建設業許可には取得対象の業種が29業種があり、今回はその中の「機械器具設置工事業」について徹底的に詳しく解説していきます。この記事を読めば、機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な条件、資格、業種の内容について詳しく知ることができます。
この記事では次の項目に分けてわかりやすく解説していきます。
1 機械器具設置工事業の許可が必要になる工事とは?
2 機械器具設置工事業の内容
3 機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件
4 機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格
5 機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な書類
1 機械器具設置工事業の許可が必要になる工事とは?
機械器具設置工事業は、500万円以上の「機械器具設置工事」を請け負う場合、必要となる業種です。この500万円には注文者から支給された材料費及び材料運搬費も含みますので、例えば、請負額が490万円だから建設業許可はいらない、のではなく、この工事で注文者側から30万円程度の材料費が支給されている場合、合計で500万円以上となるため建設業許可を受けていないと工事を請け負うことができない、という点に注意してください。
また、工事を意図的に2回に分けて請け負ったとしてもダメです。仮に、意図的ではなく、結果的に2回に分かれてしまい、それぞれが500万円未満の工事であったとしても、その工事が結果として一つの工事として見なされる場合、建設業許可を受けている必要があります。
ただし、家を一棟新築するなどいわゆる建築一式工事の場合は、延べ面積が150㎡未満の木造住宅であれば、例外的に許可は必要ありません。また、150㎡以上であっても、請負金額が1,500万円未満であれば許可は不要となっています。この2つのケースのみが500万円以上の例外規定となっています。
2 機械器具設置工事の内容
機械器具設置工事とは、「機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事」と定義されており、具体的な工事名称としては、「プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事」が建設業許可における機械器具設置工事とされています。
機械器具設置工事は建設業許可29業種の中でも、最も取得が難しいといっても過言でない業種で、機械式装置、機械設備等の工事内容が、基本的には、とび・土木工事業、電気工事業、電気通信工事業、管工事業等と重複する場合は、それぞれの業種に分類され、これらのいずれにも該当しない機械器具に関する工事、プラントなどの複合的な機械装置の設置に関する工事の場合に限り、機械器具設置工事に該当するという考え方があり、この考え方が非常に複雑で困難であることが要因の一つとなっています。国土交通省の建設業許可ガイドラインにおける機械器具設置工事の例示としては、以下の記載するいくつかの工事がありますが、この工事であってもその内容によっては機械器具設置工事として認められないケースも考えられます。機械器具設置工事の基本的な考え方、
こういった条件を満たしているかが非常に重要なポイントとなってきます。
それでは、国土交通省の建設業許可ガイドラインで例示されている機械器具設置工事の各工事について説明していきます。
プラント設備工事とは、石油・ガスなどのエネルギーや石油製品、鉄鋼材料等の様々な資源や素材を生み出す生産設備であるプラント設備を整える工事のことをいいます。そもそもプラントとは英語でPLANTと記載し、一般的には植物の意味をイメージされるかと思いますが、その他に生産設備や大型機械といった意味もあり、もちろんここでは後者の意味になります。建設業において、プラントと言えば、様々な生産設備や生産用機械が複数組み合わされて作られた一種の工場地帯のことをいいます。湾岸等に設置された、夜の夜景工場地帯のような大きな規模の施設ばかりではなく、設備や機器が複数組み合わされていれば大きさの規模に関係なくプラントと呼ばれています。具体例として挙げますと、生コンクリート工場は、貯蔵する設備、製造する設備、これらを接続する配管等で構成されています。それぞれの設備には計器類が取り付けられていて厳密に管理されています。生コンクリート工場のほか、石油プラント、ガスプラント、化学プラント、鋼鉄プラント等同様に複数の設備から構成されている集合体、工場のことをプラントと言っています。一方、一般的に呼ばれている工場との違いは何でしょうか。プラントは複数の設備から構成されている集合体ですが、工場の場合は設備が1つだけという違いです。2つ以上の大きな設備で構成されていればそれはプラントであり、設備自体が1つであれば工場となります。工場は、機械化された生産ラインがあり、そこで様々なものが生産されます。代表的な例が、自動車工場や食品加工工場です。自動車工場や食品加工工場は、それぞれ、自動車を作る設備、食品を加工する設備が1つずつあり、工場として自動車を生産、食品の加工を行っています。プラント設備工事の一般的な工事の流れとしては、まず、設備機器を設置するための台(架台)の設計、施工を行い、基礎的な部分を作ります。架台は空調機や制御盤、制御用サーバ等の重量物を設置するために必要な施設設備です。次に、プラント内の設備を点検するための通路、点検用足場を設置します。プラントはタンク等比較的高い施設が多いため、ハシゴや点検用足場を設置する必要があり、規模によっては点検やメンテナンス用の作業車用通路を設置することもあります。作業者用の通路が準備できたら、いよいよ機械本体の設置となります。ポンプ、モーター、ボイラー、タンク、計測機器等の機械類を据え付け、設置していきます。機械本体の設置が完了したら、最後にこれら機械類を配管等で接続し、動作確認等の点検作業を経て工事完了となります。これはあくまでプラント設備工事の一例であり、それぞれの設備の入替工事、メンテナンス工事もプラント設備工事の1つであり、建設業許可の機械器具設置工事に入替工事、メンテナンス工事が該当するかは、その工事内容によって異なってくるため、工事ごとに内容を精査、確認する必要があります。単なる点検、維持を目的としたメンテナンス工事は、建設業許可の工事には該当しませんのでその点注意が必要です。
