提出書類の基本的な手続きや必要書類はどの都道府県も同じですが、書類の様式や書式、郵送可や不可などの提出方法、添付書類が各自治体で違ってきますので静岡県を事例に詳しく解説します。
あわせて経営事項審査の手続きや基本的な概念を解説します。最後にまとめを兼ねてQ&Aをつけておきますので、知識の整理に役立ててください。
静岡県の必要書類は県のホームページを参考にしております。
https://www.pref.shizuoka.jp/machizukuri/kokyokoji/kensetsu/1003480/1028860.html
- 経営事項審査とは
- 申請の必要書類
- 提出する書類
- 審査会場に持参して提示する書類
- 建設業許可申請書(控)/変更届出書(控)/廃業届(控)
- 決算終了後提出の変更届出書(控)
- 消費税納税証明書(その1)
- 消費税確定申告書(控)及び添付書類
- 法人税確定申告書一式(控)及び添付書類
- 決算書
- 総勘定元帳のうち、次の部分がわかる書類
- 工事経歴書に記載した工事に係る工事請負契約書又は注文書(変更契約又は追加の注文があった際は、変更に係る契約書又は追加の注文書等)
- 前回の経営規模等評価申請書(控)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)または雇用保険被保険者証(公共職業安定所長発行のもの)
- 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(「記号」「番号」および「保険者番号」は「マスキング(黒塗り)して提示)
- 「後期高齢者医療制度対象者」及びは「年金事務所で健康保険適用除外の承認を受けて全国建築国民健康保険組合等の国民健康保険に加入している会社の70歳以上75歳未満の職員」は厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ
- 技術職員名簿に記載された技術者の資格を証する書類(合格証明書、免許証、登録証、免状、合格証書等)
- 職員名簿
- Q&A
経営事項審査とは
経営事項審査とは、国または地方公共団体などが発注する建設工事であって政令で定める公共工事を、発注者から直接請負おうとする建設業許可業者が必ず受けなくてはならない審査のことです。
公共工事の発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者について資格審査を行いますが、このうち建設業者の施工能力や経営状況などを客観的な指標で評価する審査が経営事項審査です。
経営事項審査は、経営状況と経営規模、技術的能力、その他の客観的事項について数値により評価が行われます。
この審査では、企業の「経営状況」「経営規模」「技術力」「その他の社会性等」の4つの項目が数値化・評価されて、その結果は「総合評定値(PP値)」として通知されます。この総合評定値が、公共工事の競争入札に参加する際の企業の順位・格付け(格付け)の基礎となります。
経営状況
経営状況についての評価、経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた機関である登録経営状況分析機関が行い、経営規模、技術的能力、その他の客観的事項(経営規模等評価)については、国土交通大臣または都道府県知事の許可行政庁が行います。
経営状況は、「経営状況分析(Y点)」ということで建設業の財務諸表などを基に「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的能力」の4つの分野から算出される評価です。
この分析は「登録経営状況分析機関」が行っており、その結果を受けて、経営規模等評価・総合評定値の算出が行われます。
総合評定値
総合評定値とは経営状況と経営規模、技術的能力、その他の客観的事項における評価項目ごとの評点を一定の計算式にあてはめて算出する総合的な評点のことです。
総合評定値は、審査対象業種ごとに算出しますので、入札参加資格申請等で必要となる全ての業種を受審することになります。
総合評定値を請求する場合には、経営状況分析結果通知書を添付して請求することが必要です。
建設業者が公共工事の入札に参加する際の等級格付けに用いられる客観的な評価点数となります。
この値は、経営規模、経営状況、技術力、その他の審査項目(社会性等)の4つの要素を「完成工事高(X1)」、「自己資本等(X2)」、「経営状況(Y)」、「技術職員数等(Z)」、「その他の審査項目(W)」で評価し、それぞれの評点を特定の係数で算術平均して算出されます。総合評定値が高いほど、より規模の大きな公共工事の入札に参加できるようになります。
経営事項審査申請の手続き概要
