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【制度改正】建設業法令遵守ガイドラインの元請負人と下請負人、建設業許可との関係

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国土交通省が令和8年(2026年)1月に公表した 「建設業法令遵守ガイドライン(第12版)」(元請負人と下請負人の関係を中心とした版)について、このガイドラインが出された背景・理由・関連法令・要旨をわかりやすく詳しく解説します。

建設業法令遵守ガイドライン(第12版)は、元請負人と下請負人の間の建設工事請負取引において、どのような行為が建設業法に違反するのか、また望ましくないかを具体的に示した実務上の指針になっています。

国土交通省の建設業法令遵守ガイドライン(第12版)のURLです。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001975599.pdf

「建設業法令遵守ガイドライン」の目的

このガイドラインは、国土交通省が作成しており、建設業法と関連制度の改正内容を踏まえて、毎回改訂されています。

このガイドラインの目的は元請や下請の対等な関係の構築をすること、建設業の公正で透明な取引を実現すること、法令違反の未然防止、法律の趣旨や具体的な事例の理解を促進することです。つまり、建設業法の遵守の徹底が目的です。

「建設業法令遵守ガイドライン」が出された理由・背景

建設業が抱える構造的な課題

日本の建設業は、労働力や担い手不足の構造的課題に直面しており、喫緊の課題となっています。

少子高齢化で若年入職者が減少し続けており、就業者の高齢化の進行にも歯止めがかかりません。このことは社会保険加入状況の改善や処遇改善の必要性があるとも言われています。

こうした背景から、建設業全体の生産性を高めることと働き手の処遇改善をすすめることが喫緊の課題となっています。

元請・下請の取引実態への対応

従来から、建設業界においては、元請と下請の取引実態への対応の問題が指摘されてきました。たとえば、赤伝処理による一方的な代金差引、指値発注などによる不適切な下請取引、追加・変更工事拒否や、やり直し工事の強制、不当に長期の支払保留などが問題になっています。

これらは下請負人(中小企業)に負担を強いるだけでなく、建設業全体の健全な発展を阻害するおそれがあります。

関連法令・制度改正の反映

このガイドラインでは、最近改正された法令内容も反映されています。

関連する制度改正

第12版では、最新の法令改正や制度変更を踏まえて改訂されています。令和6年6月の改正建設業法(見積・契約・支払などの規定見直し)、令和7年12月に施行された下請代金支払遅延等防止法・下請中小企業振興法の改正、インボイス制度(適格請求書)への対応(消費税に関する記載義務等)などです。これらの改正内容がこのガイドラインに反映されています。

改正建設業法(見積・契約・支払などの規定見直し)

令和6年(2024年)6月に成立して公布された改正建設業法(第三次・担い手3法)は、資材高騰や人手不足に対応して、下請業者への不当な値引き禁止、適正な労務費(賃金)の確保、そして契約書面への「標準労務費」や「工期変更方法」の明記を義務付けるものです。

これらは「適正な価格転嫁」と「建設業の働き方改革」を目的としており、特に2025年12月までに段階的に全面施行され、違反した場合は勧告・公表などのペナルティが強化されています。

下請代金支払遅延等防止法(下請法)

令和7年(2025年)12月の下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、主に「60日以内の代金支払」や不当な減額・返品の禁止を規定し、親事業者から下請事業者への不当な行為を規制する法律です。

下請代金支払遅延等防止法

令和7年(2025年)5月に成立した「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」は、原材料高騰下での適正な価格転嫁と、親事業者(委託事業者)による優越的地位の濫用防止を目的としています。

下請中小企業振興法の改正

令和7年(2025年)5月に成立・公布された「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」は、原材料費や賃金の高騰分を適切に価格転嫁する「構造的な価格転嫁」の実現を目的としています。

第12版ガイドラインの主な内容

建設業法令遵守ガイドライン(第12版)は、単なる注意喚起ではなく、「どのような行為が建設業法違反に該当するのか」「どこからが問題になるのか」を具体的な取引場面ごとに明示した実務指針となっています。

見積条件の明確化と見積依頼の適正化

元請は、下請に見積を依頼する場合に工事内容、工期、使用材料、施工条件、安全対策、現場条件などをできる限り具体的に提示する必要があります。

この場合、問題となる行為の例としては、内容が曖昧なまま「とりあえず見積を出してほしい」、 後から条件を変更しても見積の再提出を認めないとか、実際には必要な費用(安全対策・夜間作業等)を見積条件に含めないといったケースです。不明確な見積条件による見積依頼は、下請に不利益を与える行為として問題視されます。