運搬機器設置工事とは、建物の内外において、人、重量物等を移動させる機械装置等を設置する工事のことをいいます。運搬機器設置工事は単に、重量物を移動させる機械装置だけでは該当せず、必ず建物と一体となっていることが必要です。例えばエレベーター、エスカレーター、工場内の移動式クレーン、ホイストクレーン等が該当します(エレベーター設置工事は、昇降機設置工事とも呼ばれることがあります。)。一方で、建物と一体となっていない、印刷製本用機器、木材合板用機器、食品用加工・充填機器その他産業用機器などは、建物と一体となっていない、建物に接続されていない機械装置(アンカー等の固定はとび・土木工事業に該当します。)は、運搬機器設置工事、機械器具設置工事に該当しません。このような単体で稼働する機械装置は建物に接続されておらず、極端な例を言えば、建物がない屋外でも稼働することが可能です。運搬機器設置工事に限らず機械器具設置工事では、必ず”建物と一体となっているか”、”単体としては機能しないが建物に接続され建物と一体となって機能するものか”、という視点で考えることが重要です。建物と一体となっているかという考えについてもう少し詳しく解説しますと、エレベーターは通常、1階から2階、3階へと人や重量物を運搬する機械装置ですが、これは建物が1階、2階とフロアーに分かれており、エレベーター単体ではエレベーターとしての意味がなく、建物の中に設置されるからこそエレベーターとしての機能が発揮されるという考え方になっています。また、そういった考え方でベルトコンベアーを見てみますと、例えばベルトコンベアー付きの食品用加工機械で、調味料等を容器に充填し、それをベルトコンベアーを使って箱詰めするという機械があったとします。通常、このような機械は機械単体でその機能が発揮される(機械が自動的に調味料を充填し箱詰めしてくれる)ため、運搬機器設置工事、機械器具設置工事に該当しませんが、ベルトコンベアーで1階と2階を接続し、1階で容器に充填された調味料を2階までベルトコンベアーを使って運搬し、ラベルを貼付し箱詰めする、といったように建物に接続され、建物と一体となってその機能、効力が発揮されるような場合、例え食品用加工機械であっても、運搬器具設置工事、機械器具設置工事に該当する可能性は十分あります。このように、機械器具設置工事でも特に運搬機器設置工事については、フロアー間の移動があるか、その機器が建物に接続、設置される工事かといった視点で考えて判断することが必要です。
内燃力発電設備工事とは、「ないねんりょく」発電設備と読み、内燃機関を使って発電機を回し、電気を発生させる発電設備を設置する工事のことをいいます。もう少し具体的に説明しますと、燃料を機関の内部で燃焼させ、その高圧燃料ガス等の膨張力により機関を駆動させ、この力を利用して発電させる方式の発電設備の工事のことです。主な発電設備の種類としては、使用する燃料によって分けられており、ガス機関発電設備、ガソリン機関発電設備、石油機関発電設備、ディーゼル機関発電設備の4つがあります。特にディーゼル機関発電は、オフィスビルや病院等に設置されている自家用発電設備、非常用電源設備などに多く用いられており、ディーゼル機関発電設備の代表例として挙げることができます。ディーゼル機関発電設備やガスタービン発電設備は、離島用電源としても利用されており、起動、停止が簡単で、起動から立ち上がりまでの時間が短い、設備が容易で、必要な設置面積が比較的小さくて済む、大量の冷却水を必要としないといったメリットがある一方、振動や騒音が大きく、窒素酸化物等の有害物質の発生量が多い、排気温度が比較的高い、といったデメリットもあります。
集塵機器設置工事とは、主に工場等で金属や木材などを加工する際に発生する粉じんを吸引、捕集し、浄化した空気を排気し、空間をクリーンにする集塵装置を設置する工事のことをいいます。産業用の製作施設である工場では、日々様々な加工作業を行っており、その過程でどうしても材料のかす、ホコリである”粉じん”が発生してしまいます。粉じんはそのまま放置しておくと、工場内を浮遊した後、地面に堆積し、人体及び工場施設へ悪影響を及ぼします。粉じんは鉄粉でありある一定量を吸い込み続けることは人体に有害ですし、空気中を浮遊した粉じんが他の機械や電子機器、また、施設内のドアや窓の設備の隙間に入り込むと機器や施設設備の故障、不具合に繋がりかねません。こういった状況に陥らないよう集塵機器設置を設置し、生産過程で発生した工場内の粉じんを吸引、捕集することで、工場内の空間を常にクリーンに保つことができます。なお、集塵装置は、機械式、電気式、乾式、湿式、音波式など様々な種類の装置があり、目的によって単独または組み合わせた設置に工事が行われています。中には、人体に有害なアスベスト(石綿)の粉じんを吸引、捕集する、公害対策使用の専門の集塵機器の設置工事も行われています。
給排気機器設置工事とは、機械器具設置工事において、特に、トンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事のことをいいます。ここで注意が必要な点として、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は「機械器具設置工事業」ではなく「管工事業」に該当するということです。トンネル内では、通行車両から出る排気ガスを喚起して、排気ガスによる透過率の低下を防ぎ、十分な視界を確保することが交通安全上必要です。万が一、トンネル内で火災等が発生した際には、給排気機器が排煙設備として煙を外部に排出する役割も担っています。このため、高速道路などの大型のトンネルには、換気ファンや、換気用ジェットファン、各種計測機器等を備えた給排気機器を設置する工事が行われています。また、高速道路等における大型のトンネルのほか、マンションや大型商業施設の地下駐車場等においても同様に、ダクト、給気ファン、排気ファン、インバーター制御盤等から構成された給排気機器の設置工事が行われています。これら給排気機器には、必ず大型の換気ファンが設置され、外部からクリーンな空気を取り入れ、トンネル内、地下空間の汚れた空気を排出しており、周辺環境に応じ空気清浄機器等を介して、これら汚れた空気を綺麗な空気に変換して外部に排出しています。給排気機器設置工事についても、機械器具設置工事の対象となるのは、単一で給排気を行っている機器の設置工事ではなく、このようにファンや計測器、これらを接続する配管、制御する電子制御盤等複数の機器、部品から構成されていることが必要です。
