静岡の行政書士法人アラインパートナーズです。日頃の建設業許可業務のご質問などの経験に基づいて、建設業者様にぜひ知って頂きたい建設業許可の基礎知識を信頼性が高く権威のある静岡県の手引きを基に、アラインパートナーズの日常業務経験のノウハウを加えてわかりやすく解説します。
附帯工事は、主たる工事を適法に行うために必要な関連工事であり、建設業法第4条但書で特例として認められていますが、その範囲を超えてしまうと無許可営業と見なされることがあるため、主工事との従属関係・契約内容・金額を判断する必要があります。
お願い!:恐れ入りますが、お問い合わせについては、静岡県の方で建設業許可に関する内容でお願い致します。
建設業法4条と26条について
静岡県の手引きにも書いてあるとおり、建設業法第4条では、建設業者が許可を受けた業種の建設工事を施工する場合にその建設工事に「附帯する工事」であれば、許可を受けていない業種の建設工事であっても、これを請け負うことができると規定しています。
建設業法第26条の2第2項では、軽微でない工事である税込み500万円を超える附帯工事を施工する場合は、主任技術者を配置して施工するか、専門工事の許可を持つ建設業者に請け負わせて施工させなければならないとしています。
建設業の主任技術者とは、建設業法に基づいて工事現場で「技術上の管理」を行う責任者です。工事現場に配置が義務となっています。
それでは具体的に詳しく解説します。

建設業許可とは
建設業許可とは、一定規模以上の建設工事を請け負う場合に必要となる国または都道府県知事(静岡県知事)の許可です。
建設業法第3条により、請負金額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)以上となる工事、または延べ面積150平方メートルを超える木造住宅の新築工事などを行う場合には、建設業許可が義務となっています。
許可は29業種に区分されており、例えば「土木工事業」「建築工事業」「電気工事業」などがあり、それぞれの工事を請け負うためには対応する業種の許可が必要になります。
建設業法に定める建設業許可は、発注者(施主)を保護するとともに、建設工事の適正な施工を確保して建設業の健全な発達を促進することを目的としています。
附帯工事とは
附帯工事(ふたいこうじ)とは、主たる建設工事を実施するために「必要不可欠な関連工事」のことです。
税込み500万円以下の軽微な工事を除く附帯工事を請け負った場合は、技術者を置いて自ら施工するか、許可を持っている下請に施工させなければなりません。
建設業法からの引用です。
(附帯工事)
第四条 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。第二十六条の二
2 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設工事(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事を除く。)を施工する場合においては、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるものを置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事に係る建設業の許可を受けた建設業者に当該建設工事を施工させなければならない。
建設業法4条では、「建設業の許可を受けた者が請け負うことができる建設工事の範囲」を定めており、許可を受けた建設業の種別に応じた建設工事(主たる工事)に「附帯する」他の建設工事を請け負うことができるとしています。
ここでいう「附帯する」とは、主たる建設工事を施工するために必要な、または施工に伴って発生する他の種類の建設工事で、従として施工するものを指しています。
静岡県の建設業許可の手引きより引用
建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり、一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かが総合的に検討されるもので、主たる工事と当該工事との工事費の多寡によって定まるものではありません。
金額ではなく、主工事との関連性によって決まるとされています。

