建設業許可と修理および改修、保守およびメンテとの関係について

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建設業の請負工事に該当するか否かは、建設業許可要件である請負額が500万円を超える場合だけではなくて、「建設工事の完成を目的」というポイントも理解する必要があります

建設業法の請け負い契約

建設業法第24条には、次のように規定されています。

(請負契約とみなす場合)

第二十四条 委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。

「報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなす」とあります。

「完成を目的とする」がポイントです。単なる「定期点検」や「保守」では建設工事に該当しません

建設工事の完成を目的とするものは建設工事の請負契約とみなされます。

工事や修理の定義

国土交通省では「工事」と「修理」を明確に区別しているものはありません

建設業法上にも許可が必要な29種ありますが、そこでも「工事」や「修理」という定めはありません

ただし、左官工事・屋根工事・電気工事・管工事などの建設業許可が必要な29種類に該当するもので材料費を含めて500万円を超えるものは、建設業許可が必要なものとして、作業内容を精査する必要があります。

例えば、大型配電設備の点検や保全を主とする年間の保守契約であれば建設業許可は必要ないように思えますが、部品交換とその取り付けを伴なって1回の工事で500万円を超えるようなら建設業許可業者でなければ請け負うことはできないことがあります。

一方、修繕ではなく、大規模な工事であっても船、航空機や車輌のように建設業法では対象としない工事であれば建設業許可は必要ありません。

どの建設業許可29種の内容にあてはまるか、建物や土地それら内部の建設・建築に関する工事かで判断します。

修繕工事の種類

改修工事は建物の劣化や損傷を修理するだけでなく、新築時よりも建物の性能や機能をアップさせる工事です。

バリアフリー機能を付けるとか断熱塗料などで断熱性を上げるなどの新たな機能を追加して機能アップをする工事です。

古くなった住居、例えば昔の団地や古い倉庫を店舗や住居などにする工事はリノベーションとなります。

修繕工事は、新築の時の性能や機能を維持したり、回復させるための工事になります。

経年劣化などでの不具合に対処します。修繕工事は、劣化や破損のどを修理や交換などで、新築時の性能や機能に復元させることです。

国土交通省の改修工事に関する考え方

国土交通省では、修繕工事や改良工事、改修工事について、次のように説明しています。

修繕工事(リフォーム)

建物の建設当初の水準にまで回復させること

改良工事(グレードアップ)

建物各部の性能・機能をグレードアップする工事。建物を構成する材料や設備を新しい種類のものに取替えることや、新しい性能・機能などを付加すること

改修工事(リノベーション)

修繕及び改良(グレードアップ)により、建築物の性能を改善する変更工事のこと

建設工事に該当する/しない工事

建設業に含まれない工事もあります。メンテナンス工事などは保守・点検作業・維持管理に伴う作業として、建設工事にはなりません。

建設工事に該当する工事の種類

建設業は、建設工事の完成を請け負うこととされています。

建設業で行う建設工事は、建築物や工作物を新築することや、改築や解体などで建築物を完成させることであって完成を請け負うことのない作業は建設工事に含まれないとされています。

維持管理

「維持管理を目的とした道路の補修作業」は、建設業になりますが、「維持管理を目的とした除草や除雪作業」は、建設業にはなりません。掃除、剪定、除草、除雪は、工事扱いには一般的になりません

保守、点検、調査など

建築物の設備で、部品を交換する作業などは建設工事とはみなされません。

  • 基本的に建設工事に含まれない作業としては、次のような工事などがあります。
    • 保守
    • 点検修理
    • 維持管理
    • 調査
    • 測量
    • 運搬
    • 消耗部品交換
    • 土地に固定されない動産に関しての作業

いずれも建設業法第24条に規定されている「完成させる工事」ではないために、建設業法の建設業の定義にも該当しないことから建設工事にはならないとされています。

メンテナンスなどの工事もありますが、業務の内容によっては、建設工事に含まれないことがあります。

建設業法第2条の工事の定義

建設業法第2条でも工事の考え方が述べられています。

建設業法第二条
(定義)
第二条この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
2この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
3この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
4この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう。
5この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。

建設業法第2条第1項で「建設工事」とは「土木建築に関する工事で別表第1の上覧に掲げるものをいう」とされております。

建設工事に土木工事・建築工事・設備工事が含まれていることになります。

別表第1の区分では、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事、大工工事や左官工事などの27の専門工事が掲載されています。

すべての工事業種において、建築物や土木工作物を作るまたは解体する、あるいは加工・取り付けなどの作業を通じて、機能を付加するなどの要素を含んだものが工事とされています。

建設業法第2条第2項で「建設業」とは「元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業」とも定義しています。

「請負」とは「当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束する契約」のこととなっています。

「完成することを約束」となっており、「完成」がキーワードとなっています。

建設工事の完成を(他人から)請け負っているものであることが必要となります。

建設工事ではない事例

  • 建設業許可を必要としない事例です
    • 剪定、除草、草刈り、伐採
    • 道路、緑地、公園、ビル等の清掃や管理
    • 建築物、工作物の養生や洗浄
    • 施設、設備、機器等の運転管理や保守点検
    • (管球などの)消耗部品の交換
    • 測量や調査(土壌試験、土壌分析、家屋調査等)
    • 設計
    • 建設機械、土砂、残土搬出などの運搬
    • 地質調査、埋蔵文化財発掘、観測、測定を目的とした掘削
    • 船舶や航空機などの土地に定着しない工作物(動産)の築造・設備機器取付
    • 建設資材の納入
    • 工事現場の養生
    • 工事現場の警備、警戒

静岡県の簡単なまとめと問い合わせ先

本件は、都道府県によって判断が分かれることが多くなります。専門家にアドバイスをもらったほうがよいでしょう。

静岡県の場合は、改修は建設業工事扱いの場合が多いですが、まず行政書士に相談してください。

保守は一般的に建設業工事になりませんが、工事内容を資料で確認できれば、建設業工事の可能性はありますが、ケースバイケースです。ごれも行政書士に相談して下さい。

静岡県の建設業許可申請窓口と行政書士事務所

行政書士法人アラインパートナーズ
〒424-0029 静岡市清水区下野中1-13
電話番号:0120-105-444

交通基盤部建設経済局建設業課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3058

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