給排気機器設置工事とは、機械器具設置工事において、特に、トンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事のことをいいます。ここで注意が必要な点として、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は「機械器具設置工事業」ではなく「管工事業」に該当するということです。トンネル内では、通行車両から出る排気ガスを喚起して、排気ガスによる透過率の低下を防ぎ、十分な視界を確保することが交通安全上必要です。万が一、トンネル内で火災等が発生した際には、給排気機器が排煙設備として煙を外部に排出する役割も担っています。このため、高速道路などの大型のトンネルには、換気ファンや、換気用ジェットファン、各種計測機器等を備えた給排気機器を設置する工事が行われています。また、高速道路等における大型のトンネルのほか、マンションや大型商業施設の地下駐車場等においても同様に、ダクト、給気ファン、排気ファン、インバーター制御盤等から構成された給排気機器の設置工事が行われています。これら給排気機器には、必ず大型の換気ファンが設置され、外部からクリーンな空気を取り入れ、トンネル内、地下空間の汚れた空気を排出しており、周辺環境に応じ空気清浄機器等を介して、これら汚れた空気を綺麗な空気に変換して外部に排出しています。給排気機器設置工事についても、機械器具設置工事の対象となるのは、単一で給排気を行っている機器の設置工事ではなく、このようにファンや計測器、これらを接続する配管、制御する電子制御盤等複数の機器、部品から構成されていることが必要です。
揚排水機器設置工事とは、水を低いところから高いところへ移動させる、または、溜まっている水を別のところへ配水させる揚配水機器を設置する工事のことをいいます。揚配水機器は、いわゆるポンプ設備のことで、ポンプ設備、ポンプ駆動設備、関し操作制御設備、電源設備、除塵設備、附属設備等複数の機器で構成されています。主なポンプ設備の種類としては、容積型ポンプ設備、ターボ型ポンプ設備、特殊型ポンプ設備などあります。容積型ポンプ設備は、ポンプの中に一定量の水などの液体を吸い込み、押し出す力によって排出するポンプで、分かりやすい例で言えば、井戸水のくみ上げを行っているポンプはほとんど容積型ポンプ設備です。その他、薬品工場、食品工場など粘土が高い液体を移動させる場合もこの容積型ポンプ設備が用いられています。ターボ型ポンプ設備は、ファンを回転させて液体を移動させる種類のポンプ設備です。高速回転、連続回答といった使い方も可能で、水道施設から化学プラントまで様々なシーンで利用されているポンプ設備です。特殊型ポンプ設備は、水や蒸気のジェット噴射の力を利用したポンプで、特に噴射ポンプは構造が比較的簡単な仕組みで故障も少なく、設置場所も狭い場所も可能であることから、家庭用の深井戸ポンプ設備として利用されています。その他、各現場で設置されている揚排水機器としては、雨水排水ポンプ機器、高潮対策ポンプ機器、工業用取水ポンプ機器、農業用排水ポンプ機器、水道用中継ポンプ機器、下水道用中継ポンプ機器、ブロワー機器等多数のシーンで揚排水機器設置が用いられており、これらの新設、更新等の揚排水機器設置工事が行われています。
ダム用仮設備工事とは、コンクリートを作る製造設備やこれに伴うコンクリート用のセメントサイロなどダム本体工事の前に必要な仮設備を設置する工事のことをいいます。ダムの製作は工期が年単位に及ぶ大規模工事のため、設置しようとする河川で全て工事するのではなく、コンクリートダムに必要な大量のコンクリートの製造、貯蔵、そしてこれらの設備を建設する場所、資材置き場、資材運搬用の道路など大がかりな事前の準備が必要であり、このうち、コンクリートの製造整備や貯蔵用のセメントサイロの工事のことを、特にダム用仮設備工事と呼んでいます。ダム用仮設備は、コンクリート製造整備、セメントサイロや骨材貯蔵設備、これらを接続するベルトコンベアー、セメントを運搬するケーブルクレーン、タワークレーンなどで構成されています。製造されたコンクリートはケーブルクレーンを使って建設するダム現場まで移動させ、バケツのようなバケットを装備したタワークレーンを使ってコンクリートを打設する高さまで下げて運搬させます。このように、外観からのイメージはセメント製造工場の設備、または、プラント設備と一部似ている箇所があるかもしれません。このダム用仮設備工事が建設業許可の機械器具設置工事の例示に挙げられているのは、このようにコンクリート製造整備、骨材貯蔵設備、ベルトコンベアー、ケーブルクレーン、タワークレーンなど複数の機械器具が組み合わさった上で機能しているという点もその理由の一つと言えます。
遊技施設設置工事とは、遊園地のメリーゴーランド等の遊戯施設やゲームセンターに設置されている大型のアトラクション設備などを設置する工事のことをいいます。遊戯施設設工事の対象である遊技施設には、メリーゴーランドのほか遊園地内に設置されている施設のほとんどは該当してきます。既製品であるゲーム機器や小さなこどもが乗る遊具等は搬入して、据付、設置になる工事が多く、これらはとび・土木工事業に該当しますが、遊園地内に大規模に設置されている施設は、その場で様々な部品から組み上げて製作する遊技施設が多く、ジェットコースター、ローラーコースター、空中ブランコ、バイキングなどの遊園地にある設置工事は、機械器具設置工事の遊技施設設置工事に該当してきます。遊園地以外でいわゆるアミューズメントパークやゲームセンターに設置されているミニSL等のミニ鉄道遊技施設やキッズ用のミニ観覧車などもその場で部品から組み上げて製作しているものはこの遊技施設設置工事に該当します。このほか、パチンコ店内にあるパチンコ台、スロット台、紙幣搬送システム機器、玉やメダルの洗浄機器等も工事の内容によっては遊技施設設置工事に該当します。ポイントは何度も説明してきましたが、単に搬入し設置しているだけか、それとも、部品を現場に持ち込んでそこで組み上げて製作しているかの違いです。パチンコ台やスロットは通常工場で製作されて搬入設置することが多いと思いますが、特別仕様の台で各部品を持ち込んで現場で製作するような台であれば機械器具設置工事の遊技施設設置工事に該当します。また、紙幣搬送システム機器は各パチンコ台、スロット台等から紙幣を紙幣金庫までエアー等を使って搬送する機器ですが、これらは遊技施設内にありパチンコ台、スロット台という遊戯施設と接続されていることから、通常は遊戯施設設置工事に該当するところ、その機能としては機械器具設置工事の運搬機器設置工事にも該当する可能性があります。設置工事の内容、状況によって判断されますので、このような特殊機器の工事で機械器具設置工事の実績を証明する場合は、事前に県の建設業課に確認を取るようにしましょう。ただ、いずれの場合であっても、機械器具設置工事に変わりはありませんので、実績として証明する場合には特段問題はありません。
