静岡の行政書士法人アラインパートナーズです。日頃の建設業許可業務のご質問などの経験に基づいて、建設業者様にぜひ知って頂きたい建設業許可の基礎知識を信頼性が高く権威のある静岡県の手引きを基に、アラインパートナーズの日常業務経験のノウハウを加えてわかりやすく解説します。
財産的基礎の要件も、建設業許可要件でよく言われる「500万円の壁」とよく似ているために、よくわからないというご質問がありますので、ここで詳しく解説します。
ほとんどの建設業の方は、一般建設業ですが、一般建設業であれば財産的基礎は自己資本の額が500万円以上である者、500万円以上の資金調達能力がある者、許可申請直前の過去5年間許可を継続して営業してきた者のいずれかということになりますが、それでは、特定建設業も含めて詳しく解説します。
建設業許可の財産的基礎とは
建設業許可の財産的基礎とは、建設工事を適正に遂行できるだけの資力があることを示す要件のことです。
建設工事をおこなうには、資材の購入や労働者の確保、機械器具や機材などの購入などにおいて、一定の準備資金が必要になりますし、営業活動を行うには、ある程度の資金を確保していることが必要です。
建設業許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎などがあることが許可の要件となっています。
特定建設業の許可を受けようとする場合は、この財産的基礎等の要件を一般建設業よりも高く設定されています。特定建設業者は多くの下請負人を使用して工事を施工することが一般的であることと、特に健全な経営が要請されることや、発注者から請負代金の支払いを受けていない場合であっても、下請負人には工事の目的物の引渡しの申し出がなされてから50日以内に下請代金を支払う義務が課せられていることなどの理由からそうなっています。
倒産することが明らかである場合を除いては、建設業の請負契約を履行するに足りる財産的基礎、または金銭的信用を有していることが必要になります。
この基準に適しているかどうかの判断は、原則として、既存の企業にあっては、申請時の直前の決算期における財務諸表(貸借対照表)によって、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表(貸借対照表)により監督官庁によって判断されます。
財産的基礎の法的根拠
建設業法で財産的基礎の法的根拠を確認しておきましょう。財産的基礎は、建設業法の第7条第4号と第15条第3号で規定されています。
それぞれ、建設業法からの引用です。
建設業法第7条
建設業法第7条第4号
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。四 請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。
建設業法第15条
建設業法第15条第3号
(許可の基準)
第十五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、特定建設業の許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。三 発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること。

一般建設業と特定建設業
財産的基礎は、一般建設業と特定建設業では異なっています。国土交通省のサイトの資料を基に、一般建設業と特定建設業について解説しておきます。
建設業の許可は、下請契約の規模などによって「一般建設業」と「特定建設業」の別に区分されています。
この区分は、発注者から直接請け負う工事1件につき、5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結するか否かで区分されています。
発注者から直接(元請負人として)請け負った工事については、5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結する場合には、特定建設業の許可が必要になります。
上記以外では、一般建設業の許可で問題ありません。
なお、下請契約の締結に係る金額について、2025年(令和7年)2月1日より、建築工事業の場合は7,000万円から8,000万円に、それ以外の場合は4,500万円から5,000万円に、それぞれ引き上げられました。いまだにインターネットでは、古い金額が書いてありますが、最新の金額は上記のとおりです。間違いないようにお願いします。
発注者から直接請け負う請負金額については、一般と特定に関わらず制限はありません。請け負うのみであれば、金額がいくらであるかに関わらず一般建設業の許可で問題ありません。
また、発注者から直接請け負った1件の工事が比較的規模の大きな工事であっても、その大部分を自社で直接施工するなど、常時、下請契約の総額が5,000万円未満であれば、一般建設業の許可でも問題ありません。
上記の下請代金の制限は、発注者から直接請け負う建設工事(建設業者)に対するものであることから、下請負人として工事を施工する場合には、このような制限はかかりません。

財産的基礎
まず、財産的基礎をわかりやすく、箇条書きで書いておきます。
財産的基礎は次のようになります。
- 一般建設業の財産的基礎要件は次のいずれかに該当することです。
- 自己資本の額が500万円以上である者
- 500万円以上の資金調達能力がある者
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者
特定建設業は次のようになります。
- 特定建設業の財産的基礎要件は次のいずれかに該当することです。
- 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000 万円以上あること
- 自己資本の額が4,000 万円以上あること
「自己資本」とは
法人の場合であれば、貸借対照表における純資産合計の額のことです。個人の場合であれば、期首資本金、事業主借勘定および事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額のことになります。
「500万円以上の資金を調達する能力」とは
担保とすべき不動産などを所有していることなどによって、金融機関などから500万円以上の資金について融資を受けられる能力があることになります。具体的には、取引金融機関の融資証明書または残高証明書によって所轄官庁で確認することになります。
「欠損の額」とは
法人の場合であれば、貸借対照表の繰越利益剰余金がマイナスである場合に、その額が資本剰余金、利益準備金及び任意積立金の合計額を上回る額のことになります。
繰越利益剰余金は、利益のうち、配当や準備金などに使われずに社内に蓄積されたお金(内部留保)の累計額です。
資本剰余金とは、株主からの出資金のうち「資本金」に組み入れなかったものや、自己株式の処分差益など資本取引によって生じた余剰金のことです。
個人の場合、事業主損失が事業主借勘定の額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金、および準備金を加えた額を上回る額のことです。
(法 人)
繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+その他の利益剰余金)≦0.2×資本金*繰越利益剰余金が正の額の場合は、欠損額なし。
(個 人)
事業主損失-(事業主借勘定-事業主貸勘定+準備金)≦0.2×期首資本金簡潔に記載すると、最終の決算日の貸借対照表(12/31)の資産合計-負債合計=自己資本
「流動比率」とは
流動資産を流動負債で除して得た数値を百分率で表したものをいいます。
(法人・個人)
流動資産合計÷流動負債合計×100 ≧ 75%
「資本金」とは
法人の場合、株式会社の払込資本金、持分会社などの出資金の額のことです。個人の場合であれば、期首資本金のことになります。
期首資本金とは、会計期間の始まり、期首における資本の金額のことで、貸借対照表の「純資産の部」に記載されます。
前期末の純資産合計額である資産合計-負債合計が当期の期首資本金になります。これは、事業の財産が期首時点でどれだけあるかを把握するために必要となって、個人事業主の場合は「元入金」として扱われることもあります。
Q&A
わかりづらいところもあったと思いますので、まとめをかねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。


