建設業許可が取れないとか違反がある場合の申請について

建設業許可違反

建設業を営業するには、基本的には建設業許可が必要になりますが、許可を取ろうとしても条件(要件)を満たさず「取れない」と言われることがあります。

「許可がなかなか取れない」「過去に違反をしてしまったことがある」という悩みなどがあって許可を取れないという場合もあると思います。

建設業法違反がある場合には、許可取得や更新に支障をきたす可能性もあります。建設業許可そのものについてと、許可が取れない場合の対応について詳しく解説します。

建設業許可の基礎から、許可が取れない場合、違反がある場合の申請方法、そして許可取得後の注意点まで、静岡の行政書士法人アラインパートナーズが詳しく解説します。

建設業許可とは

建設業許可とは、建設工事の適正な施工を確保して、発注者を保護するために、建設業法に基づいて定められた制度のことです。

建設業許可とは、一定の規模以上の建設工事を請け負う場合に必要となる国土交通省、または都道府県の許認可制度です。

1件の請負金額が、500万円(消費税込)以上の工事を請け負う場合には、原則として建設業許可が必要になります。

許可が必要な工事としは、原則として、請負金額が500万円以上の建設工事、または建築一式工事で延べ面積が150平方メートル以上の工事を行う場合は許可が必要です。ただし、軽微な建設工事(たとえば500万円未満の建築工事)については許可は不要です。

許可の種類

一般建設業許可

元請または下請として軽微な工事を行う場合です。

500万円(税込)以上の工事、または1500万円(税込)未満の木造住宅工事となります。

特定建設業許可

下請けに出す金額が4000万円(建築一式の場合は6000万円)を超える場合の工事などです。

主要な建設業許可要件

建設業許可の許可要件は、主として次の6項目になります。経営業務の管理責任者、営業所技術者(専任技術者)、財産的基礎、誠実性、欠格要件の不存在、そして社会保険加入です。

  • 許可要件の詳細は次のとおりです。
    • 経営業務の管理責任者として建設業に関する経営者としての経験があり、責任を負える者がいること。
    • 営業所技術者(専任技術者)として建設業に関する資格や実務経験を持つ者を、営業所ごとに配置していること。
    • 財産的基礎として、建設工事請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有していること

・誠実性として、建設工事請負契約に関して誠実性があること

・欠格要件がないこととして、法律で定められた欠格要件に該当しないこと

・社会保険加入として、適切な社会保険に加入していること

なお、専任技術者は、昨年から営業所技術者という名称に変わりました。

建設業法違反と罰則

建設業法に違反すると、次のような行政処分や刑事罰が科されることがあります。

主な違反と罰則

無許可営業は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法第50条)
建設業許可などの場合の虚偽申請では許可の取消、さらに罰則があることもあります。
営業所技術者の不在などの場合には、許可条件の不履行は指導、勧告、営業停止処分などがあります。

名義貸しは、他の業者に自分の名義を貸して建設業を営ませた場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

不正な手段による許可取得として、虚偽の申請など不正な手段で許可を取得した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

建設工事に関する不正行為では、手抜き工事や不当な利益を得る行為などを行った場合、指示処分や営業停止処分、許可の取り消しなどの行政処分が科せられることがあります。

その他としては、帳簿の備え付け義務違反、標識の掲示義務違反など、様々な違反行為に対して罰則が定められています。

違反があると、一定期間は新たに許可申請できなくなることがあるために注意が必要です。

建設業許可が取れない場合とは

  • 次のようなケースでは、建設業許可を取得できない可能性があります。
    • 経営業務の管理責任者の経験が足りない。
    • 営業所技術者(専任技術者)の資格や実務経験が不足している。
    • 欠格事由(破産・禁錮刑・暴力団関係者など)に該当している。
    • 財産的要件(自己資本500万円など)を満たしていない。
    • 過去に建設業法違反で処分を受けている

人的要件の不備

経営業務の管理責任者がいない、またはその要件を満たしていない場合です。営業所技術者(専任技術者)がいない、またはその要件を満たしていない。

欠格要件に該当する者がいる。たとえば、破産手続開始決定を受けている、禁錮以上の刑に処せられたことがあるなどです。

営業所技術者(専任技術者)とは、建設業の営業所に常駐して、建設工事の請負契約の締結や履行を技術面で管理する技術者のことです。建設業許可を受けるには、営業所に専任技術者を配置することが義務付けられています。

財産的基礎の欠如

(一般建設業の場合)自己資本額が500万円以上ない、直前決算において債務超過であるといったケースです。

事務所要件の不備

建設業を営むための適切な事務所がない場合とか、事務所が他の用途に使用されているなど、独立性が認められないといったケースです。

過去の違反歴

過去に建設業法違反で処分を受けたことがある。過去に許可を取り消されたことがあるといったケースです。

申請書類の不備

提出書類が不足している。申請内容に虚偽の記載があるといったケースです。

取れない場合に建設業許可を取る方法

申請書類の確認と訂正

提出書類を再度、確認して不足がないか、記載内容に誤りがないかどうかを再度、確認します。不明な点や不安な点があれば、建設業許可の申請窓口や行政書士などに相談するようにします。

