建設業許可を取得する際、「屋根工事」「タイル・れんが・ブロック工事」「石工事」のどれに該当するのか判断に迷うことがありますが、これらは似ているようで、法令上は明確に区分されています。
国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」や建設業法第2条に基づき、各工事の定義・違い・具体例・許可取得のポイントまで、行政書士が静岡県建設業許可手引きなどにも準拠して、わかりやすく解説します。
屋根工事とは
屋根工事とは、瓦、スレート、金属板などを用いて屋根をふく工事をいいます。
- 屋根工事の具体例としては次のようになります。
- 瓦屋根の施工・葺き替え
- スレート屋根施工
- 金属屋根(ガルバリウム鋼板など)
- 雨漏り修理(屋根部分に限る)
「屋根の防水」も含みますが、防水層のみの施工は防水工事に該当します。太陽光パネル設置は原則「電気工事」です。板金屋根工事も『板金工事』ではなく『屋根工事』に該当します。
太陽光発電設備の設置工事は電気工事に該当し、太陽光発電パネルを屋根に設置する場合は、屋根等の止水処理を行う工事が含まれます。
タイル・れんが・ブロック工事とは
タイル・れんが・ブロック工事とは、タイル・れんが・コンクリートブロックなどを積み、張り、または据え付ける工事をいいます。
- タイル・れんが・ブロック工事の具体例は次のとおりです。
- 外壁タイル張り
- 内装タイル施工
- ブロック塀設置
- レンガ積みの花壇
「装飾性・仕上げ」の性格が強く、構造物でも比較的小規模なものが多いです。意匠性(見た目)を整える「貼り付け」だけでなく、構造物を作る「積み上げ」も含まれるのが特徴です。
石工事とは
石工事とは、石材(自然石・加工石)を加工し、積み、張り、据え付ける工事です。
- 石工事の具体例としては次の通りとなります。
- 石積み擁壁
- 石張り外構
- 墓石設置
- 石階段施工
重量物・構造物としての性格が強く、土木工事に近い性質を持つ場合もあります。「タイル工事」と混同されやすいですが、使用する材料の「厚み」や「重量」、そして「施工方法(乾式か湿式か)」で区別されることが多いです。
屋根工事とタイル・れんが・ブロツク工事の違い
| 区分 | 屋根工事 | タイル・れんが・ブロック工事 |
|---|---|---|
| 主用途 | 屋根の防水・保護 | 壁・外構・仕上げ |
| 材料 | 瓦・金属・スレート | タイル・レンガ・ブロック |
| 部位 | 建物上部 | 壁・床・外構 |
屋根にタイル風素材を使っても「屋根工事」になります。外壁に瓦を貼れば「タイル工事扱いになる可能性があります。
スレート張り工事とは、スレートを外壁等にはる工事を内容としており、スレートにより屋根をふく工事は「屋根ふき工事」として屋根工事に該当します。
タイル・れんが・ブロツク工事と石工事の違い
| 区分 | タイル等工事 | 石工事 |
|---|---|---|
| 材料 | 人工製品中心 | 自然石・加工石 |
| 性質 | 仕上げ・装飾 | 構造・重量物 |
| 工事規模 | 比較的小規模 | 大規模になりやすい |
石材かどうかがポイントです。同じ張り工事でも材料で区分が変わります。
とび・土工・コンクリート工事のコンクリートブロック据付け工事と石工事やタイル・れんが・ブロツク工事のコンクリートブロック積み(張り)工事の区分の考え方は次のとおりです。
根固めブロック、消波ブロックの据付け等土木工事において規模の大きいコンクリートブロックの据付けを行う工事、プレキャストコンクリートの柱、梁等の部材の設置工事等はとび・土工・コンクリート工事のコンクリートブロック据付け工事となります。
建築物の内外装として擬石等をはり付ける工事や法面処理、擁壁としてコンクリートブロックを積み、はり付ける工事等は石工事のコンクリートブロック積み(張り)工事となります。
コンクリートブロックにより建築物を建設する工事などがタイル・れんが・ブロツク工事のコンクリートブロック積み(張り)工事であり、エクステリア工事としてこれを行う場合も石工事となります。
建築物の外壁に「石材」を貼る場合、それが薄い石タイルのようなものであれば「タイル工事」、厚みのある石板を金物で固定するなら「石工事」と判断します。
建設業許可を屋根工事で申請すべき具体例
- 次の場合は屋根工事業での建設業許可が必要です。
- 瓦屋根専門業者
- 屋根リフォーム業者
- 雨漏り修理業(屋根主体)
- 金属屋根施工会社
外壁塗装中心であれば塗装工事で、防水のみであれば防水工事です。
建設業許可をタイル・れんが・ブロツク工事で申請すべき具体例
- 次の場合はタイル・れんが・ブロツク工事での建設業許可が必要です。
- 外壁タイル施工業者
- ブロック塀施工業者
- エクステリア業者(ブロック・レンガ中心)
- 内装タイル職人
建設業許可を石工事で申請すべき具体例
- 次の場合は石工事での建設業許可が必要です。
- 石材店(墓石施工含む)
- 石積み擁壁業者
- 日本庭園の石組施工業者
- 石張り外構業者
タイル工事で申請してしまうこともありますが、石材なら石工事になります。
屋根工事・タイル工事・石工事の建設業許可要件
経営業務の管理責任者(建設業法第7条1号)
- 経管の要件は次のとおりです。
- 5年以上の経営経験(または準ずる経験)
- 法人役員または個人事業主としての実績
営業所技術者(旧:専任技術者)
- 営業所技術者の要件は次のいずれかです。
- 指定学科と実務経験
- 10年以上の実務経験
- 国家資格
該当資格例
屋根工事:建築施工管理技士など
タイル・れんが・ブロック工事:タイル張り技能士など
石工事:石材施工技能士など
財産的基礎
- 建設業許可の財産的基礎要件は次のいずれかです。
- 自己資本500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力
誠実性・欠格要件
- 建設業許可の誠実性・欠格要件は次のとおりです。
- 不正・不誠実な行為がないこと
- 欠格事由に該当しないこと
ポイントと注意点
国土交通省の指針では、「主たる工事の内容・目的・材料により判断する」とされています。
判断の優先順位は、1. 何を作る工事か(目的)、2. 何を使うか(材料)、3. どこに施工するか(部位)です。
業種違いは無許可施工となり、建設業法違反(第3条)となります。元請からの指摘があれば、契約不可となることもあり、経審・入札で不利になります。
屋根工事は、屋根をふく工事で、タイル・れんが・ブロック工事は張る・積む仕上げ工事です。石工事は石材を使う重量・構造工事です。これらは似ているところがあっても、材料と用途で明確に区分されます。
Q&A
まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。

