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経営事項審査の点数の見方、総合評定値のP点など詳しく解説

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建設業で公共工事を請け負うためには「経営事項審査(経審)」が必要になります。建設業者が公共工事の入札に参加する場合に必要な経営事項審査は、企業の経営状況を客観的に評価する制度です。経営事項審査を受審するには建設業許可を得ていることが前提になっています。

経営事項審査の評価は「点数(評点)」という数値で表されますが、P点・Y点・X1・X2・Z・Wなどの記号が多くて、分かりにくいとよく聞きます。そこで、それぞれの点数の意味や見方をわかりやすく整理して解説することにしました。特に入札格付けに関係する「P点」は詳しく解説します。

P点(総合評定値)の見方

P点は経営事項審査の最重要の指標であり、公共工事の入札格付けで使われています。計算式や重みを理解すると、どの部分を改善すれば効率的に点数が伸びるかが理解できます。

総合評定値であるP点は、経営事項審査の最終的な評価点であり、建設業企業の経営状況や規模、技術力などを総合的に表す点数です。この点数が高いほど、公共工事の入札で有利になります。

P点(総合評定値)は「客観点」の総合スコアで、次の計算式により算出されます。

P=0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W

  • P点(総合評定値)の各変数の前の小数点の数値の意味は次のとおりです。
    • X1(完成工事高):25%
    • X2(自己資本・EBITDA):15%
    • Y(経営状況):20%
    • Z(技術力):25%
    • W(社会性等):15%

X1(工事施工能力)とZ(技術力)が25%と最も大きなウェイトを占めています。次にY(経営状況)が20%、そしてX2(工事の継続実施力)とW(社会性等)が15%のウェイトとなっています。各変数についたウエイトは、経営事項審査の点数の重み付けとなっています。

X1(工事種類別・年間平均完成工事高の評点)

X1(完成工事高)とは、「工事の種類別年間平均完成工事高」のことです。建設業の売上高に相当するもので、直前の2年、または3年の平均完成工事高で評価されて、その金額に応じて定められた評点テーブルに当てはめて点数が算出されます。この点数が総合評定値(P)の25%を占めています。

このようにX1は「規模」を示す点数で、直近の完成工事高に基づいて評価されます。審査全体でも最も影響力が大きい指標の一つになっています。

X1は「完成工事高」に応じて算定され、業種ごとに直前2年または3年平均を選択できます。申請時に有利な年数を選ぶことで点数が変わる場合があります。工事経歴書や請負代金内訳との整合をとって、元請・下請の区分も正確に処理することが重要になります。

点数の上限は2,309点、下限は397点と幅が大きく、P点への寄与度(25%)も高いため、X1の伸びは総合評定に大きく関係しています。

X2(自己資本・平均利益額の評点 EBITDA)

X2(自己資本・EBITDA)とは、経営状況の健全性を示す指標で自己資本額と平均利益額を評価しています。EBITDAとは「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization」の略です。

「自己資本額の点数(X21)」と「平均利益額の点数(X22)」の合計を2で割った評点(X2)となっており、自己資本が多いほど、また、利益額(利払前税引前償却前利益、EBITDA)が多いほど、評価が高まることになります。また、これは建設業企業の倒産リスクの低さを表しています。

このようにX2は「財務体力」を表す指標となっていて、自己資本の厚みや収益力が問われます。赤字企業では大きく下がることがあるために注意が必要です。

X2は自己資本額と平均利益額(EBITDAベース)の2つを算定して、その平均で決まります。自己資本額は単年または2年平均、平均利益額は直近2年の平均を採用しています。

自己資本の増強(増資や利益留保)や、減価償却を適正に計上して、EBITDAを改善することで点数アップが可能です。レンジは454~2,280点、重みは15%です。

Y(経営状況)

Y(経営状況)とは、財務諸表を元に企業の経営状態を数値で評価する「経営状況分析」の評点のことで「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つの観点からそれぞれ2つずつ、計8つの財務指標を用いて計算されて、建設業企業の倒産リスクや財務的安定性を示しています。

このようにY点は企業の財務状況を評価する項目です。具体的な指標としては、自己資本額、利益剰余金、流動比率、自己資本比率、経営純支払利息等などが用いられます。これらの指標は、企業の安定性や収益性を客観的に示しています。

Y点は「経営の健全性」を示す指標で、登録分析機関が財務諸表を基に算出します。8つの財務指標から計算されるため、決算内容がそのまま反映されています。

Y点は負債抵抗力・収益性・効率性・財務健全性など8つの指標を統計的に処理して算出され、平均500点を基準に上下します。短期借入の過大計上や赤字決算は大きなマイナス要因となります。

自己資本比率の改善、借入金の圧縮、粗利率の向上など財務体質の健全化が得点アップにつながります。レンジは0~1,595点、重みは20%となっています。

Z(技術力)

Z(技術力)とは、技術職員の数・質(Z1)と元請完成工事高(Z2)の2つの要素を合算して算出される評点です。技術職員の保有資格や人数と、元請として担当した工事の売上高を業種ごとに評価し、総合評定値(P点)の25%を占める重要な指標です。