舞台装置設置工事とは、劇場、ホール、ライブハウスなどの舞台装置の設置に関する工事のことをいいます。具体的には、劇場などの舞台で回転する装置、大黒幕やどん帳、文字幕などのステージ幕の可動装置などを設置する工事などが挙げられます。これらは一般的に、総称して舞台装置と呼ばれており、このほかに照明器具や音響器具を昇降させるための吊り物機器、床が可動する特殊機構の機器等が含まれます。舞台装置設置工事は、一見して、劇場、ホール、ライブハウスなどの施設自体と考えがちですが、吊り物昇降機器、各種滑車、制御盤、ワイヤー、ライト、格納式音響反射板、サスペンション機構等複雑な機器が組み合わさったものであり、これらの機器が劇場、ホール、ライブハウスの建物と一体となって機能しているという点から、機械器具設置工事の基本的な考えにそった工事であると言えます。設置施設としては、劇場、ホール、ライブハウスのほか、学校の講堂、体育館の舞台、映画館、大型施設の宴会場、テーマパークなど多数ありますが、単に舞台を設置するだけの工事では舞台装置設置工事に該当しません。必ず機械を使った何かしらの”仕掛け”が施されている必要があり、ワイヤーやモーター、滑車などで舞台装置の様々な機械を制御盤等でコントロールする装置を設置する工事である必要があります。また、舞台装置設置工事もエレベーターが組み合わさった機構のものもあり、状況によっては、運搬機器設置工事とみてとれるケースもあるかもしれませんが、これはその工事の内容によって判断が分かれるところです。ただ、いずれの場合でも機械器具設置工事には間違いありませんので、舞台装置設置工事として請負実績を証明する場合は、各機器から構成された舞台装置の工事であることを契約書、発注書、請求書等で証明することが必要です。
サイロ設置工事とは、生産原料や農作物、飼料等などを大量に貯蔵する、大型の管理された貯蔵庫であるサイロを設置する工事のことをいいます。サイロと言えば牧場などの牛の餌になる牧草などの飼料を貯蔵する大きな筒状のタンクをイメージされる方が多いかもしれませんが、建設業界でサイロと言えば、一般的にセメント用サイロやアスファルト用サイロ、石炭サイロ等の工業用サイロのことを指します。よって、建設業許可におけるサイロ設置工事は、原則、このようなセメント用サイロ、アスファルト用サイロ、石炭サイロ等を想定して工事の例示として取り上げられているところ、その構造によっては、外観上、単なる貯蔵庫と見られる農産物、飼料等の農業用サイロもサイロ設置工事の対象として考えることができます。そもそも貯蔵庫であるサイロの設置工事がなぜ機械器具設置工事の例示として挙げられているのでしょうか。工業用のセメントサイロ等は単にコンクリートの原料であるセメントを貯蔵しているだけのものではなく、粉末状のセメント用の集塵設備や材料を搬送するためのエアーポンプ、計量機器、搬入搬出弁装置、これら周辺設備と貯蔵庫と接続する輸送管等数々の機械設備から組み合わさって作り上げられています。一見して、下からお米が取り出せる米びつのように単に材料を貯蔵するだけの貯蔵庫にも見えますが、温度管理、粉塵管理、計量管理、材料の搬入搬出等を行うための複数の付属機器から構成されており、サイロ設置工事はまさに機械器具設置工事の一つであると言えます。セメント用サイロは、サイロ内にコンクリートの原料であるセメントを大量に適切な環境下で貯蔵しておき、コンクリート製造時セメントを取り出し、水、骨材、混和材等と混ぜ合わせコンクリートを製造します。セメント用サイロは、先述したダム用仮設備の構成施設の一部であることもあり、一般的には生コンクリート工場等に設置されています。アスファルト用サイロも、セメントとほぼ同様の構成となっています。また、サイロは貯蔵タンクの下部から原材料を取り出す方式のホッパー式サイロ、地面に底が付いている平底式サイロ、移動可能な移動式サイロ等その用途ごと様々な種類のサイロが存在しています。
立体駐車設備工事とは、平面の駐車場ではなく文字通り駐車場を立体化、多層化してより多くの車両を止められるようにした施設に関する工事のことをいいます。立体駐車場というと大規模な施設をイメージしてしまいますが、中には、小規模店舗用、マンション用、中には家庭用の立体駐車場もあります。立体駐車場には、「機械式駐車場」と「自走式駐車場」の2つの種類がありますが、機械器具設置工事でいう立体駐車場設備工事は機械式駐車場の設置に関する工事のことを指しています。自走しない、車両のみが昇降する機械式の駐車場であれば「機械器具設置工事」です。一方で、マンションやショッピングモール等で見られる自走式の立体駐車場は、規模やその構造等にもよりますが、工事内容によっては「土木一式工事」や「鋼構造物設置工事」等に該当する可能性があります。立体駐車場設備工事で取り付けを行う機械式駐車場には、さらにタワー式駐車場と多段式駐車場の2つのタイプがあります。タワー式駐車場は車両をエレベーターのような運搬機で高層のタワー内に移動させる方式(観覧車のように回転させるタイプや上下左右にスライドするタイプがあります)の駐車場で、一定の敷地があれば相当数の収容台数の確保が見込める、収容効率が非常に良い、方向転換せず前進でそのまま入庫、出庫ができる、タワー内収納のためセキュリティー面で優れているといったメリットがあります。一方、多段式駐車場はマンションの屋外でよく見られる駐車場で、車両を鉄製のパレットの上に載せて移動させて収納する方式で、二段、三段と棚のようにスタックして格納するタイプの駐車場です。多段式駐車場は、比較的狭い土地でも設置が可能、小規模工事での対応が可能、車両をパレットの装置内に収容するのである一定のセキュリティーが確保できると言ったメリットがありますが、タワー式駐車場に比べ収容台数、収容効率は大きく劣り、また、バックでないと駐車できないと言ったデメリットもあります。いずれのタイプも、車両内に忘れ物があった際は、一度出庫しないと取り出せない、朝晩等入庫、出庫待ちの行列ができる、定期的なメンテナンスが必要でその間は駐車場が利用できないといった立体駐車場特有のデメリットがあります。機械式立体駐車場の構造は、車両を格納する鉄板のパレット、パレットを動かす、チェーン、チェーンベルト、駆動させるモーター、スプロケットと呼ばれるギヤー等の各種駆動系機器、電気設備、制御盤等で構成されており、立体駐車場設置工事は、複数の機械で構成されている機械装置の工事という、まさに機械器具設置工事の条件を満たした工事であると言えます。立体駐車場設置工事に当たっては、その構造が車両をパレットに乗せて積み上げる、多段式駐車場であることから、パレットの落下防止装置、停電時や緊急時の停止装置、重量オーバー時の検知装置等の安全装置も設置されています。
次に建設業許可の許可業種における区分けについてみていきます。
