建設業許可で絶対やっていはいけない名義貸しについて、経管、営業所技術者等

建設業許可違反

建設業許可を取得したり維持継続するために、許可条件だけを整えようとして「名義貸し」という違法行為をする場合があります。

建設業許可を取るために必要な経営業務の管理責任者や営業所技術者(旧・専任技術者)を、常勤で勤務していない人を名義貸しとして登録することを名義貸しと言います。

名義貸しは、建設業法違反であり、虚偽申請となります。名義貸しが発覚した場合、法的な罰則もありますが、建設業許可は取り消されて、5年間は再取得できなくなってしまいます。

名義貸しについて詳しく解説します。

*専任技術者は、2024年12月に建設業法において名称が営業所技術者と変更になりました。

建設業許可の名義貸しとは

「名義貸し」とは、本来の建設業者ではない者が他人名義の建設業許可を使って工事を請け負う、または、他人に自分の名義を貸して工事を請け負わせることです。

  • 建設業許可には次のような人的要件が定められています。
    • 経営業務の管理責任者(経管)
    • 営業所技術者(旧・専任技術者)(営業所ごとに配置)
    • その他、誠実性・財産的基礎など

名義貸しは、これらの要件を形式的に満たして、実態としてその人物が会社の業務に従事していない、または管理・監督していないことになるので、違反となります。

たとえば、実際には別の会社で働いている人を「営業所技術者」として登録したり、元役員に形式的に在籍してもらって「経営業務の管理責任者」として届け出るとか、廃業した建設会社の許可番号を使って他人が工事を請け負う場合です。こうした行為はいずれも名義貸しとなり違反として罰則を受けることになります。

もっと具体的に書けば、許可業者A社が、許可を持っていないB社に対して、「A社の名義を使って工事をしても良い」と許可する場合や許可業者A者の経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者などが、実際にはB社の業務に従事しているにもかかわらず、A社の名簿に名前だけを登録しておく場合です。

その他、許可業者A者の営業所を、許可を持っていないB社が実質的な本店や営業所として使用する場合です。

名義貸しは違法?

名義貸しは建設業法違反の違法行為になります。

建設業法第17条では、「他人に自己の商号または名称を使用させて建設工事の請負契約を締結させてはならない」と定められており、これが名義貸しの禁止規定に該当します。

次のような場合には違法とされるリスクが高くなります。
経管や営業所技術者が実態として業務に従事していない
専任性が確保されていない(二重在籍など)
単なる名目上の役員・社員として登録されている

名義貸しした場合の罰則

名義貸しが判明した場合には、建設業者および名義を貸した者の双方に厳しい処分が科されます。

主な罰則は次のとおりです。

許可の取消・営業停止処分(行政処分)

名義貸しが認定されると建設業許可が取り消される可能性があります。

初犯であっても情状によっては一定期間の営業停止命令を受けることもあります。

刑事罰

建設業法違反として6か月以下の懲役または100万円以下の罰金(法第50条)
両罰規定があるので、法人にも罰金刑が科されることがあります。

公共工事の指名停止

名義貸しが判明すると、自治体や国からの指名停止措置がとられて、入札参加ができなくなります。

名義を貸した本人も処罰の対象となるため、「頼まれただけ」「名前だけだから」といった言い訳は通用しません。

名義貸し以外のよくある違反

建設業許可に関連する違反行為は名義貸しだけではありません。次のような場合も違反になることがあります。

専任技術者の不在・兼任違反

一人の専任技術者を複数の営業所で登録する

他社でも働いている者を専任技術者に据える

経管の要件不備

経管が実際には業務を執行していない

(5年以上の経営経験などの)要件を偽って申請する

許可の区分違い

取得している許可の種類と異なる業種の工事を請け負うこと

無許可営業

(500万円以上など)許可が必要な工事を許可なしで請け負う

一度許可を失効したあとに更新せずに営業を継続する

虚偽申請

経験年数や施工実績を偽って申請する
架空の経歴や職歴を提出する

契約書の不備

建設工事の請負契約において、法定の記載事項を欠いた契約書を使用すること

下請代金の支払遅延

下請負人に対する代金の支払いを不当に遅延させること

変更届を出さない

許可を受けた内容に変更があった場合(商号、所在地、役員、資本金、営業所の新設・廃止、経管・専任技術者の変更など)、定められた期間内に変更届を提出しないこと

いずれのケースも悪質と判断されれば許可取消・罰則の対象となるので、適切な運営と管理が必要です。

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