経営経験や技術者を補完する

外部から適切な人物を役員や従業員として迎え入れることで、要件を満たすこともできます

経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を改めて確認して、該当する人材を確保します。

要件を満たす人材がいない場合は、資格取得や実務経験を積むなどの方法を検討するようにすればよいでしょう。

財産的基礎の強化

増資を行うなどして自己資本額を増やすとか、債務超過の場合は、経営改善計画を策定し、財務状況の改善をします。

事務所要件の整備

建設業を営むための適切な事務所を確保します。事務所の独立性を確保して、他の用途との明確な区分するようにします。

経験証明資料を整理する

過去の契約書、請求書、入出金記録などをしっかりと整備することで、経営経験や実務経験を証明できます。

時間経過を待つ

違反歴による不許可であれば、一定期間(通常は5年)経過後に再申請が可能となる場合があります。

過去の違反歴への対応

違反の内容や処分内容を正確に把握します。一定期間の経過や改善状況を示すことで、許可取得が認められる場合があります。行政書士などに相談して適切な対応策を検討します。

認定・講習を活用する

一定の講習や資格取得によって、技術者の要件を補うことができる場合があります。たとえば、2級施工管理技士などです。

建設業許可の申請手続き

申請の流れ

  1. 必要書類の収集

必要書類の収集・作成、人的要件・財産的基礎の確認などを行います。

  1. 申請書作成
  2. 申請(都道府県または国土交通省に提出)

管轄の行政庁(国土交通省地方整備局または都道府県庁)の窓口に申請書類を提出します。郵送での提出が可能な場合もありますのでお問い合わせください。

  1. 審査(通常は1~2ヶ月)

提出された書類に基づいて、行政庁による審査が行われます。

  1. 許可証の交付 審査に合格すると、建設業許可証が交付されます。

主な提出書類

  • 一般建設業許可・新規申請の場合の主な提出書類は次のとおりです。
    • 建設業許可申請書
    • 役員等の一覧表
    • 経営業務の管理責任者の証明書類
    • 専任技術者の証明書類
    • 財産に関する書類(貸借対照表、損益計算書など)
    • 事務所に関する書類(登記簿謄本、賃貸借契約書など)
    • その他、個別の状況に応じて必要な書類

建設業許可申請の注意点

書類の不備や虚偽記載は致命的になる場合があり、最悪の場合、5年間申請できなくなる可能性があります。

建設業許可は、個人と法人での申請は別物となります。個人名義と法人名義での要件確認が必要になります。

外部から迎えた役員の継続性は注意です。形だけの登用では認可されない場合があります。実態が問われると思っておいたほうがよいでしょう。

このように専門知識が求められるので、静岡であれば、行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。申請サポートを受けるとスムーズにすすめることができます。

建設業許可取得後の注意点

建設業許可は取得したら終わりではありません。更新や変更届出を提出したり、実務管理をしなければなりません。

建設業許可取得後の主要な義務は次のとおりです。

5年ごとの許可更新

建設業許可には有効期間があります。通常は5年間です。期間満了前に更新手続きを行う必要があります。更新を忘れてしまうと取り直しになってしまいます。忘れた場合でも、前回に提出した書類を保管しておけば、比較的簡単に許可をもらうことができる場合もあります。

決算変更届

毎事業年度終了後4ヶ月以内に提出します。

建設業許可の決算変更届とは、建設業許可を取得している事業者が、毎年提出する決算内容や工事実績の報告書です。建設業法に基づく義務で、変更の有無にかかわらず提出する必要があります。

決算変更届には、工事実績を「工事経歴書」という形で添付します。この工事経歴書により、建設工事を行った証明ができます。

決算変更届の作成には、税務署に提出する申告書を元に作成するため、税務申告に費やした日数を省いた残りの日数が実質の作成・提出に使える期間となります。

役員や技術者の変更届出

役員の変更、商号・名称の変更、事務所の移転など、許可内容に変更があった場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。これも忘れていると罰則の対象になります。

工事経歴書・施工体制台帳の整備

建設工事に関する帳簿を適切に備え付け、一定期間保存する義務があります。

標識の掲示

建設業許可を受けていることを示す標識を、事務所や建設工事現場に掲示する義務があります。

これらを怠ると、許可の更新ができなくなったり、処分の対象になります。

まとめ

建設業許可は、書類を揃えるだけでなくて実務経験や組織の体制、過去の法令遵守状況などが問われることのある重要な許可制度です。許可が取れない場合にも、諦めずに原因を把握して適切な対策を講じることで取得の可能性はあります。

お困りの場合には、ぜひ静岡の行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。トラブルの状況に合わせた最適なアドバイスをご提供いたします。

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