まず、冒頭も説明しましたが、一般的な用語として、「機械器具設置工事」には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては、その工事の内容が「電気工事」、「電気通信工事」、「管工事」、「とび・土木・コンクリート工事」「消防施設工事」等と重複するものもあり、このように工事内容が重複するものについては、原則として「電気工事」等それぞれの専門の工事に区分けされ、これらいずれにも該当しない機械器具、または、複数の機械装置が組み合わさって製作される機械器具に関する工事が「機械器具設置工事」に該当するという考え方になっています。機械器具設置工事の基本的な考え方は次のとおりです。
次に、公害防止施設を単体で設置する工事については、建設業許可の「清掃施設工事」ではなく、それぞれの公害防止施設ごとに考え、例えば、排水処理設備であれば「管工事」、集塵機器設備であれば「機械器具設置工事」等に区分けされるという考えで判断します。
揚排水機器設置工事については、地面を掘ってポンプを設置する工事が想定され、とび・土工・コンクリート工事とさく井工事と区分けに迷うケースが多々あります。揚排水機器設置工事、いわゆるポンプ設備設置工事については、ポンプ設備が工場等ですでにできあがった既製品であり、それを現場で設置、据え付けるだけであれば、とび・土工・コンクリート工事に該当し、部品等を持ち込み設計書に基づいて現場で組み立ててポンプ設備を新設するような場合は、揚排水機器設置工事になる可能性が高いと言えます。一方、井戸を掘って水をくみ上げるための揚水設備を設置する工事であれば、さく井工事に該当します。さく井工事の場合は、「さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事」と定義されていることから、さく井機器を使用してさく孔、さく井をしているかがポイントになります。
一方、機械器具設置工事に該当しないケースとしての具体例は、以下のようなものが挙げられます。
建設業法にいう機械器具設置工事とは、「機械器具の組立て等により、土木若しくは建築に関する工作物(以下、単に「工作物」という。)を建設し、又は工作物の一部を組成し若しくは一体となって効用を発揮する機械器具を工作物に取り付ける行為をいう。」と定義されており、商品生産設備として工場又は事業所において使用される機械器具(いわゆる投資財機械…工作機械、印刷製本機械、製材木工合板機械、食品機械、鍛圧機械、産業用電子機器など)を工作物に単に緊結する工事は、通常、機械器具設置工事には該当しません。例えば、ドレッシングやマヨネーズ、ソース等の食品加工用の充填機械やシャンプー、化粧品等のボトル用の充填機械は、外観は機械で作られたロボットでベルトコンベアーも付属していることから、一見して、機械器具設置工事に該当すると考えがちですが、これらの商品生産設備については、「工作物と一体となって効用を発揮する」つまり工場との建物と一緒になってその機能を発揮するという点が欠けているため、機械器具設置工事に該当しないのです。もう少し詳しく説明すると、極端な話、これら充填機器等の商用生産設備は、屋外でも電源があればその機械の目的を達成することができるからです。充填機器であれば容器にドレッシングやマヨネーズ、シャンプーを充填すれば、その機械を使う目的は達成されるわけで別に建物等の工作物がなければ機械の目的を達成できないということはありません。同様に、大型の印刷製本機や産業用ロボット等も同じ考え方になってきます。ただし、充填機器や産業用ロボットも”建物と一体とならないとその機能を発揮できない”という構成であれば、機械器具設置工事に該当する可能性はあります。充填機器であれば1階で充填し、ベルトコンベアで2階へ運ばれ、箱詰めまで行うような大型の専用の機械一式の工事であれば、機械器具設置工事に該当する可能性がでてきます。このような構成の機械器具は、建物と一体となっていなければこの機械を導入している意味がなく、まさに建物と一体となってその効力、性能を発揮していることになるからです。
以上、ここまで機械器具設置工事における他の業種との区分け及び機械器具設置工事の考え方についてみてきましたが、その工事が機械器具設置工事に該当するか否かの判断は、審査機関の担当者、建設業専門の行政書士でも難しいところであり、機械器具設置工事業の許可取得を目指す場合は、資格での取得が非常に難しいことから(認められている国家資格は国家資格の中でも特に難しいレベルの資格だからです)、ほとんどの場合、機械器具設置工事の請負実績で証明することになりますので、審査機関である静岡県の建設業課に事前に何度か確認をすることが取得を目指す上で非常に重要です。
機械器具設置工事は「機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事」と定義されているとおり、基本的には、工事現場で複数の機械器具を組み合わせながら建物等の工作物に取り付けて製作し、建物等と一体となって製作した機械器具がその効力を発揮する、といった内容の工事となります。許可行政庁である、静岡県の建設業課担当者に確認をしましたが、機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な契約書、注文書、請求書には、具体的な工事名称である「プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事」という名称が記載されているか、または、記載されていたとしても、その工事内容が先述した機械器具設置工事の考え方に合致したものか、工事の明細書、工事説明書、設計書、図面、写真、パンフレット等により確認できる必要があるとの回答を得ております。従いまして、今後、許可の取得を考えている方は、契約書、発注書、請求書のほかにこのような機械器具設置工事であるということを説明できる”付属書類”をしっかり保管しておくことが特に重要なポイントです。
3 機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件
ここでは、機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件について、具体的に解説していきます。条件は7つありますが、それぞれ難易度が異なりますので、ここでは参考として難易度を★の数で表しました。やはり一番難しいのが、「人」の条件、経営業務の管理責任者、専任技術者となれる人がいるか、という2つがポイントです。この2つのポイントをクリアできれば、許可取得の可能性は80パーセント以上と考えてよいでしょう。
①経営業務の管理責任者がいること
②専任技術者がいること
③財産的基礎条件
④適正な社会保険への加入
⑤欠格要件に該当する者がいないこと
⑥誠実性があること