このようにZ点は「技術力」を評価する指標で、資格者の数と元請工事の実績で構成されます。人材と実績の両方が問われる項目となっています。

Z点は次の算式で決まります。

Z=0.8×Z1(技術職員数)+0.2×Z2(元請完成工事高)

Z1は技術者の資格や実務経験に基づいて評価され、1人で2業種まで加点可能になっていますが、6か月以上の雇用が必要です。Z2は直前2年または3年平均の元請完成工事高に基づきます。

資格者の計上漏れ、講習の反映、元請実績の把握が点数改善のポイントです。レンジは456~2,441点、重みは25%です。

Z点は、企業が保有する技術職員の数や、その技術職員が保有する資格を評価します。

技術職員の数が多く、一級建築士や一級土木施工管理技士などの上位資格を持つ職員が多いほど、Z点は高くなります。

この点数は企業の技術力や専門性を客観的に示しており、公共工事の質を担保する重要な要素とみなされます。

W(社会性等の評点)

W(社会性等)とは、社会的な責任をどの程度果たしているかを評価する項目で、労働福祉、営業継続、防災活動、法令遵守、経理状況、研究開発、建設機械保有、ISO登録、若年技術者育成・確保といった多岐にわたる内容から構成されており総合評定値Pに占める割合は15%です。この評価項目にはマイナス点となる項目もあって評点に大きな影響を与えることがあります。

このようにW点は「社会性・遵法性」を表す指標で、社会保険加入状況や法令遵守体制などを評価します。場合によっては大幅な減点となるため要注意です。

W点では、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の加入状況、建退共の履行証明、労働福祉の取組、行動計画の有無などが確認されます。

また、法令違反がある場合は大きな減点を受ける可能性があります。なお、建退共(建設業退職金共済)は、建設業で働く労働者のために国が作った退職金制度です。

点数は-1,837~1,986点と振れ幅が大きく、P点に占める割合は15%です。まずは未加入や違反の是正から着手し、社会的信用を高めることが何よりの対策です。

社会性等の評点のW点は、企業の社会貢献やコンプライアンスに関する取り組みを評価する項目です。

  • 社会性等の評点のW点は具体的には、次の要素が含まれています。
    • 労働福祉:社会保険や退職金制度の加入状況
    • 防災協定:地方自治体との災害時の協力協定の締結
    • 法令遵守:過去に法令違反がないか
    • 営業年数:企業の継続的な営業実績

これらの項目は、企業が社会的に信頼され、安定して事業を継続する能力があるかを示しています。

まとめと対策について

各評点のレンジ(最低点~最高点)が異なるため、同じ1点差でもP点に与える影響が異なります。X1やZの点数を10点伸ばすとPは約2.5点アップしますが、Wでは1.5点にとどまります。

減点要素の是正(W)、資格者の計上漏れ確認(Z1)、完成工事高や元請実績の精査(X1・Z2)、財務改善(X2・Y)などを見直すとよいでしょう。P点は四捨五入で算出されるため、1点の差で合否を分けることもあります。

経営事項審査の点数は「どこを伸ばせば効率的にP点を高められるか」を読み解くことが重要です。工事実績(X1)、技術者(Z)、財務内容(X2・Y)、社会性(W)をバランスよく改善し、特に減点要素をなくすことがまず最初となります。

毎年の申請ごとに点数は変動しますので、申請前には「どの指標が弱いか」を分析し、改善計画を立てることが入札参加の大きな差別化要因になります。

Q&A

まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。

Q. 経営事項審査とは何ですか?

A. 建設業者が公共工事の入札に参加するために必要な制度で、企業の経営状況や技術力を客観的に評価します。


Q. P点(総合評定値)とは何ですか?

A. 経営事項審査の総合評定値で、企業の規模・技術力・経営状況などを総合的に点数化したものです。


Q. P点はどのように計算されますか?

A. P=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×W の式で算出されます。


Q. X1(完成工事高)とは何ですか?

A. 工事種類別の年間平均完成工事高を点数化したもので、総合評定値Pの25%を占めます。


Q. X2(自己資本・EBITDA)とは何ですか?

A. 自己資本額と平均利益額を評価する項目で、企業の財務体力や倒産リスクを示します。


Q. Y点(経営状況)とは何ですか?

A. 財務諸表を基に8つの指標で算定される評点で、企業の健全性を示します。


Q. Z点(技術力)とは何ですか?

A. 技術職員の資格や人数、元請工事高を基に評価される点数です。


Q. W点(社会性等)とは何ですか?

A. 社会保険加入、法令遵守、防災協定などを評価する項目です。


Q. 経営事項審査の必要書類は何ですか?

A. 許可証明書、決算書、工事経歴書、技術職員名簿、社会保険加入証明、建退共加入証明などです。


Q. 経営事項審査で点数を上げるにはどうすればいいですか?

A. 資格者の計上、完成工事高の増加、財務改善、社会保険加入、違反是正などで改善できます。


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