建設業法に定められた技術者の配置は、とても重要になります。特に、専任技術者(営業所技術者)、主任技術者、監理技術者は、それぞれ役割や配置義務が異なっていますので、しっかり理解しておく必要があります。
この3つの役割は、重要なのですが、よく似た名称になっているので、混乱されている方も多いと思います。違いなどをわかりやすく、詳しく解説します。
専任技術者(営業所技術者)とは
専任技術者は、令和6年(2024年)12月の法令改正で、名称が営業所技術者と変わりましたが、ここでは、慣れている専任技術者で続けます。
専任技術者とは、建設業の営業所ごとに設置が義務付けられている技術者のことです。建設業法に基づいて、建設工事の適正な施工を確保するために営業所ごとに一定の資格や経験を有する者を配置しなければならないと建設業法に規定されているために必ず必要になっています。
- 専任技術者の役割と配置理由は次のとおりです。
- 営業所に常駐して、建設工事に関する技術的な管理をします。
- 契約時の技術的な助言や指導をします。
- 建設業法に基づく適切な技術者の配置をすることになっています必須です。
- 専任技術者の資格要件は次のとおりです。
- 1級、または2級の施工管理技士の資格を有する者
- 指定学科を卒業して、一定の実務経験を有する者
- 10年以上の実務経験を有する者
主任技術者とは
主任技術者は、建設工事を適正に実施するために工事現場ごとに配置される技術者のことです。建設業者は、請け負った工事の種類や規模に応じて、主任技術者を工事現場に配置しなければなりません。
- 主任技術者の役割
- 工事の施工管理を行い、適切な品質を確保します。
- 現場の安全管理をします。
- 建設業法に基づき、技術的な責任を負います。
- 主任技術者の資格要件
- 一般建設業許可の場合は1級または2級施工管理技士の資格、または10年以上の実務経験が必要です。
- 特定建設業許可の場合は1級施工管理技士の資格が必要です。
主任技術者は、一定規模以上の工事(請負金額が4,000万円以上、建築一式工事は6,000万円以上)では専任が求められ、工事期間中はその現場に常駐しなければなりません。請負金額で決まってきます。

監理技術者とは
監理技術者とは、特定建設業許可を受けた業者が元請として施工する一定規模以上の工事に配置が義務付けられる技術者です。主任技術者よりも高度な管理能力が求められます。
特定建設業の許可業者が元請として行う大規模な工事で、より高度な管理を行う技術者です。大きな工事がメインになります。
- 監理技術者の役割
- 下請業者との調整をして工事全体の品質管理をします。
- 施工管理の監督を行って安全対策を徹底します。
- 発注者との技術的な協議をして、円滑な工事進行を図ります。
- 監理技術者の資格要件
- 1級施工管理技士の資格を有する者
- 指定学科を卒業して特定の実務経験を有する者
- 監理技術者講習を修了していること
監理技術者は、特定の工事において専任が求められており、主任技術者以上に重要な役割があります。
専任技術者、主任技術者、監理技術者の違いのまとめ
専任技術者、主任技術者、監理技術者の違いを次の表にわかりやすくまとめてみました。
項目 | 専任技術者 | 主任技術者 | 監理技術者 |
---|---|---|---|
配置場所 | 営業所 | 工事現場 | 工事現場 |
役割 | 営業所での技術管理、契約時の技術指導 | 現場の施工管理、品質管理、安全管理 | 元請業者の技術監理、下請業者との調整 |
資格要件 | 1級または2級施工管理技士、実務経験 | 2級施工管理技士(一般)、1級施工管理技士(特定) | 1級施工管理技士、監理技術者講習修了 |
専任要件 | 営業所に専任 | 一定規模以上の工事で専任 | 原則専任 |
専任技術者は営業所に常駐して、技術管理を担当します。主任技術者は工事現場に配置されて施工管理を担当します。監理技術者は特定建設業の元請工事で必要となり、下請業者との調整や品質管理を担当することになります。
それぞれの技術者には異なる役割と要件があり、建設業法に基づいて適切に配置しなければなりません。
適正な技術者配置を行うことで、工事の品質と安全性を確保し、適法な建設業の運営を実現することが求められています。