建設業許可の申請で最も重要なポイントの一つが請負実績の証明です。とくに営業所技術者(旧:専任技術者)や経営業務管理責任者の実務経験の証明では、過去の工事実績を裏付ける資料の提出が求められますが、実務では、契約書が存在しない、注文書しか残っていないとか、請求書はあるが入金証明が合わないといった問題がけっこうあります。行政書士が建設業許可申請における請負実績証明の実務ポイントを詳しく解説します。
建設業許可の「請負実績証明」とは
建設業許可では、次のような場面で工事の実績証明が必要になります。
経営業務管理責任者の経験証明
営業所技術者(営技)の実務経験証明
業種追加時の実務経験
これらでは、実際に工事を請け負った事実を客観的な資料で証明しなければなりません。「工事をしたと言うだけではダメ」で、「書類で証明できるかどうか」が建設業許可審査のポイントになります。

請負実績の証明に使える3つの基本資料
実務上、請負実績の証明として使われる書類は主に次の3つです。
工事契約書
契約書には通常、工事内容・契約日・契約金額・工事の当事者などが記載されているので、この1通で工事実績を証明できることが多いですが、実務では、元請け(一般顧客)との工事・公共工事・大型工事などを除き、契約書を作成していない業者も少なくありません。
特に、下請工事・小規模工事では契約書がないケースも多いことがあります。
注文書・発注書
実務では最も使われることが多い証明資料です。注文書・発注書の特徴としては、発注者の押印があって工事内容が記載されていますし、契約日が確認できます。これらが揃っていれば、1枚で請負実績を証明できることが多いです。
そのため、建設業許可の実務では「注文書が残っているかどうか」が重要です。
ただし注意点があります。発注者の押印がないものは無効になる場合がありますし、工事内容が不明確な場合は補足資料が必要になることもあります。
請求書
請求書も請負実績の証明に使用できます。ただし、注文書とは違い、請求書だけでは不十分な場合があります。通常は次の資料をセットで提出します。請求書と入金を確認できる通帳コピーなどが必要になります。請求書と入金証明で実績を証明します。

請求書で証明する場合の注意点
請求書で証明する場合は、実務上いくつかの注意点があります。
入金額が一致しない問題
例えば次のようなケースです。複数の請求書をまとめて入金されている場合、組合費・協力費などを差し引いて入金されている場合、この場合、他の請求書や領収書などを追加提出して説明する必要があります。
なお、振込手数料(数百円程度)の差額は認められることが多いです。
現金入金は証明が難しい
請求書の証明で最も困るのが現金払いの場合と小切手払いの場合です。これらの場合、通帳に記録が残らないため、実績証明が難しくなることがあります。実務では、銀行振込の記録が残っている工事を優先して証明資料にすることが多いです。
書類は3つすべて必要?どれか1つでもOK?
契約書・注文書・請求書のいずれか、または組み合わせでもOKなことが多いです。例えば、可能な例としては、注文書のみ、請求書と通帳、契約書のみなどです。ただし、通帳だけでは基本的に証明になりません。
営業所技術者(営技)の実務経験は特に厳しい
実務感覚では、経営業務管理責任者より営業所技術者の方が圧倒的に難しいです。
理由は次のとおりです。
経営業務管理責任者
証明要件としては、建設業の工事経験が問われない、つまり業種は問われないためです。
営業所技術者
営業所技術者の場合、取得したい業種の工事であることが必要です。例えば、内装仕上工事業なら内装工事の実績、とび・土工工事業ならとび・土工の実績でなければ認められません。
さらに原則10年もの実務経験が必要になります。10年は長いですよね。ただし学歴によっては3年または5年に短縮される場合もあります。そのため営技の証明は非常にハードルが高いとされています。
実務経験の年数カウントのルール
請負実績の証明では、契約日、注文日などを基準に年数をカウントしますが、実務では都道府県によって細かな運用差があります。
たとえば、アラインパートナーズの地元の静岡県の場合であれば、1年以内の空白なら通算可能ですが、東京都の場合には1か月以内の空白しか認められません。このように都道府県によって運用が異なることがあるため、事前確認が重要です。できれば、地元の行政書士に頼まれることをおすすめします。静岡はアラインパートナーズにお任せください!
請負実績証明のチェックポイント
実務では次の点を特に確認します。
工事名が明確か
営業所技術者では業種に合った工事名が必要です。
工事日が確認できるか
契約日・注文日・請求日などが時系列が確認できるかが重要です。
金額と入金が一致するか
請求書の場合は、入金額と振込記録との整合性が確認されます。
建設業許可申請では「書類の残し方」が重要
建設業許可の申請では、契約書を作っていない場合、注文書を保存していないとか、現金取引が多い場合に苦労します。
実務では、書類がない、少ないために許可申請ができないというケースも少なくありません。
建設業許可を取る建設業者様には次のような管理が推奨されます。
注文書を必ず保管する
請求書を整理する
入金記録を残す

