建設業無許可は営業が停止されるだけでなく、懲役や罰金が課されてしまうことがあります。その他の罰則についても詳しく解説します。
建設業無許可の罰則
500万円以上の建設工事を請け負うには建設業許可が必要です。
無許可で500万円(税込)以上の工事を請け負うと「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」となります。
建設業法違反となった場合、5年間は建設業許可が取得できなくなるため、事業を続けるのがむずかしくなります。
一度違反して罰金刑が科されると、欠格要件に該当し許可の取り消し処分が行われる恐れがあります。
また、建設業許可のない下請会社に500万円以上の工事を発注した場合、下請会社だけではなく元請会社も建設業法違反になります。
下請業者が営業停止や罰金刑を受けるだけでなく、工事を発注した元請業者も処分されることがあります。
許可を取得している元請が無許可営業の下請業者に許可の必要な工事を発注すると、建設業法違反となります。
建設業許可以外の罰則
建設業関係の罰則は500万円以上の建設業許可だけではありません。
建設業許可だけではなく電気工事などの業種によっては建設業の登録や届出をしていないと軽微な建設工事であっても違反となります。
未登録のまま電気工事を行った場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もあり、浄化槽工事では30万円以下の罰金が科せられます。
特定建設業許可
特定建設業の許可がなければ4,500万円以上の下請契約も締結できません。
特定建設業とは、元請として税込4,500万円以上(建築一式工事の場合は税込7,000万円以上)の下請契約ができる許可の区分です。
特定建設業の許可がなければ、税込4,500万円以上(建築一式工事の場合は税込7,000万円以上)の下請契約を締結することができません。
建設業法の一部の規定は無許可業者にも適用
建設業法は許可業者だけを対象にしたものではなく、無許可業者も含めたすべての業者を対象にした規定もあります。
指示処分及び営業停止処分
請け負った工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした場合や請負契約に関して著しく不誠実な行為があった場合は、工事が行われている区域を管轄する都道府県知事が指示処分または営業停止処分を行うこととされています。
500万円以上の工事を無許可で請け負うことは、請負契約に関する不誠実な行為に該当します。
手抜き工事などで工事目的物に重大な瑕疵を生じさせた場合も処分対象となります。
利害関係人による申告と措置請求
許可を受けないで建設業を営む者にこの事実(建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたこと・請負契約に関して著しく不誠実な行為があったこと)があった場合は、利害関係人が都道府県知事に対し、その事実を申告し、適切な措置を取るべきことを求めることができることとされています。
報告徴収と立ち入り検査
国土交通大臣または都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、許可の有無に関わらず、建設業を営む者から報告を徴収して、その職員に立ち入り検査を行わせることができることとされています。
公正な請負契約の締結義務と書面記載・署名による相互交付義務
請負契約の当事者となるすべての建設業者及び発注者は、それぞれが対等な立場で公正な契約を締結して誠実に履行しなければならない。
契約書面に記載する事項も定められており、署名または記名押印が必要です。
建設工事紛争審査会による紛争解決
建設工事の請負契約に関して紛争がある場合は、紛争を解決するために国土交通省・都道府県に設置されている建設工事紛争審査会に対し、あっせん、調停及び仲裁を求めることができます。
その他建設業関係の罰則
工事の現場に主任技術者や監理技術者を置かなかった場合、経営状況分析や経営規模等評価に際し、求められた報告をしなかったり虚偽の報告をしたりした場合などは、100万円以下の罰金となることがあります。
専任技術者の配置
- 専任技術者の配置の違反では次のような罰則が科されることがあります
- 100万円以下の罰金
- 建設業許可の取消処分
- 3年以下の懲役または300万円未満の罰金
- 法人に対する1億円以下の罰金刑
- 以後5年間の許可の取得禁止
一括下請負
一括下請負は、建設業者が請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせてしまうことですが、発注者は建設業者の施工能力等を信頼して契約を締結しているため、この信頼関係を損なうことになります。
建設業法に違反して一括下請負をした場合は、15日以上の営業停止処分が科されます。この処分は、元請けだけでなく下請けにも適用されます。
行政書士に相談
罰則を受けることになるとたいへんです。たとえば元公務員の行政書士などの信頼できる専門家にあらかじめ相談することをおすすめします。
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