建設業法に定められた許可要件の内、「財産的基礎等」にある財産的要件として、一般建設業においては、次のいずれかに該当することが定めされています。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
自己資本が500万円以上であること
自己資本とは、会社の貸借対照表において「純資産」項目の金額を指します。
会社の「資産」の合計額から「負債」の合計額を差し引いたものです。
自己資本が500万円以上あるかどうかは、直前の事業年度の決算書に基づいて判断されます。貸借対照表の「純資産」の欄を確認します。
財産的要件は許可を受ける者、もしくは会社が金銭的な信用があるかどうかを審査する事項です。
提出すべき書類として融資可能証明書などがあります。
資金がない建設業者が工事を受注して、建設途中で破産してしまった場合、依頼主が困らないように未然に防止するという目的があるためです。
要件を満たす(証明する)方法
- 500万円以上の資金調達の裏付けとしての要件を満たすには次の3つがあります。
- 賃借対照表で証明する(直近のものに限定)
- 貯金残高証明書で証明する
- 融資可能証明書で証明する
財産要件は工事をするのに必要とされる資金繰りを審査する項目です。これを確認するため必要となるのが、直近の決算の損益計算書、または残高証明、融資可能証明書となります。
融資可能証明書は金融機関が500万円以上の資金を融資することができるという証明をしてもらうことで資金調達能力があるかどうかチャックされることになります。
融資可能証明書とは
融資証明書と呼べれることもありますが、本来、融資証明書は、金融機関が融資を認めたことを証明する書類であり、住宅ローンなどの融資の際に発行されるのに対して、融資証明書は、同じく金融機関が発行する書類ですが、事業者が融資を受けられる金額を証明するものです。
いずれにしても、融資(可能)証明書は金融機関から融資を認められた者に対して発行される証明書です。金融機関が発行してくれる融資可能な金額を証明する書類になります。
銀行としては、証明するには500万円の貯金としての担保を前提とするなど返済能力を基準とすることが多くなっています。担保を厳しくチャックされるために発行してもらえない場合もあります。一般的には発行がむずかしい証明書と言えます。
手数料は、一般的に1万円程度となっていますが、静岡銀行の場合であれば、11,000円~となっています。
- 証明書の発行要件としては次のとおりとなっているのが一般的です。
- 申請する者に対しての融資
- 法人の場合は法人名義での融資
- 融資日が、許可申請の1ヶ月以内
融資可能証明書で500万円以上の資金調達能力を証明する方法ですが、この方法は決算書(貸借対照表)や残高証明書などのほかの方法に比べてむずかしいと言われています。
融資可能証明書による資金調達能力を証明する方法は、金融機関と交渉が必要な場合があります。
一般的に500万円の銀行など金融機関で融資可能証明書を発行してもらうには預金残高が500万円以上あり担保が十分ある場合という条件になっていることが多いためです。
融資可能証明書は、残高証明書と異なり、融資可能証明書・融資可能証明書・資本信用証明書などと同じく、銀行など金融機関が発行に際し厳しい条件を付けるケースが多くなっています。
自治体によっては融資可能証明書でなければ認めないという場合もあるようです。純資産の額が500万円に満たない場合は、金融機関と交渉して融資可能証明書を発行してもらわざるを得ないことがあると思います。
一般建設業許可と特定建設業許可
建設業の許可は、下請契約の規模などによって「一般建設業」と「特定建設業」に区分されています。
この区分は、発注者から直接請け負う工事1件につき、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結するか否かで区分されます。
特定建設業の許可の場合は、「発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結する場合」と定められています。
一般建設業許可の場合は、赤字決算でも状況によっては建設業許可を取得することができます。
特定建設業許可に比べて一般建設業許可は、条件が緩和されています。
一般建設業許可では自己資本が500万円以上か、500万円以上の預金、もしくは資金調達能力があることのどちらかとないます。
特定建設業許可では、資本金が2,000万円以上あることのほかに、その他の条件をすべて満たす必要があります。
一般建設業許可の場合は資産の要件が500万円以上の資産調達能力があるとなっていますので、金融機関から500万円以上の融資可能証明書の発行を受けることができれば、要件を満たすことができます。
東京都などの申請では融資可能証明書ではなく、500万円以上の預金残高証明が取れれば、資産要件を満たすとされています。
この方法で要件を満たすことができるのであれば、その方が要件を満たしやすいかもしれません。
ただし、特定建設業許可を取得すれば、500万円以上などの大規模な工事を請けられるようになりますので大きなメリットはあります。