経管や営業所技術者になれますか?
A)原則として認められません。非正規雇用では常勤性を満たさないと判断されることがあります。
Q)他社で常勤しながら経管や営業所技術者になれますか?
A)原則としてできません。他社との常勤重複は認められないのが基本です。
Q)常勤性はどのように確認されますか?
A)原則として、健康保険被保険者証など社会保険関係資料により確認されます。
Q)健康保険被保険者証で何を確認するのですか?
A)申請会社で社会保険に加入していることを確認し、常勤性を判断します。
Q)健康保険証だけで常勤性確認が終わりますか?
A)場合によります。健康保険証で確認できない場合は、追加資料が必要になります。
Q)国民健康保険加入者でも常勤性は認められますか?
A)はい。ただし、追加の確認資料が必要になります。
Q)社会保険関係で常勤性確認をする場合の資料は何ですか?
A)主に次の資料です。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
Q)健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書とは何ですか?
A)従業員の標準報酬月額が決定されたことを通知する書類です。
Q)標準報酬決定通知書はどこから発行されますか?
A)日本年金機構や健康保険組合から会社へ送付されます。
Q)健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書とは何ですか?
A)従業員の社会保険加入時に発行される確認通知書です。
Q)社会保険関係の追加資料には何がありますか?
A)次のいずれかを提出します。
- 健康保険及び厚生年金保険料の領収証書
- 健康保険及び厚生年金保険の納入証明書
Q)納入証明書はいつ時点のものが必要ですか?
A)申請時直前のものが必要です。
Q)社会保険の適用除外とは何ですか?
A)一定条件により社会保険加入対象外となる制度です。
Q)社会保険の適用除外になるのはどのような人ですか?
A)短時間勤務者、75歳以上の高齢者、船員保険加入者などです。
Q)75歳以上は健康保険に加入できませんか?
A)後期高齢者医療制度へ加入するため、通常の健康保険は適用除外となります。
Q)社会保険適用除外の場合はどうやって常勤性を確認しますか?
A)雇用保険関係資料や住民税特別徴収関係資料などで確認します。
Q)雇用保険関係で常勤性確認をする資料には何がありますか?
A)主に次の資料です。
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
- 事業所別被保険者台帳決定通知書
Q)雇用保険被保険者資格取得等確認通知書とは何ですか?
A)雇用保険加入手続後にハローワークから発行される通知書です。
Q)事業所別被保険者台帳決定通知書とは何ですか?
A)雇用保険加入者一覧を示す公的証明書です。
Q)雇用保険関係の追加資料には何がありますか?
A)次のいずれかが必要です。
- 労働保険概算・確定保険料申告書控えと領収済通知書
- 雇用保険料納入証明書
Q)労働保険概算・確定保険料申告書とは何ですか?
A)労働保険料の申告内容を記載した書類です。
Q)雇用保険料納入証明書は原本が必要ですか?
A)はい。原本提出が必要です。
Q)特別徴収関係で常勤性確認をする場合の資料は何ですか?
A)主に次の資料です。
- 住民税特別徴収税額決定通知書
- 普通徴収から特別徴収への切替届出書
Q)住民税特別徴収税額決定通知書とは何ですか?
A)市区町村が会社へ通知する住民税額通知書です。
Q)特別徴収とは何ですか?
A)会社が給与から住民税を天引きして納付する制度です。
Q)普通徴収から特別徴収への切替届出書とは何ですか?
A)住民税納付方法を給与天引きへ変更するための書類です。
Q)社会保険未加入でも常勤性確認は可能ですか?
A)一定条件下では可能ですが、追加資料提出が必要です。
Q)法人役員の常勤性確認資料には何がありますか?
A)法人税確定申告書に添付された役員報酬内訳書などがあります。
Q)役員報酬手当等及び人件費の内訳書とは何ですか?
A)法人税申告書に添付される役員報酬等を記載した書類です。
Q)法人役員以外の常勤性確認資料には何がありますか?
A)賃金台帳や源泉徴収簿などがあります。
Q)賃金台帳とは何ですか?
A)従業員の給与や労働時間等を記録する法定帳簿です。
Q)賃金台帳は作成義務がありますか?
A)はい。労働基準法により作成・保管義務があります。
Q)源泉徴収簿とは何ですか?
A)給与支払時の所得税徴収内容を記録した書類です。
Q)報酬額が低い場合でも常勤と認められますか?
A)著しく低額な場合は常勤性を否定されることがあります。
Q)常勤性で問題となる低額報酬の目安はいくらですか?
A)月額12万円程度が目安とされています。
Q)低賃金でも常勤と認められることはありますか?
A)正当な理由があれば認められる場合があります。
Q)専従者でも常勤性確認はできますか?
A)はい。一定資料により確認されます。
Q)従業員5人未満の事業所ではどう確認されますか?
A)賃金台帳や税務資料などで確認されることがあります。
Q)兼務役員とは何ですか?
A)他社役員等を兼任している役員のことです。
Q)兼務役員でも常勤として認められますか?
A)一定条件を満たす場合に限り認められます。
Q)兼務役員が常勤として認められる条件は何ですか?
A)他に専任技術者がいないことなど一定要件があります。
Q)兼務役員の常勤性はどのように確認しますか?
A)健康保険標準報酬決定通知書や役員報酬資料等で確認します。
Q)常勤性確認で健康保険証だけでは足りないことがありますか?
A)はい。追加資料提出を求められることがあります。
Q)建設業許可で常勤性確認が厳しい理由は何ですか?
A)名義貸し防止や営業所実態確保のためです。
Q)営業所に実際に勤務していない場合はどうなりますか?
A)常勤性が認められず、許可要件を欠く可能性があります。
Q)常勤性確認資料は申請時だけ必要ですか?
A)更新や変更届時にも確認されることがあります。