経営事項審査の申請は、決算終了後に建設業許可を取得した都道府県に決算変更届を提出して、国土交通大臣登録の分析機関へ「経営状況分析」を申請して結果通知書(Y点)を取得し、その結果通知書とその他の必要書類を添付して、許可を出した都道府県へ「経営規模等評価申請」を行うことで、総合評定値(P点)が通知されます。
静岡県の経営事項審査は、次の手順で手続を行います。
所管の県土木事務所に決算終了後の変更届出書を提出した後、「経営規模等評価」の予約を行います。「経営規模等評価」は予約制です。直前の開庁日午後3時までに予約を行ってください。
電子申請、経営規模等評価を電子申請する場合は、予約時にその旨を伝えます。変更届出書を電子申請した場合は、別途、電話等で予約を行います。
登録経営状況分析機関に対して「経営状況分析」を申請して「経営状況分析結果通知書」を受け取ります。
県のホームページから「経営規模等評価申請書・総合評定値請求書」をダウンロードし、申請書類を作成します。
電子申請の場合、システムに申請内容を入力し、提出資料等を電子データで準備します。
審査会場に申請書類、経営状況分析結果通知書、提出・提示書類を持参し、審査を受けます。
電子申請の場合、所定の審査日前日午後5時00分までにシステムから電子申請を行います。
手続きのタイムライン
- 静岡に限らず経営事項審査の手続きは多くの場合次のようになります。
- 3月:決算
- 5月:確定申告と納税
- 6月:決算変更届と経営状況分析申請
- 7月:経営状況分析通知書受領
- 8月:経営規模等評価申請
- 9月:総合評定値通知書受領
- 11月/12月:入札参加資格申請
経営状況分析結果通知書とは、公共工事の入札に参加する建設業者が、自社の「経営状況」を分析し数値化された評点(Y点)を得るための書類です。
総合評定値通知書とは公共工事の入札に参加する際に必要となる書類で、会社の経営規模、技術力、社会性、経営状況が数値化され、総合評定値(P点)として記載されています。この点数が高いほど、より規模の大きな公共工事の入札に参加できるようになります。?

申請の必要書類
すべての申請者は、「(1)提出する書類」及び「(2)審査会場に持参し提示する書類」を審査当日に必ず持参してください。また、「(3)審査会場に持参し提示する書類(その他の審査項目関係)」については、該当する項目の提示書類を持参してください。
審査に必要な書類を持参しない場合には、補正扱いとなり、後日審査を受け直すことになってしまいます。
なお、(電子申請)システムによる場合は、正・副本の提出は不要です。システムの規定の添付箇所に電子ファイルを添付してください。システムに項目がない書類は、その他添付ファイルとして、添付してください。
提出する書類
経営規模等評価申請書/総合評定値請求書(様式第二十五号の十四)
経審の申請の際に、会社の基本的事項を記入します。例えば「どの業種で経審を受けるか?」「自己資本額・利益額はいくらか?」「技術職員数は何名か?」といった項目の記入が必要になります。
工事種類別完成工事高/工事種類別元請完成工事高(様式第二十五号の十四 別紙一)
経審を受ける業種(工事の種類)ごとに、「完成工事高」と「元請完成工事高」を記入します。その場合に、完成工事高および元請完成工事高について、「2年平均を選択するのか?3年平均を選択するのか?」自社にとって、有利な方を選ぶことができます。
完成工事高(かんせいこうじだか)とは、建設業における工事の売上高・収益のことで、一般業種でいう売上高に相当する勘定科目です。
技術職員名簿(様式第二十五号の十四 別紙二)
技術職員名簿には、審査基準日から遡って6か月を超える期間、常勤している技術職員を記載することができます。1人の技術職員あたり、2業種まで点数アップの評価対象にすることができます。
その他の審査項目(社会性等)(様式第二十五号の十四 別紙三)
「技能者名簿」(様式第5号)
技能者は、審査基準日において在籍する職員で、審査基準日以前3年のうちに建設工事に従事した者の内、施工管理のみをしていた者を除きます。「技能者数」に記載された者について、雇用期間等を確認する書類です。職員名簿、施工体制台帳の作業員名簿などになります。
経営状況分析結果通知書(様式第二十五号の十)
経営状況分析結果通知書とは、公共工事の入札に参加する建設業者が受ける「経営事項審査」の中で、企業の経営状況を客観的な指標で数値化した「Y点」を示す書類です。「経営状況分析機関」によって発行されます。
ただし、総合評定値を請求しない場合には不要です。
経審を受けるには、経営状況分析を受けて、結果通知書を入手しておかなければなりません。この経営状況分析結果通知書には、経審の審査項目の1つであるY点が記載されています。
審査手数料収入証紙(印紙)貼付書
知事許可の場合、県収入証紙を貼付します。電子申請の場合は電子納付します。
審査会場に持参して提示する書類
審査に持参して提示する書類もあります。電子申請の場合は添付します。すべて写しで問題ありません。
建設業許可申請書(控)/変更届出書(控)/廃業届(控)