書面による契約の原則と契約内容の明示

建設業法では、請負契約は書面で締結することが原則です。第12版では、特に当初契約だけでなく、追加工事・変更工事も必ず書面化ことを強調しています。

問題となる行為の例としては、口頭だけで工事を指示するとか、「後でまとめて精算する」として契約書を作らない場合、契約内容が工事開始後に一方的に変更されるといったケースです。書面化は、トラブル防止だけでなく法令遵守の最低限の要件です。

工期の設定と工期変更の適正性

著しく短い工期の設定は、労務費の圧縮、長時間労働や安全性の低下につながるために、不当な工期設定は問題とされます。

工期は「通常必要と認められる期間」を基準に設定して、工期変更が生じた場合は、理由を明確にして、協議の上で、書面で変更するように書かれています。無理な工期設定は、価格面だけでなく安全配慮義務の観点からも問題になります。

請負代金の決定と「不当に低い請負代金」の禁止

正当な理由なく、材料費、労務費、安全対策費を賄えない水準の請負代金を強いることは禁止です。

問題となる典型例としては、相場を無視した一方的な「指値発注」、見積根拠を示さず「この金額でなければ発注しない」とか、原価割れを前提とした契約の強要です。

ガイドラインは、「安ければよい」という取引慣行からの脱却を強く打ち出しています。

追加工事・変更工事の扱い

追加工事・設計変更が生じた場合、その都度協議し、代金や工期を明確化して、書面で合意が必要です。

問題となる事例としては、無償での追加作業を当然のように要求する場合、「元請の都合」による設計変更なのに費用を負担させるケース、完了後に一方的に精算金額を決めるといった事例です。追加工事は「無料サービス」ではないという原則を明確にしています。

下請代金の支払・支払方法の適正化

支払期限の遵守、不当な支払留保の禁止、支払方法(現金・手形等)の適正化が書かれています。

長期手形・不合理な支払条件は、下請中小企業振興法、下請代金支払遅延等防止法との関係でも問題になり得る。「払っていればよい」ではなく、「どう払うか」まで問われる時代になってるということです。

不利益取扱いの禁止

下請が正当な主張をしたことを理由に、発注を減らすことや契約条件を不利にするといった行為は禁止です。

具体例としては、値上げ交渉をしたら次回から仕事を外されたとか、支払条件の是正を求めたら取引停止といったことが挙げられます。立場の優越性を利用した圧力行為を明確に排除しています。

帳簿・記録の作成・保存

契約書、見積書、注文書・請書、支払記録などを適切に作成・保存する義務があります。監督処分や立入検査の際、帳簿の不備は即リスクになります。

建設業許可との関係(関わり)

このガイドライン違反がすぐに建設業許可の取消ではありません。建設業法令遵守ガイドラインは「法律」そのものではありませんが、建設業許可制度と極めて密接に関係しています。

建設業許可の「法令遵守要件」との関係

建設業許可では、建設業法その他関係法令を遵守する体制、過去の法令違反の有無が求められています。

ガイドラインに反する行為は、建設業法違反の判断材料として用いられる可能性があります。

設業許可の取得や維持(更新)には、経営業務管理責任者の設置、専任技術者の配置、財産的基礎、誠実性、欠格要件非該当、社会保険加入が必要ですが、法令遵守(コンプライアンス)では、建設業法に基づき契約・施工管理を適正に行い、虚偽申請や不正行為(丸投げ、下請法違反等)を排除することが必須になっています。

建設業許可制度の法令遵守(コンプライアンス)では、契約・施工管理において、下請契約書は必ず書面で締結(電磁的記録含む)して、主任技術者・監理技術者を現場へ適正に配置すること、不当に低い請負代金、短い工期の設定、やり直し工事の費用負担強制、不当な材料購入強制などを禁止した不当な取引の禁止、申請書や添付書類に重要な事項についての虚偽記載や記載漏れがないことである虚偽申請の禁止、暴力団排除として、役員等が暴力団員でないことが明記されています。

監督処分(指示・営業停止・許可取消)の判断基準

実務上、行政は、ガイドライン、過去の指導事例、是正勧告を基に、違反の有無や悪質性を判断します。

ガイドラインを無視した取引慣行が続けば、指示処分、営業停止、許可取消につながるリスクがあります。

更新・業種追加・経審への影響

建設業許可更新時、業種追加申請時、経営事項審査(経審)においても、法令遵守体制の有無・取引の適正性は、重要な評価要素です。

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