建設業で500万円前後の工事を請け負う場合、材料費を含めた請負金額が消費税込500万円以上か500万円未満かどうかで判断されます。
材料費や消費税も請負金額に含まれますので500万以上となって建設業許可がない場合は、罰則の対象となります。
判断するのは、所轄の監督官庁が行います。事前に行政書士に相談しておいたほうがよいでしょう。建設業許可は違反すると罰則もあります。静岡県下であれば、行政書士法人アラインパートナーズに相談してください。
建設業許可の500万円の基準と材料費などの関係について詳しく解説します。
建設業許可とは
建設工事の完成を請け負う営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかに関係なく、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。
ただし、軽微な建設工事のみを請け負う場合には、建設業の許可を受けなくてもよいことになっています。
「軽微な建設工事」は、次の建設工事をいいます。
建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
建築一式工事以外の建設工事で工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
この金額には消費税を含みます。
建設業における材料費の割合
建設業における材料費の割合は、工事の種類や規模、施工方法、地域によって違ってきますが、一般的な目安として次のような割合になるとされています。
材料費の全体の割合
建設業の総コストにおける材料費の割合は、約30~50%とされています。
- ただし、次の要因によって変動します。
- 工種(建築工事、土木工事、電気工事など)
- 使用する材料の種類(鉄鋼、コンクリート、木材など)
- 規模(小規模工事と大規模プロジェクト)
- 地域差(材料調達コストが異なる)
工種別の材料費の割合
工事の種類によって材料費の割合は次のように変わります。
建築工事の材料費
約40%~50%
構造材料(コンクリート、鉄骨、木材)や内装材の材料が占める割合が大きい。
土木工事の材料費
約30~40%
トラックや重機使用に伴う燃料費や作業員費が比較的高い
設備工事(電気・給排水)の材料費
約25%~35%
配線、配管、機器類など、特定の設備材料がコストを左右する。
建設業許可の500万円の基準
材料費は請負金額に含まれる
500万円未満という要件は、材料費を含んでいます。「注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを請負代金の額とする」と建設業法に規定されています。
請負金額は、材料費や運送費の金額も含めた合計の金額にしなければなりません。無償で材料が支給された場合でも、その材料の一般的な市場価格を算出して請負金額に合算しなければなりません。
建設業法施行令には次のとおり定められています。
(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
第一条の二
3 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。
建設業法施行令では、注文者が材料を提供する場合は、その材料費及び運送費も請負金額に含めるとされています。
材料が注文者から提供される場合、請負契約の金額と別になっていても、それは請負代金の額に含まれるということです。
材料費が請負契約に含まれていなくても、材料費を含めた金額が、
建築一式工事:請負代金額1,500万円未満/1件
150平方メートル未満の木造住宅工事
その他工事:請負代金額500万円未満
を超えた場合は、建設業の許可を取得しなければなりません。
機械器具販売
何百万円の大型機械を販売して、指定された場所へその機械を設置する工事を行う場合、大型機械の販売代金が既に500万円以上となることがあります。
機械器具を販売や設置する場合は、建設業許可を受けておかなければならないことになります。
設置工事は数十万円しかかからないから、建設業許可は不要という訳にはなりません。
消費税も含まれる
500万円未満という要件は消費税も含まれています。許可のない建設業者は、請負契約を締結する場合は、注意が必要です。
500万円以上の工事をした場合の罰則
建設業許可を取得せずに500万円以上の工事を請負うと罰則を受けることになります。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金となる可能性があります。
さらに、今後、建設業の許可を取得しようとしても欠格要件に該当してしまい一定期間許可を取ることができません。
許可業者であったとしても、虚偽申請であったり許可業者としての義務を果たさない場合は6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることがあります。
社員など個人が違反をした場合であっても、その社員が所属する会社も罰則の対象となります。
下請けが許可を取得していないと元請として罰則の対象となる
500万円以上の工事を無許可の下請業者に出し工事をした場合、罰則は下請業者だけではなく元請も受けることになります。
下請業者が建設業法違反をした場合、元請業者に立ち入り調査が入ることもあります。
同業者からの通報
競合している同業者によって通報されることもあります。匿名で監督行政庁に通報するケースもあります。
会社組織的に無許可営業が行われていた場合、法人の代表者も逮捕されることがあります。
500万円以上になりそうな場合
500万円以上の超える工事を、500万円未満になるように分割することはできません。
請負金額は工事の実態に合わせて判定することになっており、別の工事と合理的・客観的に証明できなければ請求書を分割することはできません。
工事を分割、あるいは付帯工事を別の工事とみなす、または材料費を除くこともできません。
仕事請負の辞退
仕事を辞退するのが一番手っ取り早い方法です。
建設業許可を持つほかの業者を紹介
断るのもいいですが、たとえば付き合いの長いお客さんでは、そうもできない場合があります。そのような場合は、建設業許可を持つほかの業者を紹介してもよいでしょう。紹介すれば、今度はその業者から500万円未満の仕事が来るかもしれません。
建築一式工事
建築一式工事になるか検討する方法もあります。建設業法の「軽微な建設工事」とは、次の建設工事をいいます。
建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
専門工事とは違って建築一式工事の場合は建設業許可がなくても1,500万円まで請け負うことができます。
たとえば、リフォーム関係の工事で内装仕上工事や電気通信工事、ガラス工事などの種類の多い工事の場合などです。
ただし、建築一式工事に該当するかどうかの判断は、当事者の建設業者ではなくて監督官庁が行うこととなります。事前に監督官庁に相談しておいたほうがよいでしょう。