建設業許可は、建設業法に基づいて軽微な工事を除く一定規模以上の建設工事を請け負う際に、事業者が取得する必要がある許可です。
有効な建設業許可の建設業許可申請書の副本一式を持っていきます。建設業許可を取得した時、もしくは建設業許可を更新した時の副本を持参します。経営業務の管理責任者や営業所技術者が許可要件を満たしているかの確認使われます。
申請日時点で有効な許可の許可申請書を提示します。上記許可の後に提出した変更届及び廃業届(一部の業種の廃業)がある場合は併せて提示します。
電子申請の場合は、次の書類を送信します
建設業許可申請書:更新、業種追加など現在の許可状況に係る申請
変更届出書:前回経審受審後(新たに経審を受審する場合は許可取得(更新)の変更に係るもの(様式第二十二号の二)
廃業届:前回経審受審後(新たに経審を受審する場合は許可取得(更新)後の変更に係るもの(様式第二十二号の四)
決算終了後提出の変更届出書(控)
工事経歴書(様式第二号)
直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)
財務諸表等(様式第十五・十六号又は様式第十八・十九号)
県税納税証明書
工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、財務諸表について、消費税課税事業者は消費税抜き、消費税免税事業者は消費税込みで作成します。
千円未満の端数を切り捨てます。
消費税納税証明書(その1)
消費税確定申告書(控)及び添付書類
法人税確定申告書一式(控)及び添付書類
決算書
総勘定元帳のうち、次の部分がわかる書類
売上の内訳が分かる部分(全ページ)
消費税の最終清算がわかる部分(仮受消費税等及び仮払消費税等の各最終ページ等)
税込で会計処理している場合は、売上の内訳がわかる部分のみを持参します。建設業以外の売上(兼業売上)がある場合は、完成工事高を明確にできる帳簿なども必要です。
工事経歴書に記載した工事に係る工事請負契約書又は注文書(変更契約又は追加の注文があった際は、変更に係る契約書又は追加の注文書等)
業種ごとに元請・下請を問わず金額の大きいものから順に上位3件を提示します。
前回の経営規模等評価申請書(控)
経営規模等評価申請書は、公共工事の入札に参加するために建設業者が受ける「経営事項審査」を申請する際に提出する書類です。
直前の決算年度が12か月未満の場合、前々回の申請書(控)が必要となることがあり
ます。
雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)または雇用保険被保険者証(公共職業安定所長発行のもの)
健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(「記号」「番号」および「保険者番号」は「マスキング(黒塗り)して提示)
「後期高齢者医療制度対象者」及びは「年金事務所で健康保険適用除外の承認を受けて全国建築国民健康保険組合等の国民健康保険に加入している会社の70歳以上75歳未満の職員」は厚生年金保険70歳以上被用者該当及び標準報酬月額相当額のお知らせ
技術職員名簿に記載された技術者の資格を証する書類(合格証明書、免許証、登録証、免状、合格証書等)
監理技術者資格者証の交付を受けている者については資格者証及び監理技術者講習修了証
登録基幹技能者講習を修了した者については登録基幹技能者講習修了証(規則様式第30号)
職員名簿
職員及び実務経験などが確認されます。
Q&A
Q) 経営事項審査とは何ですか?
A) 経営事項審査とは、公共工事の競争入札に参加する建設業者が必ず受ける審査で、経営状況・規模・技術力・社会性を数値化して評価するものです。評価結果は総合評定値(P点)として通知され、入札の格付けに使われます。
Q) 静岡県で経営事項審査を受ける流れは?
A) 決算変更届を県土木事務所へ提出後、登録経営状況分析機関で経営状況分析を受け、結果通知書を取得します。その後、県へ経営規模等評価申請を行い、審査を経て総合評定値通知書を受け取ります。予約制であり、電子申請も可能です。
Q) 総合評定値(P点)とは何ですか?
A) 総合評定値とは、完成工事高、自己資本額、経営状況、技術職員数、社会性等の評価点を基に算出される総合点数です。値が高いほど、規模の大きな公共工事の入札に参加できます。
Q) 経営事項審査の必要書類にはどんなものがありますか?
A) 主な提出書類は、経営規模等評価申請書、工事種類別完成工事高、技術職員名簿、技能者名簿、経営状況分析結果通知書、審査手数料収入証紙などです。あわせて建設業許可申請書控や決算関係書類、税務関係証明書、技術者資格証などを審査会場に持参する必要があります。
Q) 電子申請は可能ですか?
A) 静岡県では電子申請に対応しており、必要書類を電子データで添付して提出することができます。予約時に電子申請である旨を伝える必要があります。