附帯工事の具体例
附帯工事と認められる典型的な例は次のとおりです。
建築工事業の附帯工事
電気設備や給排水衛生設備、内装仕上げなど、建築物を完成させるために必要な工事。
例:建物新築時に行う照明設備や空調設備の設置。
土木工事業の附帯工事
舗装、排水施設、護岸、法面保護など、構造物完成に必要な関連工事です。
例:道路築造に伴う排水溝設置、擁壁工事。建物に付随する外構の造園工事、建屋内の簡単な電気工事。関連する排水のための管工事、仮設のとび・土工・コンクリート工事などがあります。
電気工事業の附帯工事
電気配線に伴う軽微な内装補修や配管埋設工事。
附帯工事はあくまで「主工事の遂行に不可欠」な範囲に限定されていて独立した目的を持つ工事は含まれていません。
例:電気設備の設置に必要な基礎のとび・土工・コンクリート工事
左官工事と大工工事の事例
施工内容左官工事(主体)、大工工事(附帯)として、静岡の手引きでは次のように記述されています。
モルタルの補修のための下地を修正することは大工工事に該当するが、この工
事は左官の目的のための附帯工事であるため、大工工事業の許可を受けていな
くても、左官工事業の許可を受けていればよい。
附帯工事と認められない工事
- 附帯工事と認められないのは、主たる工事と独立した目的や性格を持つ工事です。たとえば次のような工事は「附帯工事」とは認められません。
- 主たる工事と同等、またはそれを超える規模・金額の工事。
- 主たる工事の施工技術・経験とはまったく異なる高度な専門性が要求されており、その許可がなければ施工が困難な工事。
- 許可のない工事を請け負うために形式的に許可のある工事を付け加えているにすぎない場合。
さらに具体的には次のような場合です。
・建築工事に付随して電気工事を行うが、建築と独立して受注できる内容である場合。
・土木工事の現場で造園工事を同時に請け負うが、造園部分が独立して発注されるような場合。
・主たる工事とは別に、他業種の施工を営業目的で行う場合。
附帯工事と認められるかどうかは、主工事との従属関係・必要性・請負契約の内容などを総合的に判断されることになります。附帯工事は「例外」規定であり、あくまで従たる工事であることが重要です。
このあたり複雑になってきますので、詳しいことは静岡の行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。
軽微な工事と附帯工事
「軽微な工事」と「附帯工事」は大規模でないという点で似ているような言葉ですが、法的な意味が異なっていますのでご説明します。
軽微な工事(建設業法第3条但書)
請負金額が消費税込み500万円未満(建築一式は1,500万円未満)で、かつ延べ面積150平方メートル未満の木造住宅新築などは、建設業許可が不要な工事となります。
建設業法3条の引用です。
(建設業の許可)
第三条 (略)当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
附帯工事(第4条但書)
主たる工事に必要な範囲の関連工事では許可が不要になるのは「その附帯部分のみ」であって、主たる工事は建設業許可業種でなければなりません。
附帯工事は「許可を受けている業種の主工事に付随する範囲」で行える例外であって軽微な工事は金額などによって許可不要とされる別の規定となります。
一式工事と附帯工事
「建築一式工事」や「土木一式工事」は、複数の専門工事を総合的に管理や指導をして完成させる工事です。
一式工事業者は、各専門工事業者を統括して工事全体を完成させる立場にあるため、通常、附帯工事の範囲も広く認められます。たとえば建築一式工事業者が建物を新築する場合、電気・管・内装仕上げなどの附帯工事を含めて施工することができます。
ただし、附帯工事を「独立して受注・営業」する場合は、それぞれの業種の許可が必要になります。
一式工事の許可業者が、請け負った一式工事に含まれる専門工事を自ら施工する場合、それが附帯工事の要件(主たる工事に附帯する従たる工事)を満たしていれば、附帯工事として施工することが可能になります。
ただし、一式工事の許可だけでは、内装仕上工事や電気工事などの専門工事のみを請け負うことはできません。専門工事を請け負うには、その工事に対応する専門工事の許可が必要になります。
附帯工事と付帯工事の違い
建設業法上の正式な用語は「附帯工事(附の字)」です。「付帯工事」という言葉も一般的に使われますが、法律上は定義がないようですが、「付帯工事」は、建築工事の一部として施工されて建築物の全体的な価値を高めるために行われる工事とされています。たとえば、外構工事やインテリアの仕上げ、設備の追加設置などです。
附帯工事は工事完了後には撤去されることが多いですが、付帯工事は建築物の一部として残ることが多いとされています。
いずれにしても、建設業法上の正式な用語は「附帯工事(附の字)」であり、「付帯工事」は現場で使われている言葉という位置づけになります。
500万円以上の附帯工事
附帯工事であっても、その工事部分の請負金額が500万円(建築一式は1,500万円)以上になる場合には注意が必要です。
附帯工事が主工事と一体で契約されている場合は問題ありませんが、附帯部分のみを別途請け負う場合には、その工事単体で建設業許可が必要となります。
たとえば、建築一式工事の附帯として電気工事を行う場合は問題ありませんが、消費税込み500万円超えで電気工事部分だけを別契約で請け負う場合は電気工事業の許可が必要になります。
契約形態によって判断が分かれるため、実務上は契約書・見積書の作成段階から法的整合性を確認することが重要です。
金額が500万円以上であっても、主たる工事との明確な主従関係が維持されていれば附帯工事として施工可能ですが、金額が大きくなるほど、主従関係の立証は困難になるため、注意が必要です。
このあたりも判断はむずかしいと思います。静岡の行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。
主任技術者について
建設業法に準じて附帯工事を行う場合は主任技術者の選任の義務があります。
建設業法第26条第1項では、許可業者は工事現場ごとに主任技術者(または監理技術者)を配置する義務を定めています。主任技術者は、建設業法に基づいて工事現場で「技術上の管理」を行う責任者です。工事現場に配置が義務となっています。
(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
附帯工事の範囲が主工事の許可業種に含まれる場合は、同一の主任技術者が現場を管理できますが、附帯部分が専門的な内容を含む場合は、資格で技術的能力を満たしていることが必要になります。
たとえば、建築工事業者が附帯として電気工事を行う場合に主任技術者が電気工事に関する知識や経験を有していることが必要になります。

最後に
建設業許可は適正な経営と施工の証です。附帯工事の規定は便利な例外ですが、その要件を誤ると重大な法違反(無許可営業)となるため、慎重な判断が求められます。
静岡の行政書士法人アラインパートナーズは、許可業種の選定や附帯工事の扱いについて、実際の契約形態なども考慮に入れてご相談にのらせていただきます。静岡の方は無料で相談させて頂きますのでご連絡ください。

