静岡の行政書士法人アラインパートナーズです。日頃の建設業許可業務のご質問などの経験に基づいて、建設業者様にぜひ知って頂きたい建設業許可の基礎知識を信頼性が高く権威のある静岡県の手引きを基に、アラインパートナーズの日常業務経験のノウハウを加えて解説します。
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに営業所技術者(旧:専任技術者)の配置が必要です。この営業所技術者になるための要件として重要なのが実務経験です。
資格を持っていない場合、頼りになるのは「実務経験」ですが、何年必要なのか?、学科卒業で短縮できるのか?、学歴と年数の関係、どのような書類でそれを証明するのか?といった点を詳しく解説します。
建設業許可における営業所技術者の実務経験要件について、業種別の考え方・指定学科・証明方法・要件緩和までわかりやすく解説します。
営業所技術者(旧:専任技術者)とは
営業所技術者とは、建設業許可を受ける営業所ごとに配置が義務付けられている技術者です。令和3年の法改正により「専任技術者」から名称が変更されました。
この技術者は、請負契約の適正な締結・履行を確保するために、技術的な裏付けを担う重要な役割です。
実務経験による要件の基本
営業所技術者の要件のうち、基本となるのが「実務経験」です。
原則としては、指定学科や資格がない場合には、10年以上の実務経験が必要です。国家資格を持っていない場合、許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験があることが基本要件となります。
ここでいう実務経験とは、工事の施工に関する技術上の経験、単なる作業員ではなく、施工管理や技術的関与があることが求められます。
業種ごとの実務経験の考え方
建設業許可は29業種に分類されており、実務経験は「取得したい業種ごと」に必要になります。
業種ごとに別々にカウントされます。類似した業種であっても原則は流用できません。その業種の実務経験が必要になります。
主な業種例
土木工事業
建築工事業
電気工事業
管工事業
内装仕上工事業
とび・土工工事業
たとえば、電気工事の経験10年は電気工事業では使えますが、内装工事業には使えません。ただし一部、関連性が認められるケースもあります。
一体工事の中の関連工種で内装仕上工事・大工工事・屋根工事など建築一式工事の現場で、内装・大工などを継続的に担当していた場合、「内装仕上工事業」などの実務経験として評価される可能性はあります。
また、管工事の中の空調設備・給排水設備など、同じ「管工事業」の範囲内であれば比較的認められやすくなります。
土木系の近接業種の場合でも、とび・土工工事、舗装工事、土木一式工事など同一現場で一体的に施工している場合では、相互に一部経験として評価される可能性があります。
複数の業種を同時に申請する場合、原則として業種ごとに10年ずつ必要ですが、特定の業種間では経験の振り替えが認められる場合があります。
指定学科卒業による年数短縮
一定の学歴(指定学科)を修了している場合、必要な実務経験年数が短縮されます。
| 学歴 | 必要実務経験 |
|---|---|
| 大学・高専(指定学科) | 3年以上 |
| 高校(指定学科) | 5年以上 |
| 学歴なし | 10年以上 |
指定学科とは国土交通省が定める、各業種に対応した学科です。
土木工事業 → 土木工学科など
建築工事業 → 建築学科
電気工事業 → 電気工学科
業種ごとに細かく定められています。
たとえば、一般建設業の許可を受けようとする場合の要件は次のようになります。
・指定学科修了者で高卒後5年以上、もしくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
・許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上、もしくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
・指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者、または専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
国土交通省の指定学科一覧はリンク先をご覧ください。複数業種に係る実務経験を有する者の記載も掲載されています。
実務経験の証明方法と必要書類
実務経験は「客観的な資料」によって証明する必要があります。
主な証明書類
① 工事請負契約書
最も基本的な証明書類です。工事名・期間・金額が確認できます。
② 注文書・請書
契約書の代替として使用可能です。
③ 請求書・領収書
工事実績の補完資料になります。
④ 確定申告書
個人事業主の場合の裏付け資料となります。
⑤ 工事台帳・施工記録
実務内容の補足になります。
⑥ 在職証明書
- 次の書類を会社勤務の場合に使用します。
- 健康保険被保険者証の写し(事業主名と資格取得日が記載されているもの)
- 所得証明書及び源泉徴収票
- 厚生年金被保険者記録回答票(年金事務所で発行)
- 確定申告書の控え(法人の場合は決算書、個人の場合は確定申告書)
- 住民税特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)
実務経験証明のポイント
「いつ」「どの業種の工事を」「どの立場で」行ったかが明確であること、年数が通算できること(重複期間はNG)、客観性・継続性があることが重要です。
要件緩和
実務経験要件の緩和を認める業種の範囲・緩和年数(平成11年5月26日建設省経建発第137号)について解説します。
営業所技術者の実務経験について、許可を受けようとする業種と技術的な共通性があれば、他の業種での実務経験であっても、一定の範囲内で、許可を受けようとする業種の実務経験としてカウントすることができます。
次の緩和基準を満たしていれば、緩和対象業種の営業所技術者となる資格を取ることができます。
・とび・土工・コンクリート工事の経験が8年を超え土木一式工事の経験と合計して12年以上
・とび・土工・コンクリート工事の経験が8年を超え解体工事の経験と合計して12年以上
・しゅんせつ工事の経験が8年を超え土木一式工事の経験と合計して12年以上
・水道施設工事の経験が8年を超え土木一式工事の経験と合計して12年以上
・大工工事の経験が8年を超え建築一式工事の経験と合計して12年以上
・大工工事の経験が8年を超え内装仕上工事の経験と合計して12年以上
・屋根工事の経験が8年を超え建築一式工事の経験と合計して12年以上
・内装仕上工事の経験が8年を超え建築一式工事の経験と合計して12年以上
・内装仕上工事の経験が8年を超え大工工事の経験と合計して12年以上
・ガラス工事の経験が8年を超え建築一式工事の経験と合計して12年以上
・防水工事の経験が8年を超え建築一式工事の経験と合計して12年以上
・熱絶縁工事の経験が8年を超え建築一式工事の経験と合計して12年以上
・解体工事の経験が8年を超え土木一式工事の経験と合計して12年以上
・解体工事の経験が8年を超え建築一式工事の経験と合計して12年以上
・解体工事の経験が8年を超えとび・土工・コンクリート工事の経験と合計して12年以上
なお、「許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験を有する者」として2業種の営業所技術者となろうとする場合、最短16年(4年の期間短縮)の実務経験で2業種の営業所技術者となることができます。専門工事間での実務経験振替えの場合は最大4年の期間短縮ができます。
注意点と不許可事例
よくあるダメなNGの事例としては、アルバイト期間を実務経験に含めているとか、単純作業(職人補助)だけで申請、証明書類が不足している場合、業種が一致していない場合、在職証明のみで裏付け資料がない場合などがあります。とくに書類不足は多い不許可の原因になっています。
まとめ
営業所技術者の実務経験要件は、建設業許可の中でも最も重要かつ難易度の高いポイントです。
原則は10年の実務経験が必要になりますが、指定学科で3年や5年に短縮もできます。
業種ごとに個別判断が必要になり、証明書類の整備が重要です。わからないことがあれば、静岡の行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。
Q&A
まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。

