経営業務の管理責任者と専任技術者及び主任技術者は兼任できます。
ただし、条件がいくつかありますので詳しく解説します。
経営業務の管理責任者と専任技術者
建設業許可を取得するには、いくつかの要件を満たす必要があります。その中で重要なのが、経営業務の管理責任者と専任技術者の設置です。
大手の会社であれば、専任技術者が辞めてしまっても、すぐに次の専任技術者を設置できますが、小さな会社では後任の技術者がいない場合が多くあります。
後任の専任技術者を設置できずに専任技術者不在の期間が発生すると建設業許可が取り消されてしまいます。
経営業務の管理責任者と専任技術者の兼任
経営業務の管理責任者と専任技術者は兼任することができます。
経営業務の管理責任者と専任技術者の要件を満たしている者がいれば兼任することができます。
ただし、同一の営業所でしか兼務はできません。
また、経営業務の管理責任者も専任技術者も営業所に常勤でなければなりません。
本社で経営業務の管理責任者をして、営業所で専任技術者になるような場合に可能です。
経営業務の管理責任者と専任技術者は営業所に常駐していていることが義務付けられています。
建設現場に出ることは原則として認められていません。
兼務のメリット
特に小さな会社などの場合では経営業務の管理責任者と専任技術者をそれぞれ別の人にすると現場に出ることのできる技術者の人員が減ってしまいます。
現場に出ることのできる技術者の数を確保するには、営業所に常駐しなければならない人員は少ない方が得策です。
可能なら経営業務の管理責任者と専任技術者は兼務した方がいいでしょう。
実際にも経営業務の管理責任者と専任技術者の兼任は1人社長で経営している会社で、社長が経営業務の管理責任者と専任技術者を兼任しているケースが多くあります。
国土交通省の建設業許可事務ガイドライン
経管と専任技術者の兼務については、国土交通省からも通達が出ています。
建設業許可事務ガイドラインの第5条及び6条関係で次のように記載されています。
(最終改正 令和4年12月28日国不建第463号)
(5)常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第七号)について
① 規則第7条第1号イに該当する常勤役員等(以下「常勤役員等」という。)が同時に専任技術者の要件を備えている場合には、同一営業所(原則として本社又は本店等)内に限って当該専任技術者を兼ねることができる。
兼務できるのは同一営業所に限ってだけとありますので、本店で経営業務の管理責任者となっている場合、本店の専任技術者を兼任できますが、常勤性が必要なことから他営業所の専任技術者を兼任することはできません。
専任技術者と主任技術者
専任技術者は、工事の請負契約を適切な内容で締結して、その工事を契約通りに実行するための役割を担う技術者です。
建設業法で営業所ごとに専任の者を置くことと営業所の専任技術者について規定されています。
専任技術者は、その営業所に常勤して専らその職務に従事することをする者をいい、現場の専任を必要とするとあります。
- 次の条件を満たす場合には、現場の監理技術者や主任技術者と兼務することができます。
- その専任技術者が常勤している営業所で締結された請負工事
- 工事現場の職務に従事しながら、実質的に営業所の職務も従事できる程度に工事現場と営業所が近接している
- 営業所と常時連絡を取り合える体制となっている
技術者の専任性が求められる工事
令和5年1月に条件が緩和されました。公共性の高い工事で、3,500万円(建築一式は7,000万円)から、4,000万円(建築一式は8,000万円)となりました。
ここで言う公共性の高い工事と特定建設業で請け負う工事は配置技術者は現場専任でなければならないために専任技術者が配置技術者になることはできません。
それ以外であれば専任技術者と主任技術者は兼務が可能ということになります。
主任技術者と監理技術者
主任技術者は、すべての工事現場で配置する義務があります。
元請や下請、請負金額に関係ありませんが監理技術者が配置されている現場には主任技術者を配置する必要がないので監理技術者が必要ない小さな工事現場にだけ配置されます。
主任技術者の工事は、一般建設業と、特定建設業のうち下請金額が4,500万円未満のものです。建築一式工事の場合は7,000万未満までとなっています。
下請金額が4,500万円を超える大規模な工事(建築一式工事の場合は7,000万以上)の場合は、主任技術者ではなく、監理技術者の配置が義務付けられています。監理技術者の配置された現場は、主任技術者の配置は不要です。
国や地方自治体の公共工事や大型商業施設の工事の場合で請負金額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万以上)であれば、監理技術者の配置は必ず必要になります。