⑦実態として適切な営業所があること
建設業許可の条件①経営業務の管理責任者がいること(難易度★★★)
まず最初に7つの条件の中で最もハードルが高いと言われている「経営業務の管理責任者」です。建設業許可を取得するには、「建設業の経営を適正に行える経営者」の存在が求められています。通称「けーかん」と呼ばれることが多い、この経営業務の管理責任者ですが、法人の場合は役員(取締役)の経験が、個人事業主であれば事業主の経験が、トータルで5年以上必要です。個人事業から法人化した場合、個人事業主と取締役経験を合計して5年以上あればOKです。
建設業許可の条件② 専任技術者がいること(難易度★★★)
①の次に難易度の高い条件がこの「専任技術者」です。この条件は、各営業所に次の条件を満たしている従業員が1人以上(取締役、事業主でもOKです。)いるか、という条件となっています。※アとイ、両方ではなくいずれかでOK
ア 取りたい業種に関係する国家資格をもっている。
イ 取りたい業種の実務経験が10年以上ある。
建設業法では、これらの条件を満たしている「専任技術者」(通称:せんぎ)を置くことで、建設業許可を取得した会社の一定レベルの技術、スキルを担保しています。一つ注意しなければいけない点に、この条件は「各営業所ごとに1人以上」ですので、もし会社として営業所が3つあれば、専任技術者も3人以上必要となってきます。
なお、上記イの「実務経験10年以上」の条件には緩和措置の制度があります。関係する短大、大学の学科を卒業していれば、実務経験は3年以上でOK、関係する高校の学科を卒業していれば、実務経験は5年以上でOKと期間が短縮されます。
ここでいう「関係する学科」については業種ごと国土交通省が詳細に定めているので、緩和制度を使用して専任技術者の条件を満たそうとする場合は、事前に静岡県の建設業課が発行している「建設業許可の手びき」で確認するか、静岡県内の建設業許可専門の行政書士に相談するようにしましょう。
また、イの「実務経験10年以上の条件をクリアしているので許可が取れそうだ」と考える方は結構いらっしゃいますが、実際この実務経験10年以上を書類で証明することが本当に難しいんです。この実務経験10年以上という条件をクリアされている方は一定数いらっしゃいますが、そのうち半分以上は書類が準備できなくてあきらめる、というケースが多々あります。取りたい業種であることが明確に分かる請求書等を過去10年分、しっかりと保管している、そういう方はそうそう多くないと思います。
後ほど詳しく解説しますが、「取りたい業種であることが明確に分かる請求書等」とは、例えば機械器具設置工事業を取得するなら、請求書等の明細に「プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事」という名称が記載されており、さらに、その工事内容が先述した機械器具設置工事の考え方に合致していることを証明するための、工事の明細書、工事説明書、設計書、図面、写真、パンフレット等の付属書類も添付している必要があります。こういった厳しい書類の条件をクリアできないとこの実務経験10年以上という条件で許可を取得することができないので、お持ちの書類で証明できるか否か確認したい場合は、事前に静岡県の建設業課、または、静岡県内の建設業許可専門の行政書士に確認をお願いするようにしましょう。
建設業許可の条件③ 財産的基礎条件(難易度★★)
建設業の許可を受ける3つめの条件として、ある一定以上の資金力、財力があることが求められています。これは、許可した会社が直ぐに倒産するようでは注文者が安心して仕事を任せることができないといった注文者保護の観点から求められたものです。建設工事は、資材や機械器具の購入、労働者の雇用など、様々な要素において一定の資金が必要であり、また、工期も長期化することもあるので、財産的基礎条件が建設業許可の条件の一つとなっています。※アとイ、両方ではなくいずれかでOK
具体的な条件としては、
ア 資本金が500万円以上あること
イ 500万円以上の資金調達能力があること
もう少し具体的に説明しますと、アについては、申請しようとするタイミングの直近の決算における決算書の貸借対照表の純資産額が500万以上、イについては申請日から1か月以内の日付で500万円以上の銀行口座の残高証明書が取得できればOKです。なお、イの残高証明書はその日1日の残高証明書ですので、極端なはなし1日だけ借りてきてその日の残高証明書を申し込めば、その後、再び口座から引き出して残高が500万円未満となってしまっても何ら問題ありません。
建設業許可の条件④ 適正な社会保険への加入(難易度★★)
建設業の許可を受ける4つめの条件に、「社会保険へ適正に加入していること」という条件があります。これは主に法人に関係してきますが、法人の場合、現在、一人社長であっても社会保険(健康保険、厚生年金等)への加入は必須となっていますので、建設業者についても、しっかりと社会保険に入っているか、ということがチェックされます。当然、経費の負担となるからと言って社会保険に加入していない法人には許可はおりません。
法人でなく、個人事業主の場合、従業員数が5人未満の場合、加入義務はありませんが、5人以上の従業員のいる場合、社会保険(健康保険、厚生年金)への加入の義務があります。
なお、ここで言う、「建設業許可における社会保険」は、健康保険、厚生年金保険のほか、雇用保険も対象となっております。法人はもちろん、個人事業主であっても従業員を1人以上雇用している場合は、雇用保険への加入義務が発生しますので、静岡県で許可を受けようとする際は、加入状況を書類で証明することが必要です。ただし、労災保険については当然加入義務は発生してきますが、静岡県で建設業許可の申請をする場合、これを証明することまでは今のところ求められておりません。
建設業許可の条件⑤ 欠格要件に該当する者がいないこと(難易度★)
建設業の許可を受ける5つめの条件として、申請の日を基準として過去5年以内に「欠格要件に該当する者がいない」という条件です。欠格要件は下記のとおり建設業法第8条に細かく定められており、このいずれにも該当する者がいないことが許可の条件となります。つまり、一つでも該当する者がいる場合、許可は取得できません。逆を言えば、5年を経過していれば、万一欠格要件に該当していたとしても許可取得上問題はありません。
