解体工事を行うためには、「解体工事業登録」または「建設業許可(解体工事業)」のいずれかの許可が必要ですが、「登録と許可の違いが分からない」「自社はどちらが必要なのか判断できない」といった相談は多く寄せられます。
行政書士として解体工事業登録とは?、建設業許可とは何か?解体工事業登録と建設業許可の違い、解体工事業登録の要件や手続きについて、法令に基づいて、分かりやすく解説します。
解体工事業登録とは?
解体工事業登録とは、建設業許可を受けていない事業者が、解体工事を行うために必要な登録制度です。建設業許可を受けていないというのがポイントで、解体工事業の建設業許可があれば解体工事業登録は必要ありません。これは、電気工事業登録と考え方が違っており、電気工事であれば、電気工事の建設業許可があっても電気工事業登録が必要になります。
解体工事業登録は、建設リサイクル法(正式名称は建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)に基づく制度です。
解体工事業登録が必要となるケース
建設業許可を持っていない、請負金額に関係なく解体工事を請け負うとか、建物・工作物の全部または一部を解体する工事を行う場合には、解体工事業登録が必要です。
解体工事業登録は、建設業許可では許可が不要になる税込み500万円未満の工事であっても必要なのが重要なポイントです。

建設業許可とは?
建設業許可とは、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要な、建設業法に基づく許可制度です。
解体工事については、平成28年の法改正により「解体工事業」が独立した業種として新設されました。
解体工事業の建設業許可が必要なケース
解体工事の請負金額が、税込500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上で継続的に大規模な解体工事を行う場合には、解体工事業の業種の建設業許可が必要になります。
建設業許可を取得している場合は、解体工事業登録は不要です。
解体工事業登録と建設業許可の違い
両者の違いを表にしておきます。
| 項目 | 解体工事業登録 | 建設業許可(解体工事業) |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 建設リサイクル法 | 建設業法 |
| 必要な場面 | 許可なしで解体工事を行う場合 | 500万円以上の解体工事 |
| 請負金額制限 | なし | 500万円以上で必須 |
| 有効期間 | 5年 | 5年 |
| 技術者要件 | 技術管理者 | 専任技術者 |
| 全国対応 | 登録都道府県のみ | 許可区分により全国可 |
税込み500万円以下の小規模な解体工事のみであれば、解体工事業登録を取って、500万円以上の解体工事を請け負う可能性があるのであれば、建設業許可(解体工事業)を取得すればよいでしょう。将来的に事業拡大を考えているのであれば、最初から建設業許可を取得する選択もあります。
解体工事業登録の要件
解体工事業登録には、営業所ごとに「技術管理者」を設置する必要があります。
解体工事業の技術管理者は、解体工事において分別解体、機械操作、安全管理、再資源化の指導・監督を行う技術者です。登録解体業者において施工技術上の管理を担当し、国家資格や実務経験を持つ者となっています。
技術管理者の資格要件
次のいずれかの資格を有する者となっています。
建設業法による技術検定
- 建設業法による技術検定は次のとおりです。
- 1級建設機械施工技士
- 2級建設機械施工技士(「第1種」・「第2種」)
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士(土木)
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士(「建築」・「躯体」)
建築士法による建築士
- 建築士法による建築士は次のとおりです。
- 1級建築士
- 2級建築士
職業能力開発促進法による技能検定
- 職業能力開発促進法による技能検定は次のとおりです。
- 1級のとび・とび工
- 2級のとびに合格後、解体工事に関して1年以上の実務経験を有する者
- 2級のとび工に合格後、解体工事に関して1年以上の実務経験を有する者
国土交通大臣の登録を受けた試験
登録試験の合格者
技術管理者の実務要件
大学(短大を含む)又は高等専門学校において土木工学等に関する学科を修了した者
「土木工学等に関する学科」とは「土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、建築学、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科」になります。
実務経験年数が2年以上
高等学校又は中等教育学校において土木工学等に関する学科を修了した者
実務経験年数が4年以上
上記以外の者
実務経験年数が8年以上
ただし、解体工事現場の単なる雑務や、事務の仕事に関する経験は、実務経験にはなりません。
欠格要件に該当しないこと
破産手続開始決定後、復権していない場合、禁錮以上の刑を受け、一定期間が経過していない場合、建設リサイクル法違反で処分歴があるような場合は、登録を受けることができません。法人の場合であれば、役員全員がこの対象となります。
解体工事業登録の手続き
登録申請先
登録申請先は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県です。複数都道府県で営業する場合でも、登録は営業所単位です。
申請に必要な主な書類
- 解体工事業申請に必要な主な書類は次のとおりです。
- 解体工事業登録申請書
- 技術管理者の資格証明書・実務経験証明書
- 誓約書
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 住民票・身分証明書(個人の場合)
都道府県により若干異なる場合があります。
登録の有効期間と更新
解体工事業登録の有効期間は5年間で継続する場合は、更新申請が必要になります。更新を忘れると無登録営業となり、罰則の対象となるため注意が必要です。
まとめ
解体工事を行うには、建設業許可(解体工事業)もしくは、解体工事業登録のいずれかが必須です。
解体工事業登録と建設業許可かは事業規模で判断します。また、請負金額・将来の事業展開・元請からの要請などを総合的に判断するとよいでしょう。

