「シャッター工事は何工事?」「サッシの取付だけでも建設業許可は必要?」「自動ドア工事は電気工事になるの?」
行政書士法人アラインパートナーズです。このような疑問は、建具関連工事を行う事業者様から非常に多く寄せられます。結論から言うと、工事の内容と請負金額によっては建設業許可が必要になります。
当事務所の日頃の建設業許可業務のご質問などの経験に基づいて、建設業者様にぜひ知って頂きたい建設業許可の基礎知識をアラインパートナーズの日常業務経験のノウハウを加えて解説しています。
シャッター工事・サッシ工事・自動ドア工事、それぞれが建設業法上どの業種に該当するのか、許可が必要となるケース、許可取得の要件まで詳しく解説します。
そもそも建設業許可はどんな場合に必要?
建設業許可は、建設業法に基づき、一定規模以上の工事を請け負う場合に必要となります。
許可が必要になる基準
国土交通省のホームページには、次のように記載されています。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html
建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。
ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。
ここでいう「軽微な建設工事」とは、次の建設工事をいいます。
建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
「木造」とは、建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
「住宅」とは、住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
ただし、これらの金額には取引に係る消費税及び地方消費税の額を含みます。
すなわち、税込み500万円以上のシャッター・サッシ・自動ドア工事を含む建設工事では、建設業許可の取得が必要になります。500万円以下の工事であれば必要はありません。
それでは、500万円以上で、建設業許可を申請する場合は、まず、業種を特定する必要があります。建設業許可は、29業種にわかれており、それぞれの業種の建設業許可を取得する必要があります。
国土交通省の業種区分の説明
https://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/info/qa/pdf/h3006_shiryo_01_gyosyu.pdf
左官工事の許可で、シャッター・サッシ・自動ドア工事をすることはできませんので、それぞれ許可を取得する必要があります。

シャッター工事は何工事になる?
原則として建具工事業
シャッターの設置・交換工事は、通常は建具工事業に該当します。
建具工事業とは、ドア・サッシ・シャッターなどの建具の取付工事を指します。工作物に木製、金属製の建具等を取り付ける工事です。金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け、自動ドアー取り付け工事などが該当します。
ただし、例外はあります。たとえば、電動シャッターで配線工事が伴う場合は、主たる工事が建具の設置であれば「建具工事業」で、配線工事が主であれば「電気工事業」に該当する可能性がありますが、実務上は、シャッター工事は建具工事業で取得するのが一般的です。
建設業許可
1件500万円以上のシャッター工事を請け負う場合は、建具工事業の建設業許可が必要になります。
サッシ工事は何工事?
アルミサッシや鋼製建具の取付けですが、サッシ工事も基本的には建具工事業に該当します。
ただし、ガラス交換を伴う場合は、サッシとガラスの一体施工で、主体が建具であれば建具工事になり、ガラスの単独工事であれば、ガラス工事業となります。このあたりは工事の主たる目的で判断することになります。
リフォームでよくあるケースですが、「内窓設置」「断熱サッシ交換」なども、原則は建具工事業になます。
自動ドア工事は何工事?
原則として建具工事業
自動ドアの本体設置工事は原則として建具工事業に該当します。
ただし電気工事が多い場合ですが、制御盤設置・配線工事・センサー連動工事などが主となる場合は電気工事業に該当する可能性があります。
しかし実務では、多くのケースで「建具工事業」として処理されています。
電気工事業ですが、国土交通省や建設業法の分類によれば、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事となっており、発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事などが該当します。
一方で機械器具設置工事業ですが、こちらは、機械器具の組立などにより工作物を建設、または工作物に機械器具を取り付ける工事となっており、プラント設備工事、運搬機器設置工事、給排気機器設置工事、遊技施設工事、立体駐車設備工事などで、比較的大きな機械器具・設備の設置となっています。
シャッター・サッシ・自動ドア工事の比較表
| 工事内容 | 業種区分 | 500万円以上なら許可必要? |
|---|---|---|
| シャッター工事 | 建具工事業 | 必要 |
| サッシ工事 | 建具工事業 | 必要 |
| 自動ドア工事 | 建具工事業(場合により電気工事業) | 必要 |
軽微な工事で税込み500万円以下の少額工事のみなら建設業許可は不要で、500万円以上を請け負うなら許可が必要になります。

建設業許可を取るにはどうすればよいか?
