建設業で公共工事を受注するには経営事項審査(経審)を受けることが、必ず必要になります。
複数の都道府県に営業所を持つ建設業者の場合は「大臣許可」を取得する必要があるので経営事項審査の申請先や手続きが知事許可の場合と異なります。
建設業許可の大臣許可と知事許可の違いや大臣許可業者の経営事項審査の特徴、必要書類や手続きの流れをわかりやすく解説します。公共工事の入札参加を目指すのであれば、必読です。

建設業許可とは?公共工事に不可欠な制度
建設業を営むためには、請負金額500万円以上の工事などを行う場合に「建設業許可」が必要になります。
建設業許可を取得することで、法律に基づいて工事を請け負うことができ、さらに公共工事の入札参加にもつながります。
公共工事の入札に参加するには、この建設業許可を取って、経営事項審査を受ける必要があります。
建設業許可の知事許可と大臣許可の違い
建設業許可には「知事許可」と「大臣許可」の2種類があります。
- 建設業許可の「知事許可」と「大臣許可」の違いはこのようになります。
- 知事許可:営業所が1つの都道府県内にある場合
- 大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所がある場合
たとえば、本店が神奈川県にあって、支店が静岡県にある場合は「大臣許可」となります。この区分によって経営事項審査の申請窓口も変わってきます。

大臣許可の場合の経営事項審査とは?
経営事項審査は、建設業者が公共工事の入札に参加するために必ず受ける審査です。
知事許可業者の場合は、各都道府県庁で経審を受けますので、静岡県であれば下記の静岡県庁になります。
大臣許可業者の場合には国土交通省地方整備局や北海道開発局など、国の出先機関で経審を受けることになるので、静岡県であれば、下記の中部地方整備局になります。
大臣許可業者は広域的に営業しているため、経営事項審査の書類などの提出先も「国の機関」となるのが特徴です。
静岡県庁
交通基盤部建設経済局建設業課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3058
国土交通省 中部地方整備局
名古屋市中区三の丸2丁目5番1号
電話番号:(052)953-8119
大臣許可の経営事項審査を受けるメリット
大臣許可の経審にはこのようなメリットがあります。
・全国規模での公共工事参入が可能になります。複数県に営業所を持つため、幅広い地域で入札資格を利用することができます。
・大規模工事の受注チャンスが大きくなります。知事許可業者よりも規模の大きい工事案件への参入が期待できます。
・対外的な信用力が向上します。国土交通大臣の許可と経審の評価を受けることで、金融機関や取引先からの信頼度が高まります。
大臣許可の経営事項審査に必要な書類一覧
- 大臣許可の経営事項審査では、次の書類を整える必要があります。
- 経営規模等評価申請書
- 工事経歴書
- 直前3年の工事施工金額
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
- 技術職員名簿
- 使用人数一覧表
- 建設業許可通知書の写し
- 納税証明書
- 社会保険加入状況を証する書類
提出先は「地方整備局・開発局」であり、都道府県庁ではありません。静岡県の場合は、国土交通省の中部地方整備局になります。
大臣許可の経営事項審査の手続きの流れ
大臣許可の経営事項審査の手続きは次の流れですすみます。
決算変更届の提出
最新の決算を反映させるために、事前に決算変更届を提出します。
必要書類の作成
工事経歴書や財務諸表、技術職員名簿などを準備します。
申請書の提出
国土交通省地方整備局や北海道開発局など、所轄の出先機関に提出します。
審査・評価
工事実績・技術力・社会性などが点数化されて総合評定値(P点)が算出されます。
入札参加資格審査
経審結果をもとに発注機関の審査を受けて、名簿登載されることで入札に参加可能となります。
まとめ
大臣許可業者は国の経営事項審査で信用力を高めることができます。
大臣許可の経営事項審査は、複数県に営業所を持つ建設会社にとって必ず必要な手続きです。
国土交通省の出先機関で審査を受ける点が知事許可と違って、手続きの難易度や準備すべき書類も多くなりますが、全国規模での入札機会や信用力があがるなど、大きなメリットがあります。
よくある質問(Q&A)
Q1:大臣許可と知事許可の一番大きな違いは何ですか?
A1:営業所が1つの都道府県内にある場合は知事許可、2つ以上の都道府県にある場合は大臣許可になります。
Q2:大臣許可の経営事項審査はどこで受けられますか?
A2:国土交通省の地方整備局や北海道開発局など、国の出先機関で申請・審査を受けます。
Q3:大臣許可の経審に必要な書類は何ですか?
A3:経営規模等評価申請書、工事経歴書、直前3年の施工金額、財務諸表、技術職員名簿、納税証明書などが必要です。
Q4:大臣許可の経審を受けるメリットは何ですか?
A4:全国規模での公共工事入札が可能になり、大規模案件の受注や信用力の向上につながります。
Q5:経営事項審査は毎年受けなければなりませんか?
A5:はい。経審の有効期間は原則1年7か月です。入札資格を切らさないためには、毎年継続的に受ける必要があります。