建設業許可の欠格要件って?実はとっても重要な要件なんです!!

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建設業許可を取るために必要な許可条件7つのうちの1つに「欠格要件」、「欠格事項」ってあるけどこれって何だろう…?犯歴がなければ大丈夫なのかな?クレジットカードのブラックリストに入ってなければ大丈夫?といろいろわからないことがありますよね。
この欠格要件ですが、簡単に言うと、役員、個人事業主本人が警察のお世話になっている、反社会的な団体に入っているなど、建設業許可を受ける者としてふさわしくない一定の事由に該当する場合、許可は出せません、といった内容になります
しかも、この欠格要件ですが、許可を取ればもう大丈夫、ということではなく、許可取得後にも欠格要件に該当してしまうと許可が取り消されてしまうので、簡単に考えてはいけないのです。実は建設業許可を維持していくためにとっても重要、重大な要件なんです。
今回はこの建設業許可で問題となる「欠格要件」について詳しく解説していきます。

この記事では次の項目に分けてわかりやすく解説していきます。

1 欠格要件の対象者は?
2 これが欠格要件です。
3 欠格要件に該当したら?対策は○○です。

1 欠格要件の対象者は?

建設業許可の条件の1つである「欠格要件」について詳しくお話する前に、ここでもう一度許可条件7つについて確認しておきましょう。

条件① 経営業務の管理責任者がいること。(←「人」に関する条件)
条件② 専任技術者がいること。     (←「人」に関する条件)
条件③ 誠実性があること
条件④ 財産的基礎条件         (←「お金」に関する条件)
条件⑤ 欠格要件
条件⑥ 適正な社会保険の加入
条件⑦ 実態として適切な営業所があること

このように7つある条件の中でも、過去または現時点で不適切、不適正な事案を起こしていないか、等を確認する条件がこの「欠格要件」となります。欠格要件を理解するには、様々なポイントがありますが、いくつか挙げるとすると、禁錮以上の刑の場合は、過去5年以内に欠格要件に該当していないこと(逆を言えば、過去5年より前の禁錮以上の刑の欠格要件であれば問題ないとも言えます。)、欠格要件に該当するのは社長だけか、それとも従業員も含まれるか、欠格要件にはどのような種類の条件があるか、などのポイントがありますので、これらのポイントを押さえながら解説していきます。

欠格要件は建設業法第8条(第17条)に定められていて、これらの欠格要件に該当すると許可が取れない、許可が取り消されてしまう、ということはだいたいの人はイメージできていると思います。おそらくそのイメージの中では、「社員のうちだれかが該当したら………」となっているのではないでしょうか。実はこの欠格要件の対象者は、「会社の役員等」であって、社員ではありません。ですので、役員でない専任技術者が欠格要件に該当したとしても、直ぐに許可が取り消されてしまう訳ではないんです。それでは、欠格要件の対象者について詳しく見ていきましょう。

(法人)

  • 会社(会社そのものも対象になります)
  • 株式会社、有限会社の取締役
  • 執行役(委員会等設置会社)
  • 業務執行社員(持分会社)
  • 理事(法人格の各種組合)
  • 支配人(営業所の代表者など)


(個人事業主)

  • 個人事業主本人
  • 支配人(営業所の代表者など)

法人、個人でそれぞれ役職名が異なりますが、共通して言えることは、実質的に会社、事業所等の経営に影響力がある人物、ポストの方が対象となります。一方、そのように経営に影響力がない、従業員、アルバイト、パートの方が欠格要件に該当していたとしても、建設業許可の取得上問題にならないと言えます。ただし、暴力団関係者等については暴力団排除条例等その他の法令により制限がかかる場合があり、絶対許可上問題ないとは言い切れませんので、その都度、静岡県の建設業課や行政書士に確認を取る必要があります。

【参考:クレジットカードのブラックリストは欠格要件ではありません!】
クレジットカードのブラックリストに載っている人は、欠格要件に該当しそうですが、実は欠格要件ではありません。しかし、自己破産した場合は、自己破産者として欠格要件に該当してしまいますので、その点は誤解のないようにしてください。ただし、破産者でも、破産に伴う制限が解除され「復権した者」については、欠格要件には該当しません。

2 これが欠格要件です。

欠格要件には、大きく分けて「提出書類に関すること」と今まで見てきたように「人に関すること」の2つに分けられます。以下のいずれかの要件(条件)に該当すると、新規の許可を取得することができません。また、許可取得後に該当してしまうと、許可の取消処分を受けることになってしまうので十分注意してください
根拠法令:建設業法 第八条

