建設業許可の中でも、「電気工事」「機械器具設置工事」「電気通信工事」は混同されやすい業種ですが、設備系工事では、どの業種で許可を取得するのかがわかりづらいので、行政書士が国交省の建設業許可事務ガイドラインや静岡県の建設業許可の手引きなどに準拠して、わかりやすく解説します。
電気工事とは
電気工事とは、発電・送電・配電および電気設備の設置に関する工事をいいます。
- 電気工事の主な工事内容は次のとおりです。
- 屋内外配線工事
- 照明設備工事
- コンセント・分電盤設置
- 受変電設備工事
- 太陽光発電設備工事
電気工事は「電力の供給」が目的で、強電設備(高圧・低圧)を対象として、電気工事士法との関係が深くなっています。
機械器具設置工事とは
機械器具設置工事とは、機械設備の組立て・据付けを行う工事です。
- 機械器具設置工事の主な工事内容は次のとおりです。
- 工場の生産ライン設備
- 立体駐車場設備
- エレベーター・エスカレーター
- ボイラー・タービン
- 各種プラント設備
機械器具設置工事は「機械本体の設置」が主な目的であり、電気配線は付随的作業にすぎない。基礎工事や据付精度が重要になります。
電気通信工事とは
電気通信工事とは、情報通信のための設備を設置する工事です。
- 電気通信工事の主な工事内容は次のとおりです。
- 光ファイバー敷設
- LAN配線工事
- 電話設備工事
- 防犯カメラ設置
- 放送・音響設備
- インターホン設備
電気通信工事「情報伝達」が目的であり、弱電設備が中心です。IT・ネットワークとの関連が多くなっています。
電気工事と機械器具設置工事の違い
| 区分 | 電気工事 | 機械器具設置工事 |
|---|---|---|
| 主目的 | 電気供給 | 機械設置 |
| 対象 | 配線・電気設備 | 機械本体 |
| 典型例 | 照明・配線 | エレベーター |
電気が主役であれば、電気工事、機械が主役であれば、機械器具設置工事とも言えます。
電気工事と電気通信工事の違い
| 区分 | 電気工事 | 電気通信工事 |
|---|---|---|
| 電流 | 強電 | 弱電 |
| 目的 | 電力供給 | 情報伝達 |
| 例 | コンセント | LAN・電話 |
電気を使うのであれば、電気工事、情報を扱うのであれば、電気通信工事とも言えます。
建設業許可を電気工事で申請すべき具体例
- このような具体例の場合は「電気工事」での許可取得が適切です。
- 住宅・ビルの屋内配線工事
- 照明設備工事
- 分電盤設置工事
- 太陽光発電設備の設置
- 高圧受電設備工事
LAN工事のみの場合は電気通信工事になるため注意が必要です。
建設業許可を機械器具設置工事で申請すべき具体例
- このような具体例の場合は「機械器具設置工事」での許可取得が適切です。
- 工場の生産ライン設置
- エレベーター設置工事
- 立体駐車場設置
- ボイラー設備設置
- プラント設備据付
電気配線があっても主目的が機械設置なら機械器具設置工事になります。
建設業許可を電気通信工事で申請すべき具体例
- このような具体例の場合は「電気通信工事」での許可取得が適切です。
- LAN配線工事
- 光回線敷設
- 防犯カメラ設置
- インターホン設置
- 放送設備工事
コンセント工事は電気工事になるため区別が必要です。
電気工事・機械器具設置工事・電気通信工事で建設業許可を取得する要件
主な許可要件(共通)
経営業務の管理責任者(建設業法第7条1号)
- 経管の要件は次のとおりです。
- 5年以上の経営経験(または準ずる経験)
- 法人役員または個人事業主としての実績
営業所技術者(旧:専任技術者)
- 営業所技術者の要件は次のいずれかです。
- 指定学科と実務経験
- 10年以上の実務経験
- 国家資格
電気工事
電気工事施工管理技士
第一種・第二種電気工事士+実務経験
機械器具設置工事
技術士(機械)
施工管理技士(該当区分)
実務経験10年以上
電気通信工事
電気通信工事施工管理技士
工事担任者(要件付き)
財産的基礎
- 建設業許可の財産的基礎要件は次のいずれかです。
- 自己資本500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力
誠実性・欠格要件
- 建設業許可の誠実性・欠格要件は次のとおりです。
- 不正・不誠実な行為がないこと
- 欠格事由に該当しないこと
ポイントと注意点
LAN工事は電気工事の申請ではありません。正しくは電気通信工事です。
エレベーター設置も電気工事ではありません。正しくは機械器具設置工事になります。
防犯カメラは電気工事ではなく、正しくは電気通信工事です。
なお、実際には設備業者は電気工事と電気通信工事の許可を取って、プラント業者の場合は、電気工事と機械器具設置工事を取る場合が多いです。元請になる場合は業種を広く取って将来の事業展開も考慮したほうがよいでしょう。
電気工事は電気を流す場合、電気通信工事は情報を流す場合、機械器具設置工事は機械を据え付けるとも言えます。建設業許可は、主たる目的で判断します。判断を誤ると無許可営業となるリスクもあるため、慎重な検討が必要です。
Q&A
まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。

