アンカー工事は建設業許可は必要?必要なら何工事になるの?

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アンカー工事は基本的にはとび・土工工事業になります。機器や機械類の設置工事のアンカー工事であれば、機械器具設置工事業となりますが、いずれにしても500万円(消費税込み)の受注場合には建設業許可が必要になります。

アンカー工事が建設工事の一部として行われる場合も、全体の工事金額が500万円(税込)を超える場合には許可が必要となります。詳しくご説明します。

アンカー工事とは

アンカー工事は、コンクリート構造物に機器類や耐震補強材などをアンカーで取り付ける工事のことです。アンカーボルトは強度の高いアンカーで構造物を固定します。

このアンカー工事は耐震補強で多く施工されます。がけ崩れや地滑りが起こりやすい斜面など地震が発生した場合に構造物に影響があるので耐震性を強化する必要があるためです。

アンカー工事には、次のような種類があります。

先付けアンカー:コンクリート構造物を設計する段階で、機器等の取付け位置や取付け方法が決まっている場合、コンクリートを打設する前にアンカーボルトを先に設置する工法です。

あと施工アンカー:コンクリートが硬化した後でコンクリートに穿孔を行いアンカーボルトを挿入する工法です。金属系と接着系があり建築分野では削孔と定着工をセットであと施工アンカーと呼ばれています。

アンカー工事の施工事例としては、看板の取付け、自動販売機の据付、住宅用物干金具の取付け、耐震補強用差筋打込などがあります。

アンカー工事には、建設業許可が必要になり具体的には、工事の内容によって次の業種になります。

一般的にはとび・土工工事業や土木工事業に該当する場合が多いですが、状況に応じて他の業種がになることもあります。

とび・土工工事業

アンカー工事は、地盤の安定化や構造物の固定を目的とした工事なのでとび・土工工事業に該当することが多くなります。

  • 具体的な工事は次のとおりです。
    • 斜面の補強工事(グランドアンカーやロックボルトの設置)
    • 土留め工事に関連するアンカー設置
    • 掘削した斜面の崩壊防止目的でのアンカー施工
  • 関連工事としては次のものがあります。
    • 掘削工事
    • 地盤改良工事
    • 斜面安定工事

とび・土工工事業(コンクリート工事)

おおまかに次の3つに分類されます。

・足場の組み立て、機械器具・建設資材などの重量物の運搬配置、鉄骨等の組立てなどの工事

くい打ち、くい抜きおよび場所くいを行う工事
くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所ぐい工事など

・土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事

土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事など

・コンクリートにより工作物を築造する工事

コンクリート工事、コンクリート打設工事、プレストレストコンクリート工事*5、コンクリート圧送工事など

・基礎ないしは準備工事

地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事、汚泥処理工事、コア工事など

土木工事業

アンカー工事が土木構造物である橋梁、擁壁、道路等の場合は、土木工事業になることがあります。

  • 具体的な工事は次のとおりです。
    • 土木構造物の基礎を固定するアンカー工事
    • 橋梁や擁壁の耐震補強工事としてのアンカー設置

機械器具設置工事

機械器具設置工事でも機械の付属工事としてアンカー工事をする場合がありますが、機械器具の設置で既製品をボルト、アンカー止めするだけのものは、「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。

機械器具設置工事は、機械器具の組立て等により工作物を建設し、または工作物に機械器具を取り付ける工事です。

組立て等を要する機械器具の設置工事のみが機械器具設置工事となります。

機械器具設置工事にはすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるために機械器具の種類によっては電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事などと重複するものもあります。

とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可

アンカー工事も500万円(消費税込み)の受注の場合は建設業許可が必要になります。

  • とび・土工・コンクリート工事の建設業許可の要件は次の5つとなります。
    • 経営業務の管理責任者
    • 誠実性
    • 欠格要件
    • 専任技術者
    • 財産要件

経営業務の管理責任者

法人は常勤の役員の中に、個人では事業主本人が次の経験があれば経営業務の管理責任者の要件となります。

とび・土工・コンクリート工事業に関して経営者としての経験が5年以上ある
とび・土工・コンクリート工事業以外の建設業に関して経営者としての経験が7年以上ある

誠実性

法人の役員や事業主本人、支店長、顧問、株主で次のことに該当しなければ誠実性の要件となります。

建築士法・宅地建物取引業法などで不正な行為、または不誠実な行為を行ったことにより、免許等の取消処分を受け、その処分の日から5年を経過していないこと
暴力団の構成員であること
暴力団により実質的な経営上の支配が行われていること

欠格要件

法人の役員や事業主、支店長などで次の事項に該当しなければ欠格要件となります。

成年被後見人もしくは被保佐人、または破産者で復権を得ない者
不正が原因で建設業許可を取り消され、その後5年が経過してない者
法律に違反して刑を受け、その刑の執行が終わり、もしくはその刑の執行を受けなくなってから5年が経過してない者

専任技術者、財産要件

専任技術者、財産要件については、一般建設業と特定建設業どちらの許可かによって要件が異なります。一般建設業を例示します。

・とび・土工・コンクリート工事業の一般建設業許可の要件

専任技術者(一般建設業)

  • 次のいづれかの資格を所持
    • 1級建設機械施工技士
    • 2級建設機械施工技士(第一種~第六種)
    • 1級土木施工管理技士
    • 2級土木施工管理技士 種別:土木
    • 2級土木施工管理技士 種別:薬液注入
    • 1級建築施工管理技士
    • 2級建築施工管理技士 種別:躯体
    • 技術士法「技術士試験」 建設・総合技術監理(建設)
    • 技術士法「技術士試験」 建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
    • 技術士法「技術士試験」 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)
    • 技術士法「技術士試験」 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)
    • 技術士法「技術士試験」 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)
    • 職業能力開発促進法「技能検定」 型枠施工
    • 職業能力開発促進法「技能検定」 とび・とび工・コンクリート圧送施工
    • 職業能力開発促進法「技能検定」 ウェルポイント施工
    • 地すべり防止工事※資格取得後1年の実務経験が必要

・大学にて指定の学科を卒業し、3年以上の実務経験がある者

・高校にて指定の学科を卒業し、5年以上の実務経験がある者

・とび・土工・コンクリート工事業に関する10年以上の実務経験がある者

財産要件(一般建設業)

  • 次のいづれかを満たせば財産要件となります。
    • 直前の決算書において自己資本(純資産)の額が500万円以上である
    • 500万円以上の預金残高がある

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