なお、この欠格要件の対象者は、法人の場合は役員(取締役)、個人事業主の場合は、事業主本人、支配人など、経営に直接かかる地位にいる者が対象者となっております。欠格要件に該当しているにもかかわらず、該当していないと虚偽申請をしてしまうと、申請から5年間は許可を取ることができなくなってしまうので、申請する際は下記の欠格要件に該当していないか、確実にチェックするようにしましょう。特に静岡県で申請する場合は、この欠陥要件に該当していないか、事前に十分チェックをしましょう。万一、3,4年前に対象となっていて今は対象でないからといってうっかり欠格要件に該当しないとして申請してしまった場合、虚偽申告として扱われてしまいます。これは、静岡県の建設業許可の手引きにもしっかり明記されており、たとえ、”うっかり”だったとしても、虚偽申告として扱われ、そこから5年間は欠格要件に該当するとして、一切、許可の申請ができなくなってしまうので十分確認してから申請するようにしてください。
【欠格要件】
1 許可申請書またはその添付書類中の重要な事項について虚偽の記載があるとき。または、重要な事項についての記載が欠けているとき。
2 法人の役員、個人事業主本人、支配人等が次のいずれかの要件に該当するとき。
①成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ない者
②不正の手段により許可を受けたことなどによりその許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
③許可を取り消されるのを避けるため廃業の届け出をした者で、その届け出の日から5年を経過しない者
④建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき
⑤請負契約に関し不誠実な行為をしたことにより営業の停止を命ぜられ、その停止期間を経過しない者
⑥禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
⑦一定の法令(建築業法、建築基準法、刑法等)に違反したことにより、罰金刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
3 役貝等(取綠役のほか、顧問、相談役等も含む)に暴力団や過去5年以内に暴力団であった者が含まれている法人、暴力団員等である個人及び暴力団員等にその事業活動を支配されている者
建設業許可の条件⑥ 誠実性があること(難易度★)
建設業の許可を受ける6つめの条件として、「誠実性があること」という条件があります。この条件は、ある意味確認的な条件となります。要するに、建設業を経営するに当たり、請負契約、工事の施工等において、不正、不誠実な取引、対応をしない、ということです。許可条件⑤の欠格要件に該当していない、健全に建設業を営んでいる方にとってはごく当然のことで、6つ目の条件は確認的な条件と考えてください。
具体的な内容としては、次のとおりです。
直近5年間において、建設関連の法律、規則等に違反し、許可や免許の取り消しがないこと。
建設業許可の条件⑦ 実態として適切な営業所があること(難易度★★)
建設業の許可を受ける7つめの条件として、「実態として営業所があること」という条件があります。建設業法では明確にこの条件の記載はありませんが、第29条に国土交通大臣、都道府県知事は営業所の所在地を確認できない場合は、公告後30日後に許可を取り消すことができる、と規定されており、また、第31条には特に必要がある場合は、営業所への立ち入り検査ができる、と規定されています。
営業所が会社、個人の所有物件であれば問題ありませんが、よくある事例は、賃貸借物件の場合、所有者(大家さん)の使用承諾書が必要となってきます。静岡県では賃貸借物件の場合、この承諾書の添付は義務付けておりませんが、他県では賃貸借物件の場合、承諾書の添付を義務付けているところもあります。では、静岡県だったら承諾書がなくても申請していいか、ということをよく聞かれますが、当事務所では承諾書がもらえない場合、許可の申請は承っておりません。これは、当然、建設業法における許可の条件に満たしていないことはもちろん、虚偽申告することにより、万一、確認が入り発覚した場合、許可の取消しなどにより向こう5年間は許可が取得できないといった可能性があり、大きなデメリットがあることをよく考えて頂きたいところです。実際のところ、承諾書を提供してくれる所有者(大家さん)は多くはないと思います。これは、営業用として賃貸借物件を提供するとなると、税法上税率がアップすることが影響していると考えられるからです。通常のアパート、マンションはあくまで居住用として契約しているのが一般的で、契約書を確認していただければ分かると思いますが、使用目的欄には居住用としての記載となっており、営業用の記載が通常ないと思いますので、賃貸借物件を営業所として使用されている場合は、この点をよく確認してから申請するようにしましょう。
なお、法人としてアパート、マンションを登記しているケースもありますが、登記する際はこの使用目的の確認が入らないため、登記しているからといって大丈夫と思わず、必ず賃貸借物件の契約書の使用目的を確認するようにしてください。万一、承諾書が入手できない場合は、営業用の賃貸借物件に借り換えるか、所有権を得られる実家等に移転することを検討せざるを得ません。
その他、営業所を持たず資材置き場と車で建設業の営業されている一人親方さんなんかもいらっしゃいますが、このケースも許可はとれません。営業所とは、工事の見積、積算、設計、工程管理、安全管理、材質管理等適切に建設業を経営するための事務所スペースを確保する必要があるからです。そのため、申請に必要な営業所を撮影した写真としては、事務所入り口の看板、事務所内の机、イス、パソコン、電話、FAX、コピー機、書庫等も撮影の対象となっています。
経営業務管理責任者、専任技術者がいて、財産的基礎条件、社会保険の条件等クリアしていて許可が取れそうだ、と思っても、実際、適切な営業所でないといった理由で許可が取れない、といったケースも多々ありますので、ご自身の営業所が実態として適切な営業所かどうかしっかり確認しておくことがとても重要です。
4 機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格
機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格、つまり、機械器具設置工事業の専任技術者になれる資格は次のとおりです。これらの資格をお持ちの方であれば、建設業許可取得に必要な条件の一つである、「専任技術者」になることができます。
一部技能士の資格等については、必要な年数の実務経験が求められます。その場合は、必要な年数分の契約書、注文書、請求書等を提出して実務経験を証明することになります。
【資格一覧】
(実務経験不要)
・技術士法…機械・総合技術監理(機械)
・技術士法…機械「流体工学」又は「熱工学」・総合技術監理(機械「流体工学」又は「熱工学」)
