判断のむずかしい農業用ビニールハウスの建設業許可と農地転用について

農業用ビニールハウスの建設業許可と農地転用 コラム一覧

農業用のビニールハウスは、建設業法の建設業許可と農地法の農地転用に関係しています。

解釈と判断に迷いやすい、むずかしい事例ですが、見解をわかりやすくまとめました。

建設業許可

国土交通省によれば建設工事の完成を請け負う営業をするには、工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません

ただし、軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合は建設業の許可を受けなくてもよいとされています。

農業用ハウスも建設業許可は必要になります。

一定規模以上の農業用ハウスの建設では「とび・土木・コンクリート工事」の建設業許可が必要になります。

  • 「とび・土木・コンクリート工事」の区分の許可対象の工事は次のとおりです。
    • とび工事、足場仮設工事、バックネット工事、ひき工事、杭工事
    • 杭打ち工事、矢板土囲工事、土工事、掘削工事、根切工事、発破工事
    • 盛土工事、コンクリート工事、はつり工事、地盤改良工事
    • ボーリング工事、捨石工事、地すべり防止工事、駐車場の舗装工事
    • 運動施設整備工事、テニスコート表層工事、ガードレール設置工事
    • 道路標識工事、道路付防音壁工事、外構工事、ネットフェンス工事
    • ビニールハウス築造工事、電柱の地中化工事、雨水ます工事など

とび・土工工事業とは

とび・土工工事業とは「とび・土工・コンクリート工事」を請負う建設業で、足場組立、重量物の運搬配置、工作物の解体、くい打ち、コンクリートにより工作物を築造する工事・コンクリート工および、その他基礎的で準備的工事の建設業です。

1.足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立てを行う工事

「コンクリートブロック据付け工事」
「鉄骨組立工事」など

2.くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事

3.土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事

4.コンクリートにより工作物を築造する工事

5.その他基礎的ないしは準備的工事

地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切工事、吹き付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事などが該当します。

その他、運動施設整備工事、テニスコート表層工事、外構工事、ネットフェンス工事、バックネット設置工事や、舗装関係のうち、駐車場の舗装工事、ビニールハウス築造工事、小規模造成工事、電柱の地中化工事、雨水ます工事も「とび・土工・コンクリート工事」になります。

建設業許可の要件

建設業許可制度では、要件として経営業務管理責任者と専任技術者の設置が建設業法で定められています。

とび・土工・コンクリート工事の経営業務管理責任者の要件

建設業許可取得では、経営業務管理責任者を配置する必要があります。

経営業務管理責任者は、会社の経営に関する一定の経験を有する者で、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

実務経験

とび・土工・コンクリート工事の実務経験を5年ある者

なおかつ2年以上は、指導監督的な職務に従事した経験であること

学歴及び実務経験

大学(高等専門学校を含む)の土木工学科または建築学科を卒業、3年以上のとび・土工・コンクリート工事に係る建設工事の実務経験のある者

高等学校の土木科、または建築科を卒業、5年以上のとび・土工・コンクリート工事の実務経験がある者

資格

1級建設機械施工技士(とび・土工・コンクリート施工)
2級建設機械施工技士(とび・土工・コンクリート施工)で実務経験3年以上の

その他

上記の要件を満たす者を指導監督する2年以上の実務経験のある者

「とび・土工・コンクリート工事」の専任技術者の要件

建設業許可の要件として、専任技術者の設置があります。

建設工事の請負契約の適正な締結、履行では許可を受ける建設業の建設工事についての専門知識が必要になります。

見積、入札、請負契約締結などの建設業に関する営業は各営業所で行われるので、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。

専任技術者の要件は次のとおりです。

「とび・土工・コンクリート工事」に必要な資格

次の資格があれば、実務経験の証明は必要なく、専任技術者になれます。

資格がない場合でも、「学歴」「10年の実務経験」があれば、専任技術者になることはできます。

  • 専任技術者になれる資格
    • 一級建設機械施工技士
    • 二級建設機械施工技士
    • 一級土木施工管理技士
    • 二級土木施工管理技士(土木・薬液注入)
    • 一級建築施工管理技士
    • 二級建築施工管理技士(躯体)
    • 建設総合技術監理(建設)
    • 建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理
    • 農業「農業土木」総合技術監理
    • 水産「水産土木」総合技術監理
    • 森林「森林土木」総合技術監理
    • 地すべり防止工事
    • 基礎施工士
    • ウェルポイント施工
    • 型枠施工
    • とび・土工
    • コンクリート圧送施工

「とび・土工・コンクリート工事」に必要な学歴

資格がない場合

土木工学に関する学科、建築学に関する学科を卒業した場合は証明する実務経験の期間を短縮できます。

大学でこれらの学科を卒業した場合は、実務経験の証明期間は3年となり、高校、専門学校で上記の学科を卒業した場合は、実務経験の証明期間は5年となります。

「とび・土工・コンクリート工事」に必要な実務経験

資格もなく、指定学科を卒業していない場合は、「とび・土工・コンクリート工事」の10年間の実務経験を証明することになります。

証明資料

契約書、注文書、請書、請求書などと入金通帳になりますが、「とび・土工・コンクリート工事」の資料でなければなりません。

農地転用

ビニールハウスは、農地転用でも判断がむずかしい場合があります。

農地は、農地法で定められていて、農業以外では使うことはできません

農地以外で使うことのできる建物や資材置場を建設したり砂利やコンクリート舗装すると農地転用という手続きをしなければならない場合があります。

農業用ハウスで農作物の下をコンクリート張りにする場合も、以前は農地転用の手続が必要でしたが、農業用施設も水耕栽培、温度・湿度管理、収穫用ロボットなどの新しい設備の導入や今はどんどんICTがすすめられていますので、農地法が改正されて「農作物栽培高度化施設」に限って、農地転用手続なしでコンクリート張りができるようになりました。

農作物栽培高度化施設とは、農作物の栽培の用に供する施設で、農作物の栽培の効率化または高度化を図るためのものとされています。

対象農地の底面を全面コンクリート張りする農地ハウスなどがこれに該当します。

設けられた基準を満たしており、農作物の用に供されているものと判断された場合では、農地としてみなされます。

ただし、重要なのは農地転用の手続が不要であっても、農業委員会に届出して受理通知書をもらうようになっている自治体もあります

許可基準は都道府県によって異なるため、詳細は各都道府県の農業委員会へ問い合わせてください。

(お問い合わせ先)

静岡市の場合

農業委員会事務局 農政係
静岡市葵区追手町5-1 静岡庁舎新館16階
電話番号:054-221-1483
ファックス番号:054-221-1489

行政書士法人アラインパートナーズ
〒424-0029 静岡市清水区下野中1-13
電話番号:0120-105-444
ファックス番号:054-333-5600
HP:https://office-align.com

もちろん、農地転用をしないのであれば、農業以外の用途に使うことはできません

ただし、200平方メートルを超える場合は、農地転用が必要になる可能性がありますので注意が必要です。

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