建設業許可を取得するには、次の要件を満たす必要があります。
経営業務の管理責任者(経管)
建設業法施行規則第7条第1号よりの引用です。
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
法人役員または個人事業主として一定期間の建設業経営経験が必要です。
このように原則として、5年以上の経営の経験、または6年以上の経営の補佐経験などが必要になります。
営業所技術者(旧専任技術者)
建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。
見積り、入札、請負契約締結などの建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(営業所技術者等)を専任で設置することが必要になっています。
また、営業所技術者等は「営業所ごとに専任の者として設置」することとされていますので、その営業所に常勤していることが必要です。
なお、経営業務の管理責任者と同様、営業所技術者等の設置も建設業法の許可要件の1つであるため、許可を取得した後に営業所技術者等が不在となった場合は許可の取消しの対象などになるので、注意が必要です。
建具工事業の場合、1級・2級建築施工管理技士、技能検定(建具製作など)、10年以上の実務経験などが該当します。
建設業法施行規則からの引用です。
(法第七条第二号ハの知識及び技術又は技能を有するものと認められる者)
一 技術検定のうち建築施工管理に係る一級又は二級の第二次検定(二級の第二次検定にあつては検定種別を「仕上げ」とするものに限る。)に合格した者
二 技術検定のうち建築施工管理若しくは管工事施工管理に係る一級の第一次検定又は管工事施工管理に係る一級の第二次検定に合格した後建具工事に関し三年以上実務の経験を有する者
三 技術検定のうち建築施工管理又は管工事施工管理に係る二級の第一次検定又は第二次検定(建築施工管理に係る二級の第二次検定にあつては検定種別を「建築」又は「躯体」とするものに限る。)に合格した後建具工事に関し五年以上実務の経験を有する者
四 職業能力開発促進法第四十四条第一項の規定による技能検定のうち検定職種を一級の建具製作、カーテンウォール施工若しくはサッシ施工とするものに合格した者又は検定職種を二級の建具製作、カーテンウォール施工若しくはサッシ施工とするものに合格した後建具工事に関し三年以上実務の経験を有する者
財産的基礎
建設工事を着手するに当たっては、資材の購入および労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の準備資金が必要になります。
また、営業活動を行うに当たってもある程度の資金を確保していることが必要です。このため、建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎などを有していることを許可の要件としています。
- 一般建設業では建設業許可の財産的基礎要件として次のいずれかに該当することが必要です。
- 自己資本が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力を有すること
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
誠実性・欠格要件に該当しないこと
誠実性と欠格要件も要件として必要になっています。
誠実性(法第7条第3号)
暴力団関係者でないことなどですが、請負契約の締結やその履行に際して不正、または不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。
これは、許可の対象となる法人、もしくは個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様です。
欠格要件(建設業法第8条、同法第17条(準用))
許可申請書、またはその添付書類中に虚偽の記載があった場合や重要な事実に関する記載が欠けている場合、また、許可申請者やその役員など、もしくは令第3条に規定する使用人が次に掲げるものに1つでも該当する場合、許可は行われません。
よくある実務上の注意点
元請から「許可を取ってほしい」と言われるケース
近年、コンプライアンス強化により金額にかかわらず許可を求められることが増えています。多くの元請けが建設業許可の取得を望んでいるようです。
建具工事業を取るべきか?
シャッター・サッシ・自動ドアを扱う事業者様は建具工事業の取得が最も現実的です。電気工事も多い場合は、将来的に追加取得を検討します。
まとめ
シャッター・サッシ・自動ドア工事は原則「建具工事業」になります。1件500万円以上なら建設業許可が必要です。許可取得には経管・営技・財産要件が必要になりますが、元請要請で取得するケースが増加しています。また、建具関連工事は金額が高額化しやすく、許可がないことで受注機会を失うケースも少なくありません。