(資格プラス3年又は5年の実務経験が必要)
・1級建築施工管理技士(解体工事を申請する場合は、平成28年度以降の合格者若しくは平成27年度までの資格合格者で実務経験1年又は登録解体工事講習受講者) ※実務経験3年が必要
・1級建築施工管理技士補 ※実務経験3年が必要
・2級建築施工管理技士(建築)(解体工事を申請する場合は、平成28年度以降の合格者若しくは平成27年度までの資格合格者で実務経験1年又は登録解体工事講習受講者) ※実務経験5年が必要
・2級建築施工管理技士(躯体)(解体工事を申請する場合は、平成28年度以降の合格者若しくは平成27年度までの資格合格者で実務経験1年又は登録解体工事講習受講者) ※実務経験5年が必要
・2級建築施工管理技士(仕上げ) ※実務経験5年が必要
・2級建築施工管理技士補 ※実務経験5年が必要
・1級電気工事施工管理技士 ※実務経験3年が必要
・1級電気工事施工管理技士補 ※実務経験3年が必要
・2級電気工事施工管理技士 ※実務経験5年が必要
・2級電気工事施工管理技士補 ※実務経験5年が必要
・1級管工事施工管理技士 ※実務経験3年が必要
・1級管工事施工管理技士補 ※実務経験3年が必要
・2級管工事施工管理技士 ※実務経験5年が必要
・2級管工事施工管理技士補 ※実務経験5年が必要
5 機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な書類
~実務経験の証明に必要な、契約書、注文書、請求書等について~
建設業許可の申請書は、様式で定められた書類、それに付随する添付書類、官公庁が発行する住民票などの公的書類、自社で作成した契約書、請求書等膨大な書類が必要ですが、それぞれ、申請する方の状況、法人か個人事業主か、資格を持っているか、持っていないか、従業員を雇用しているか、一人親方か、等によって変わってきます。また、複雑な多くの必要書類に必要事項を適切に記入し、かつ、順番どおり、必要枚数ごと並べて提出する必要があります。これらの書類については、静岡県の手びきに詳細に記載されておりますので、ここでは割愛させて頂きますが、今回は手びきに記載されていない、実体験に基づいた、非常に貴重なお話をさせて頂きます。それは、経営業務の管理責任者の請負実績、専任技術者の実務経験の証明に必要な、契約書、注文書、請求書等(以下、請求書等と略します)についてです。
なお、請求書に限っては、請求額の入金箇所がわかる通帳のコピーが必ずセットで必要です。これは、請求書は申請者自身で作成できるため、第三者機関である銀行が証明する書類である通帳のコピーが必要という理由からです。このため申請者自身で作成できない契約書や注文書については、通帳のコピーのような第三者の証明書類の添付は必要ありません。
それでは本題に入ります。まずはじめに、「経営業務の管理責任者の請負実績」の証明と「専任技術者の実務経験」の証明では、同じ請求書等で証明するのですが、「その求められる内容に相当の違いがある」ということを理解してください。つまり、同じ請求書等でも経営業務の管理責任者の請負実績では認められるのに、専任技術者の実務経験の証明では認められない、使えない、ということです。経営業務の管理責任者の請負実績を証明する請求書等の場合、その内容を見てざっくり「これは建設業の請求書だな」と分かればOKですが、専任技術者の実務経験の証明の場合、機械器具設置工事業であれば「これは間違いなく機械器具設置工事の請求書、添付書類だ」と誰が見てもわかるような記載が求められます。この「誰が見てもわかるような記載」が官公庁独特の風習と言いますか、その基準が明確に示されておりません。要するに同じ請求書等でも担当者によってOKだったり、そうでなかったり、また、他県ではOKだったり、NGだったりすることがある、ということです。ですので、どの担当者でもOKをもらえる請求書等とはどのような内容の請求書等かといいますと、機械器具設置工事業の場合、請求書の明細や項目に「プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事」という名称が記載されており、さらに、その工事内容が先述した機械器具設置工事の考え方に合致していることを証明するための「工事の明細書、工事説明書、設計書、材料検査書、図面、写真、パンフレット等の付属書類」も添付している書類一式のことをいいます。仮に機械器具設置工事の例示工事である「プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事」の工事名が請求書等に記載がないとしても、機械器具設置工事の考え方に合致していることを説明できる、工事の明細書、工事説明書、設計書、材料検査書、図面、写真、パンフレット等の付属書類等によって請求書等を補完、補強するかたちであれば認められることがありますので、条件に合った請求書等がないからダメだ、と思わず、関連する書類は全て探し出して集める、という強い気持ちを持って最後まであきらめないようにしてください。こうして集めた書類で証明できるかできないかご不安な場合は、本番の許可申請でいきなり提出するのではなく、事前に静岡県の審査機関である建設業課の担当者や静岡県の建設業専門の行政書士に確認してもらうようにするとよいでしょう。
まとめ~機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するなら行政書士に依頼しよう~
ここまで、機械器具設置工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な条件や資格、業種内容について説明してきました。建設業の許可を取得するには、多くの定められた条件を全てクリアーし、それらを定められた様式に記載して審査機関である静岡県の建設業課から求められている証明書類を全て揃えて申請する必要があり、初めて許可を取得する人にとっては相当ハードルが高い申請であると言えます。本来の建設業というお仕事でご多忙の中、これら許可申請の事務作業に時間を割いていては本来の業務に支障が出てくることも考えられます。そこで、代行費用はかかりますが、建設業許可を専門にしている行政書士に申請を依頼した方が、スムーズかつ確実に許可を取得できる可能性が非常に高いので、依頼する方法が現実的で一番オススメです。メリットは、
○申請を全て代行するので本来の業務に専念できる
○許可取得に要する日数が短縮できる
○建設業法、許認可に関する相談が気軽にできる
といった大きなメリットがあります。建設業許可がないと現場に入れない、500万円以上の大きい仕事を請け負う可能性があり許可が直ぐに必要になった、という場合は、迷わず建設業許可専門の行政書士にご相談ください。