専任技術者の名称変更、営業所技術者について詳しく解説(令和6年12月の改正)

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建設業許可を取得や維持するために、とても重要な役割をしている「専任技術者」については、2024年12月に名称変更がありました。専技と呼ばれて慣れ親しんだ名前が変更になりました。新しい名前は、「営業所技術者」となりました。営業所ごとにという要件が強調されたと思います。

新しい名前は「営業所技術者」と国土交通省から建設業法改正の発表がありましたので、専任技術者から営業所技術者への変更について詳しく解説します。

細かいところは下記で解説しますが、メインの意義、要件や役割はほとんど変わっていません。ただし、名前だけ変わったと済ませるわけにはいかないので記事にしました。

なお、変更の意義に沿って、今後、さらに法律も改正される可能性がありますので、今後も国交省のホームページなどをチェックする必要はありそうです。

専任技術者(営業所技術者)とは

専任技術者(営業所技術者)は、建設業許可を取得する場合に営業所ごとに配置が義務付けられる技術者のことです。

建設業法に基づいており、各営業所には一定の資格や経験を持つ者を営業所技術者として設置する必要があります。

営業所技術者の主要な役割は次のとおりです。

建設工事の技術的な管理

現場における技術的な問題の解決や指導を行います。

工事の適正な施工の確保

建設工事が法令や設計図書に基づいて、適切に実施されるよう監督や指導をします。

事業者の技術的信頼性の確保

建設工事において現場での技術的信頼性を確保します。

契約の履行

請け負った建設工事を適切に完成させるための技術的な責任を負っています。

営業所技術者は、特定の建設業の種類(建設業許可の種類)ごとに、定められた資格や実務経験を満たす必要があります

最初にも書きましたが従来、この役職は「専任技術者」として定義されていましたが、専任技術者の名称は、2024年の建設業法改正で「営業所技術者等」に変更されました。「営業所技術者」と記載しています。

専任技術者から営業所技術者への名称変更の経緯と背景

「専任技術者」から「営業所技術者」への名称変更は、2024年の建設業法の改正の一環として行われましたが、営業所技術者への変更には、技術者の役割にも関係しています。名称変更の背景には、次のような理由があります。

役割の明確化

「専任技術者」という名称では、業務内容が漠然としており、事業者や関係者によって解釈が異なることがありました。

「営業所技術者」とすることで、営業所単位で技術者を配置する意義を強調する目的があります。

つまり、「専任技術者」という名称では、その役割や責任範囲が曖昧であるという指摘がありましたので「営業所技術者」という名称に統一することで、その責任の所在や役割をより明確にすることとなり、変更されました。

制度の適正化と現場対応の強化

建設業の現場において、営業所と工事現場の技術管理を分離して、営業所における技術管理体制を明確化する必要がありました。

名称変更によって営業所における技術者の責任範囲を整理して、より明確な管理を求めることになりました。

許可要件との整合性

建設業許可の要件として求められる技術者は、原則として営業所に常勤して、専らその業務に従事する者である必要があります。名称を「営業所技術者」とすることで、この要件との整合性を高める狙いがありました。

ほかの制度との整合性

ほかの技術資格や建設業関連制度との整合性を取るために名称変更が行われたようです。

なお、一般建設業者の専任技術者は営業所技術者へ(建設業法7条2号)変更されましたが、特定建設業者の技術者については特定営業所技術者(建設業法15条2号)に変更されました。そして「営業所技術者」と「特定営業所技術者」の総称として「営業所技術者等」を用いることになりました。

要件や役割の変更点

名称が変わることによって、営業所技術者(旧専任技術者)の要件や役割においても、いくつかの変更点ができました。

営業所に近接している工事

「営業所に近接している専任以外の工事」における「営業所技術者等(専任技術者)の配置技術者との兼務」については、従来どおり一定の要件を満たせば兼務ができます

今回の改正では、「営業所に近接していない専任以外の工事」についても「専任現場の兼任要件」をすべて満たせば兼務ができるようになりました

また、生産性向上に資するため、情報通信機器を活用する等の一定の要件に合致する工事に関して、兼任を可能とする制度が新設されました。(建設業法第26条第3項第1号、第4項)

情報通信機器というのは、スマートフォン、タブレット、パソコンなどです。時代の流れで、離れていても管理可能になったためです。

この2つが名称の変更だけではなく、大きな変更点となっています。

資格要件の変更

専任技術者としての資格要件から営業所技術者としての資格要件となり、若干の要件緩和や明確化がありました。

これによって、資格取得や実務経験の評価基準が今後も一部変わる可能性があります。最新の要件を確認し、適切な人材配置を行う必要があります。

ただし、専任技術者となるための資格要件は、建設業の種類ごとに定められています。一級や二級の施工管理技士や建築士などの国家資格、指定学科の卒業、一定年数の実務経験などが該当します。これらの要件は、名称変更後も基本的に維持されています。

営業所技術者の責任範囲の明確化

専任技術者は技術的管理を担当していましたが、責任範囲が明確でない部分があったので営業所技術者は営業所における技術管理を明確に担当することになりました。

特に、営業所における許可業種に対応した適切な技術者配置が求められます。

業務内容の整理

営業所における技術的な監督責任をより明確化されています。現場監督者(主任技術者・監理技術者)との役割分担の明確化も含まれています。

その他注意点

既存の「専任技術者」の取り扱い

名称が変わったことによって既存の「専任技術者」が自動的に「営業所技術者」として扱われます。ただし、必要な要件を満たしているか再確認することも必要になりますので注意が必要です。

建設業許可の更新時の対応

建設業許可の更新時に、新しい名称や要件に沿った書類提出が必要になる予定です。特に、営業所ごとに技術者を適切に配置しているか確認しておいたほうが良いでしょう。

今後の法改正に注意!

今後も建設業法の改正が行われる可能性があるため、行政書士や専門家のアドバイスを受けながら、常に最新の情報を把握することが重要です。詳しいことは、当サイトの静岡の行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。

まとめ

「専任技術者」から「営業所技術者」への名称変更は、建設業許可の管理体制をより明確にして適正な技術管理を推進するための制度変更です。名称変更によって要件や役割の変化を正しく理解して適切な対応を行うことで、スムーズな建設業許可の取得・維持ができるようにするための制度変更になります。昨年の改正に伴って、関連する要件、役割も見直される可能性があります。当行政書士事務所と相談しながらすすめて頂ければと思います。

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