【書類に関すること】

許可申請書又はその添付書類について、書類中、重要な事項について虚偽の記載がある、又は重要な事項の記載が欠けている。

【人(役員)に関すること】

  • ①破産者で復権を得ない者  ※前記参照
  • ②不正により許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
  • ③不正により許可を取り消されることを免れるために廃業の届け出をした者で、届出の日から5年を経過しない者
  • ④営業の停止、禁止を命ぜられ、その停止、禁止の期間が経過しない者
  • ⑤禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(※補足あり)(参考)禁錮以上…重い順から、死刑、懲役、禁錮、この3つが該当
  • ⑥建設業法、その他関連法令(建築基準法、刑法等)に違反し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • ⑦暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • ⑧暴力団員等にその事業活動を支配されている者
  • ⑨精神の機能障害により建設業を営むために必要な認知、判断及び意思疎通ができない者
  • ⑩申請者が未成年者であり、その法定代理人が上記にいずれかに該当する者

(⑤の※補足について)~執行猶予の場合は?~
執行猶予については少し注意が必要です。執行猶予付きで禁錮以上の判決を受けた人は、欠格要件に該当しますが、執行猶予期間を無事経過し執行猶予期間が満了すれば、欠格要件から外れます。執行猶予という制度は、刑の執行を猶予するという言葉のとおりですが、簡単に言うと、この期間は条件付きで刑が言い渡されている状態で、この期間中、普通に生活して悪さをしないで過ごすことができれば刑はなかったことにしますよ、という制度です。ですので、執行猶予期間を満了したということは当初の刑は失効していますので、⑤のようにさらに5年待つ必要はありません。⑤の「その刑の執行を受けることがなくなった」というのは、「刑の時効が成立した、恩赦で刑の執行が免除された」といったケースとなります。
まとめると…
執行猶予中……欠格要件
執行期間満了…欠格要件には該当しない(5年経過の必要もなし)

○補足:欠格要件に該当しないことの証明書類
欠格要件に該当していないことを証明するために、建設業許可の申請では下記の2つの書類の提出が求められています。対象者は、建設業許可の役員等の経営陣、つまり前記「欠格要件の対象者」であり、全員分の証明書類を用意しなければなりません。
①登記されていないことの証明書
平成12年4月以降の欠格要件に該当していないことを証明します。東京法務局又は全国の法務局・地方法務局の本局窓口(基本的には各都道府県で1箇所)で取得できます。
②身分証明書(身元証明書)
平成12年3月までの欠格要件に該当していないことを証明します。本籍地のある市区町村の窓口で取得することができます。
※身分証明書と聞くと、免許証をイメージしてしまうところですが、ここでいう身分証明書は免許証等の身分証明書ではありません。住民票と同じ窓口で取得することができる、市区町村が発行する書類で、禁治産・準禁治産、成年後見の有無、破産の有無を証明するものです。

なお、暴力団員でないことの証明書は、現在公的書類で存在しませんが、許可申請があった都度、担当部署から警察当局へ照会がされていますので、わからないから大丈夫と思わず、役員選任時点で可能な範囲で調査を行い十分注意しておくことが必要でしょう。

3 欠格要件に該当したら?対策は○○です。

では、許可申請時に役員の中にが欠格要件に該当する者がいないか、身分証明書等の各種資料にてチェックを行い、社長が個人面談を実施したところ、過去5年以内に犯歴がある役員がいることが判明した場合、許可が取得できない、と直ぐに申請をあきらめないでください。ここまで欠格要件についてよく読んでこられた方ならおわかりかと思いますが、欠格要件の対象者はあくまで役員であって、全ての社員、従業員ではありません。

従ってこのケースでは、その欠格要件に該当した者を役員から外し、役員でない部長職等のポストを用意し、一般の社員として勤務してもらえば要件はクリアできるのです。

つまり、対策は「該当者を役員から外す」です。また、欠格要件⑤の「禁錮以上の刑に処せられ」というのは、具体的には「刑が確定した時点」を指しますので、万一、許可取得後に不幸にも役員が容疑者となってしまった場合は、直ちに役員を解任するなどの対応が必要でしょう。

「欠格要件」のまとめ

今回のテーマは「建設業許可の欠格要件」にスポットを当てて説明してきました。欠格要件は建設業許可取得要件7つのうちの1つではありますが、経営業務の管理責任者、専任技術者等と比較すると重要度は低いと受け止められがちです。しかし、今回説明してきたように、許可取得後に該当してしまうと許可が取消しとなるという重要、重大な要素を含んでいます。役員が居酒屋で酔っ払い、けんかして捕まった、飲酒運転で捕まってしまったなど、日常ではこのような不幸なことが起こる可能性はゼロとは言えません。常日頃から、社内においてコンプライアンス重視の教育を徹底し、意識を高く持つなど、欠格要件に対するリスクマネジメントを持つことが非常に大切です。今回の記事を参考に、引き続き健全な建設業の運営に心がけていきましょう。

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