建設業許可と暴力団の取り扱いについて、静岡県と静岡市の事例も詳しく解説

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建設業から暴力団の排除を目的として、国レベル、地方自治体レベルで法制化などもすすめられています。

暴力団員等は建設業許可の欠格要件にもなっています。

  • 暴力団員等とは次のとおりとなります。
    • 暴力団員
    • 暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
    • 暴力団員を支配する者
    • 暴力団員と密接な関係にある者

2015年の改正建設業法

2015年の改正建設業法では、会社役員などに暴力団関係者がいると建設業許可取消しとなります。

建設業許可を受けるための要件は、暴力団の構成員でないこととなっています。建設業から暴力団等の排除を徹底させるため法制化されています。

建設業を営む者が暴力団の構成員でないことはもちろん、請負工事や公共工事をする上でも暴力団からの不当介入を排除することが法律の目的です。

改正建設業法では、建設会社の役員や幹部に、現役の暴力団員や組をやめて5年以内の元暴力団関係者がいることを禁止しています。違反した場合には、建設業許可を取り消すことになっています。

聴聞の手続きのあとに暴力団の幹部がいることが確定すると、郵送で許可取り消しが通知されます。

役員などとは、取締役、顧問、相談役なども含まれています。

建設業法の抜粋

許可の基準

第八条

八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法・・・若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

九 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者

十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者

暴力団員に支配されるとは

暴力団員などに事業活動を支配されている者も対象となります。

「暴力団員等に事業活動を支配されている者」とは、暴力団員などが、建設業許可を受けた法人の資本金の過半数を所有して、その経営を支配している場合にその法人は「暴力団員等に事業活動を支配されている者」とみなされます。

暴力団員などが、建設業許可を受けた個人の事業に出資して、その事業活動を支配している場合には、その個人は「暴力団員等に事業活動を支配されている者」となります。

暴力団員などと密接な関係があって、暴力団の指示に従って事業活動を行う者も、「暴力団員等に事業活動を支配されている者」となります。

建設業法の改正前であれば、暴力団員などが会社の役員などである場合だけとなっており、「暴力団員などに事業活動を支配されている者」だけとなっていましたが、改正後には、暴力団員などが法人を支配する状態を網羅するようになり、建設業からの暴力団排除をより徹底するようになっています。

公共工事の場合

公共工事の受注者が暴力団員などとわかった場合には、公共工事の発注者は受注者が建設業許可を取得した行政庁に通知する義務があります。

通知されて、許可行政庁は受注者の許可の取消処分を行います。

過去5年以内に暴力団員だった者も欠格事由に該当します。指定暴力団のリストなどが警察署にはあるので、名前や経歴などから該当する者が判明する場合があります。

事前に警察署などに調べるようにします。

静岡県発注公共工事暴力団排除措置要領

静岡県が発注する公共工事から暴力団の介入を排除する措置について、次のように定められています。

指名排除

建設業課長が、組織犯罪対策課長から、「建設業からの暴力団排除に関する連絡協調体制の確立について」の合意書に基づいて、競争入札参加資格者が、措置要件に該当する旨の通知を受けたときは、交通基盤部長は、当該の有資格業者を指名から排除します。

交通基盤部長は規定により、指名から排除する有資格業者を構成員に含む共同企業体についても、当該指名除外の期間と同じ期間、指名から除外します。

交通基盤部長は、規定により指名から排除した場合には、部内各課長及び各かい長並びに関係部局長に対し通知するものとします。

措置の要件

・有資格業者の経営者など、または経営に事実上参加している者が、暴力団関係者である場合

・有資格業者の経営者など、または経営に事実上参加している者が、不正に暴力団関係者を使用した場合および有資格業者の経営者等又は経営に事実上参加している者が、暴力団関係者に対して、金銭、物品、その他の財産上の利益を不当に与えた場合

・有資格業者の経営者等又は経営に事実上参加している者が、暴力団関係者と密接な交際などを有している場合

静岡市の同意書

静岡市では暴力団排除に関する誓約書兼同意書を求められます。その内容は次のとおりとなっています。

(宛先)静岡市長

1 当社(私)は、次に掲げるものに該当しないことを誓約します。

(1)役員等が暴力団員等又は暴力団員の配偶者であると認められるもの
(2)暴力団、暴力団員等又は暴力団員の配偶者が経営に実質的に関与していると認められるもの
(3)役員等が自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団、暴力団員等又は暴力団員の配偶者を利用するなどしたと認められるもの
(4)役員等が、暴力団、暴力団員等又は暴力団員の配偶者に対して資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的若しくは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与していると認められるもの
(5)役員等が暴力団、暴力団員等又は暴力団員の配偶者と社会的に非難されるべき関係を有していると認められるもの

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