建設業許可には工事経歴書が必要になりますが、経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)の実務経験を証明する際に求められるものと、決算変更届で使用するものでは、目的や詳細が異なったりしますので、わかりやすく詳しく作成にあたっての注意点などを解説します。
工事経歴書とは
建設業許可の工事経歴書とは、新規の建設業許可の申請、公共工事の入札、決算変更届などに添付する書類です。
前事業年度の1年間に着工した未完成工事も含む工事を工種ごとに作成します。注文者、請負形態、工事場所、配置技術者、請負代金、着工年月を記載して申請者の施行した工事を提出します。
建設業許可を取得すると毎年義務付けられている決算報告では、この工事経歴書の提出が必須となりますが、ほとんどの建設業者は工事経歴簿などをパソコンのエクセルなどで管理していないために、過去に工事が何件あったのかすらわからないことが多く、いざ提出となると苦労することがあります。
記載する内容
工事経歴書には、直近の決算年度に完成した主な工事の内容を記載します。工事名・工事場所・工事内容・工期・請負金額などを記載します。
工事経歴書の内容は、許可行政庁が申請者の施工能力を判断する資料となりますので正確で詳細に記載する必要があります。
国土交通省によると「軽微な建設工事」とは、建設業許可を受けなくても請け負うことができる小規模の建設工事のことですが、具体的には、次のとおりです。
・建築一式工事以外の建設工事で、工事1件の請負代金の額が500万円未満
・建築一式工事で、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅の工事
工事経歴書に記載するのも500万円以上の工事となりますが、工事件数が多すぎて数えられない、業種(土木、内装、屋根)がいろいろあって分類しきれない場合、兼業もあってわけがわからないなどのケースがあります。
記載する工事は、対象期間において金額の大きい完成工事から順に上から記載するのが原則となっているために請負金額が大きい順にするのにも多くの建設業者は苦労します。
場合によっては、行政書士に依頼してくる方もいらっしゃいますが、そのような場合は請求書などを一式でお預かりして、請負工事の金額が大きいものをピックアップし、工事場所、工事名、工期を調べながらおつくりしています。もう自力では、整理しきれなくて行政書士に任せるケースも多くあります。はじめから行政書士に相談したほうがよいかもしれません。
証明書類について
請負実績の証明は、経営業務の管理責任者や専任技術者の実務経験を証明する際に求められるものと、決算変更届で使用するものでは、目的や詳細が異なります。
そもそも工事歴は「請負実績の証明」ではありません。単に工事の実績です。ですので工事名のタイトルと金額、工期などを記載します。いわゆる工事簿です。
経管や専任技術者の証明に必要な請負実績は、工事の請負契約を5年~10年間どのように請け負っているかがチェックされます。
人工出し、応援工事、常用などある会社の手伝い、人工として参加した工事は認めれらません。自社で請負契約をした工事を対象にしており、注文書の内容を細かくチェックされます。会社の規模はあまり関係ありません。数千円の工事でもそれが請負契約であれば認められます。
経管と専技用でその性格は異なります。経管はなんらかの建設業の請負工事である言葉がはいっていれば問題ありません。経管と専技用でも○○工事ということばは必須になります。
専技は必ず国交省のガイドラインにある工事名が文章に出てこないといけません。出てこない場合は、見積書、明細書などの補強資料が必要です。
注文書、発注書は必ず発注者の印鑑も必要です。請求書は印鑑は不要で振込額のわかる通帳のコピーが必要です。
工事経歴書と経営事項審査
経営事項審査(経審)を受ける場合も工事経歴書を作成しなければなりません。新規許可申請や更新、決算変更届でも工歴を提出して、決算変更届の工事経歴書は決算変更届のものと同じのままでは要件を満たさない場合があるので注意が必要です。
公共工事の入札に参加する場合は経営事項審査の評点の評価につながるので、工事経歴書の記載内容が重要になります。評点が高ければ、入札の参加の機会が増えて受注の可能性も高くなります。
各様式
静岡県の様式リンク先です。
建設業許可申請書等 経営事項審査様式
お問い合わせ先
静岡県交通基盤部
静岡市葵区追手町9-6
電話:054-221-3533
行政書士に相談
このように工事経歴書の作成は複雑でたいへんな作業となりますので、行政書士と相談してからすすめたほうがよいでしょう。下記の当事務所にご相談ください。
行政書士法人アラインパートナーズは、静岡市の建設業許可の手続を専門とする行政書士事務所です。
建設業許可の新規取得だけではなく、経営事項審査やキャリアアップシステムの登録など、建設業に関するスペシャリストとして建設業者様からご相談をいただいております。
ご依頼頂く案件を、建設分野専門の行政書士が責任を持って対応しており、建設業の運営に必要な許可の維持管理や事業経営の課題に対しても最適なサービスをご提供いたします。