静岡の行政書士法人アラインパートナーズです。日頃の建設業許可業務のご質問などの経験に基づいて、建設業者様にぜひ知って頂きたい建設業許可の基礎知識を信頼性が高く権威のある静岡県の手引きを基に、アラインパートナーズの日常業務経験のノウハウを加えてわかりやすく解説しています。
建設業の許可を取得する場合、重要な要件の一つが経営業務の管理責任者ですが、経管が、健康保険・厚生年金保険・雇用保険などの社会保険に適切に加入しているか否かは、許可の審査において重要なチェックポイントとなります。詳しく解説します。
お願い!:恐れ入りますが、お問い合わせについては、静岡県の方で建設業許可に関する内容でお願い致します。
経営業務の管理責任者とは
経営業務の管理責任者(経管)は、建設業法第7条第1号および第15条第1号に定められた建設業許可における人的要件のひとつです。
建設業を経営するには、技術者(営業所技術者や主任技術者など)を配置するだけでなく、経営に関して継続的で会社経営を管理した経験がある者が会社にいることが求められます。
経管は、法人の場合は常勤の役員(取締役、執行役など)が、一人親方などの個人事業主の場合は事業主本人または支配人が該当します。
経管は会社の主要な経営者であり、建設業を安定的に運営できる能力を証明するための重要な資格要件です。

経営業務の管理責任者の要件
経管の要件は、令和2年10月の建設業法改正により大きく緩和されました。経営業務の管理責任者として個人を特定して配置する制度ではなく、経営業務の管理責任を適正に遂行できる体制を有していることが求められています。
- 経営業務の管理責任者の要件は次のいずれかの体制が整っている必要があります。
- 役員などが建設業の経営業務の経験があること(過去に建設業の経営業務に携わった経験がある役員が在籍)
- 経営業務を補佐する者(補佐経験者)が在籍していること(補佐経験5年以上の管理職など)<令和2年10月改正後の要件>
この体制を裏付けるために建設業許可申請では健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入状況が審査の対象となっています。とくに「常勤性」が必要なために社会保険加入は実務上の必ず必要な要件のひとつとなっています。
社会保険などのうち、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険にそれぞれ適切に加入している者を、経営業務の管理を適切に行う能力があると認められます。
このうち健康保険と厚生年金保険は、法人および常時5人以上の従業員を雇用している事務所が原則加入する義務があります。
また、雇用保険は法人や個人事業主で従業員を1名でも雇用している場合は原則加入する義務があります。

健康保険
法人が建設業を営む場合には社会保険(健康保険・厚生年金保険)は原則として強制適用されます。
健康保険法第3条および第48条によって、法人(株式会社・合同会社など)は、役員を含めて「常時使用する者が1人以上いる場合」は健康保険の適用事業所になります。
経営業務の管理責任者が役員である場合でも、報酬を受けて常勤していれば健康保険の加入が必要です。もし、経管が社会保険未加入である場合、許可行政庁(静岡県知事など都道府県または国土交通大臣)は常勤性が認められないとして、建設業許可要件を満たさないと判断することがあります。
経管が個人事業主本人である場合は、国民健康保険に加入します。
厚生年金保険
厚生年金保険法第6条によって健康保険と同じく法人の事業所は強制適用事業所です。経営業務の管理責任者が常勤役員として報酬を得ている場合、厚生年金保険にも加入していることが求められます。
- 建設業許可申請の場合では社会保険の加入状況を証するために次の書類の提出が求められる場合があります。
- 健康保険・厚生年金保険の事業所整理番号や保険適用通知書
- 経営業務の管理責任者の被保険者資格取得確認通知書
社会保険未加入のまま申請を行うと、実務上は「常勤性を確認できない」と判断されることが多いため、加入手続きを済ませてから申請するのが原則です。
雇用保険
雇用保険は、経管が役員である場合、原則として被保険者にはなりませんが、会社の役員であっても実態として従業員と同様に勤務し、雇用契約に基づいて労働している場合には、雇用保険の被保険者となることがあります。たとえば、部長などで、従業員としての実態と労働者としての報酬があり、雇用関係が明確な場合は、例外的に加入が認められる場合があります。また、業務執行権を持たない監査役など、形式的に役員であっても、実態として労働者性が強い場合は加入できることがあります。
従業員については雇用保険の全員の加入義務があります。建設業の許可更新や監督処分の場面では、全従業員の社会保険加入状況が確認されるため、経管本人だけでなく、会社全体の保険整備が必要です。
適用除外
- 次のような場合は、社会保険の適用除外となることがあります。
- 70歳以上の者(厚生年金保険は適用除外、ただし健康保険は加入可能)
- 非常勤役員(勤務実態・報酬が少なく、常勤性がない場合)
- 個人事業主本人(健康保険・厚生年金は国民健康保険・国民年金に加入)
ただし、建設業許可で「常勤性」を満たすためには、勤務実態があり、常時事業に従事していることが必要です。
適用除外者であっても、勤務実態があるならば、社会保険未加入では常勤性が疑われるため注意が必要です。
静岡においては75歳以上の方は、健康保険の加入義務はありませんが、後期高齢者医療制度に加入している等適切な保険制度に加入していることが確認されます。
<静岡の適用除外詳細>
社会保険等において、次の事例のいずれかに該当する場合は、該当する保険に加入義
務が生じない「適用除外」となります。この場合、社会保険等の加入義務がありませんので、「適切な社会保険」に加入しているとみなします。
(健康保険及び厚生年金保険)
・常勤の雇用従業員(家族労働者を除く)が4名以下の個人事業所(短期労働者を除く)
・健康保険の被保険者の適用除外の承認を受けている保険団体(例:全国建設工事業国民健康保険組合、全国土木建築国民健康保険組合等)に加入している場合
(雇用保険)
・常勤者が役員しかいない法人(一人親方を含む。)
・従業員が次の雇用形態しか該当しないもの
週の労働時間が20時間未満の者
31日以上継続して雇用する予定がない者
学生、生徒
社員(全員)加入
建設業では社会保険未加入対策が強化されています。国土交通省は、建設業許可・入札参加資格審査・公共工事受注の各段階で、全社員の社会保険加入を求める方針を明確化しています。
経営業務の管理責任者本人だけでなく、技術者、現場作業員、事務職員など、すべての従業員が適正に社会保険に加入していることが必要になります。
社会保険未加入のままでは、許可申請や更新で不利益を受けるだけでなく、元請業者からの取引停止・入札排除といった実務的リスクも生じます。
まとめ
経営業務の管理責任者における社会保険の加入は、単なる福利厚生ではなく、建設業許可の前提条件として扱われます。
申請の前には、必ず社会保険の適用状況を確認し、「常勤性」と「適正な加入体制」を整えておくことが必要です。
どのような社会保険の資料が必要なのか、よくわからない場合は、静岡の方は無料で相談させてもらってますので、気兼ねなく静岡の行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。親身になってご回答いたします。

