建設業許可と施工体制台帳との関係を整理して施工体系図なども解説

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下請業者が建設業許可のない業者でも、建設工事の請負契約を締結している場合は記載しなければなりません

施工体制台帳とは

施工体制台帳は、発注者から直接工事を請負った元請業者が、当該工事を施工する際に必要な下請業者などの事業者名、施工範囲、技術者名を記載した台帳のことです。

公共工事は、建設業法第24条の8及び入契法第15条によって請負金額にかかわらず全ての業者に作成義務があり、施工体制台帳の作成を通じて、元請業者が工事現場の施工体制を把握することで、品質・工程・安全などの施工上のトラブルの発生や不良・不適格業者の参入、建設業法違反(一括下請負など)、生産効率低下の原因にもなる安易な重層下請などを防止する目的があります。

元請業者は安全かつ計画的に工事をするために、施工を請け負うすべての業者の情報や施工範囲、技術者の氏名などを管理しなければなりません。

建設業法(建設業法第24条の8)によって施工体制台帳の作成が義務となっています。

施工体制台帳の作成

施工体制台帳の作成が義務付けられる工事

(1)発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、当該工事に関して締結した下請金額の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合

(2)公共工事発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、当該工事に関して下請契約を締結した場合

元請業者が安全かつ計画的に工事をすすめるために現場の施工体制を把握するために作成する安全書類です。

公共工事である場合、下請契約の金額に関わらず、施工体制台帳を作成する必要があります。

公共工事では作成した施工体制台帳の写しを発注者へ提出する義務があります。

建設業許可

建設業許可は、消費税や材料費を含めた請負金額が500万円を超える場合に必要です。

契約書が分割されている場合でも、実態として1つの請負契約である場合は、請負金額の合計が500万円を超える工事には建設業許可が必要です。

従って、建設業許可が必要な工事でも施工体制台帳は不要なケースはあります

特定建設業許可

特定建設業許可が必要な場合は、直接発注者から工事を請け負う場合に(元請け)、その1件の請負工事について、下請け業者さんに工事を発注する金額が合計4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の場合です。この場合以外は、一般建設業許可があれば金額の上限制限なく請負う事ができます。

従って、施工体制台帳の作成が義務付けられる工事は特定建設業許可が必要な工事となります。

施工体制台帳の運用

公共工事の受注者である建設業者は、下請負契約を締結する場合、「建設業法」及び「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(「入契法」)に基づき、施工体制台帳を作成し、工事現場へ備え置くとともに、その写しを発注者に提出しなければなりません。

作成した施工体制台帳を基に施工体系図を作成して、工事現場内の見やすい場所及び公衆の見やすい場所へ掲示することが義務付けられています。

施工体制台帳には、建設工事の請負契約におけるすべての下請業者(一次下請、二次下請、三次下請など)を記載する必要があります。

下請業者が建設業許可のない業者でも、建設工事の請負契約を締結している場合は記載しなければなりません。

建設業法で建設工事に該当しない工事は、施工体制台帳の提出は不要です。建設工事に該当しない例は、清掃作業、除草作業などがあります。

施工体制台帳は、公共工事と民間工事で請け負った建設工事の目的物を発注者に引き渡すまでの期間、工事現場ごとに備え置かなければなりません

公共工事と民間工事を問わず作成する義務があり、請け負った工事の目的物を発注者に引き渡すまでの期間、工事現場ごとに備え置く必要があります。

建設業法施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第353号)によって施工体制台帳の作成を義務付ける下請代金の額が、令和5年から4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)に引き上げられました。

  • 施工体制台帳の記載内容
    • 工事を請け負う全ての業者名
    • 各業者の施工範囲
    • 工期
    • 主任技術者・監理技術者名
  • 施工体制台帳の作成目的
    • 品質・工程・安全等施工上のトラブル発生防止
    • 不良・不適格業者の参入、建設業法違反(一括下請負等)の発生防止
    • 安易な重層下請による生産性の低下の防止
  • 施工体制台帳を作成する工事は次のとおりです。
    • 公共工事の場合、発注者から直接請け負った建設工事に関して下請契約を締結したとき
    • 民間工事の場合、発注者から直接請け負った建設工事に関して締結した下請契約の総額が4,500万円(建築一式工事では7,000万円)以上の場合

作成手順

元請負業者は、下請契約を締結した場合、「施工体制台帳作成建設工事の通知」を一次下請負業者へ通知しなければなりません。

一次下請負業者がさらに、下請負契約を締結した場合(再下請負業者)、同様に「施工体制台帳作成建設工事の通知」を再下請負業者へ通知しなければなりません。

施工体系図

施工体系図は、作成された施工体制台帳に基づいて、各下請負業者の施工分担関係が一目でわかるようにした図のことです。

施工体系図を見ることによって、工事に従事する者、全員が工事における施工分担関係を把握することができます。

施工体制台帳の作成対象の工事では施工体系図も必要になります。元請業者が施工体系図を作成する必要があります。

施工体系図は工事の期間中、民間工事では工事関係者が見やすい場所に、公共工事では工事関係者及び公衆が見やすい場所に掲示することが義務となっています。

なお、施工体系図は目的物の引き渡しをしたときから10年間保存する必要があります。

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