配置技術者って?守らないといけない配置義務について徹底解説!

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建設業の許可を受けている建設業者は、元請、下請、また、請負金額の大小にかかわらず、施工する現場には必ず配置技術者(主任技術者または監理技術者)を置かなければなりません。これは建設業法第26条第1項、第2項に規定されています。
ただし、「建設業の許可を受けていない建設業者」については、原則、このルールは当てはまりません(つまり、配置技術者を置く必要はありません)。しかし、ここで誤解してはいけないのは、「許可業者」が許可の必要のない500万円以下の工事を請け負った場合、同じようにこのルールは関係ないと思ってはいけません。冒頭に説明したとおり、許可業者は請負金額の大小にかかわらず、500万円以下の、例えば3万円の少額の工事であっても配置技術者を置かなければならないことに変わりはないからです。
今回はこの建設業の現場に必ず配置しなければならい「配置技術者」について、詳しく解説していきます!

この記事では次の項目に分けてわかりやすく解説していきます。

1 配置技術者って?
2 配置技術者(主任技術者と監理技術者)になるための条件とは?
3 配置技術者の現場専任制度とは?兼任は可能?

1 配置技術者って

はじめに説明しましたが、建設業の許可業者は、元請、下請、また、請負金額の大小にかかわらず、施工する現場には必ず技術者を配置し、工事の監理、監督をしなければなりません。この、工事の監理、監督をするために現場に配置される技術者のことを「配置技術者」といいます。配置技術者は、「監理技術者」と「主任技術者」の2つがあり、それぞれ次のように区分けされています。

  • 監理技術者………発注者から直接工事を請け負った工事で4,500万円(建築一式の場合は7,000万円)以上の工事を下請業者に施工させる場合に配置しなければならない技術者のことです。
  • 主任技術者………前記、監理技術者を配置しなければならい工事以外の工事を施工する場合に配置しなければならない技術者のことです。つまり、請負金額の大小、元請、下請にかかわらず、必ず工事現場に施工上の技術管理を行える主任技術者を配置する必要があるということです。

配置技術者に求められていること!

配置技術者(主任技術者と監理技術者)は工事現場における建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び工事の施工に従事する者の技術上の指導監督(=実質的な関与)であり、これを誠実に行うことが義務づけられています
このように請け負った建設工事に対し実質的な関与、つまり実質的な関わりが無い場合(丸投げをして現場に顔をださない等)、建設業法第22条に規定されている「一括下請負の禁止」となる可能性があるので、特に注意が必要です。

2 配置技術者(主任技術者と監理技術者)になるための条件とは?

(1)資格の条件

配置技術者である主任技術者、監理技術者になるための条件は、実は主任技術者であれば、「一般建設業の専任技術者」の資格条件と同じ、監理技術者であれば「特定建設業の専任技術者」の資格条件と同じなんです。

  • 主任技術者=一般建設業の専任技術者
  • 監理技術者=特定建設業の専任技術者

ここで簡単に専任技術者の資格条件を確認しておきましょう。

◇一般建設業の専任技術者の資格条件

  • ①国家資格を持っている(2級施工管理技士など)
  • ②大臣特別認定者(国土交通大臣)
  • ③10年以上の実務経験者(ただし、指定学科を卒業していれば、高校は5年以上、短大、大学は3年以上の実務経験でOKです。)

◇特定建設業の専任技術者の資格条件

  • ①国家資格をもっている(1級施工管理技士など)
  • ②大臣特別認定者(国土交通大臣)
  • ③一般建設業の専任技術者のいずれかの条件に該当し、なおかつ、元請けとして4,500万円以上の工事現場において、2年以上、指導監督的な立場での実務経験を有する者

(2)雇用関係上の条件

配置技術者の条件には、ここまでみてきたような資格の条件以外に、日雇いやアルバイトではダメといったような雇用関係上の条件もあります。ここではこのような雇用関係上の条件について専任技術者と比較しながら説明していきます。

  • 配置技術者…会社との直接的かつ恒常的な雇用関係が必要です。
  • 専任技術者…会社に常勤であればOKです。

ここでいう「直接的」とは、通常の正規従業員といったイメージで結構です。「直接的でない」といったNGの方をイメージできるようにしておきましょう。「直接的でない」ケースとしては、出向者や派遣者といった本来のその会社の従業員でない場合を指します。ただし、出向者と言っても転籍出向者のようにはじめは出向者でいずれ元の会社に戻る予定だったが、そのうち事情が変わり出向先の会社に転籍したケースは除かれます。この場合は「直接的」雇用関係になったと言えます。

次に「恒常的」についてですが、こちらは無期限雇用、永続的な雇用関係をイメージしていただければと思います。つまり、正社員、正規従業員といったイメージです。逆に、「恒常的でない」ケースとしては、アルバイトや数週間の期間社員などが当たります。わかりやすい例としては、その会社の保険証が発行されているか否かも一つの判断となります。実際、恒常的な雇用関係の証明書類として「保険証の写し」を求めている自治体もたくさんあります。ただし、最近、この「恒常的」の解釈(考え方)が自治体によって変わってきています。きっかけは東日本大震災で工事が増加し、技術者不足が懸念されたことから、入札条件において配置技術者の解釈を3か月以上の継続雇用としていたところ、入札日において雇用関係であればOKと解釈、条件を緩和している自治体が東北地方を中心に増えてきていますので、許可、申請を受けようとする場合は、その自治体の解釈(考え方)を予め確認しておきましょう。

一方、専任技術者については、原則、その会社の本店、支店など、営業所での常勤性が求められています。こちらは常勤であればよく、配置技術者で求められている「直接的」や「恒常的」といった条件はありませんので、派遣社員やある程度長期間の期間社員も専任技術者になることはできます。

建設業者は発注者からの依頼に応えるためには、自社の「組織力」に加え現場の職人のの「技術力」が必要です。技術者がアルバイトなどの一時的な助っ人では発注者の依頼に適切に応えることは難しいため、配置技術者にはこのような、直接的かつ恒常的な雇用関係が求められていると言えます。

※配置技術者の条件等については、国土交通省中部地方整備局のホームページに詳細な情報が記載されていますので、参考にしてください。※リンク先はこちら

3 配置技術者の現場専任制度とは?兼任は可能?

(1)配置技術者の現場専任制度とは?

配置技術者には、ある一定の条件ではその現場に専属で配置しなければならない、という専任性の制度があります。ある一定の条件とは、公共性のある工事(個人の住宅を除くほとんどの工事)で、請負金額が4,000万円(建築一式の場合8,000万円)以上の工事をする場合は、元請、下請にかかわらず、配置技術者を専任で配置しなければならない、というものです。これは、工事の規模からみて、適切な工事、重大な事故の防止が求められており、そのためには元請、下請関係なく、現場に技術者を専任で置く必要がある、という考えから求められている制度と言えます。

※配置技術者の専任性については、国土交通省中部地方整備局のホームページに詳細な情報が記載されていますので、参考にしてください。※リンク先はこちら

(2) 兼任は可能?

一方、専任技術者になるための条件は、配置技術者の条件と同じですので、専任技術者となっている技術者が、配置技術者も兼ねることができるか、といった問題が度々生じています。結論から言えば、原則、NGです。専任技術者は営業所での常勤性が求められていますので、営業所を離れることはできませんが、次の条件を全てを満たす場合に限り、兼務することが例外として認められています。

  • 現場への専任性が求められてないこと。
  • 専任技術者の所属する営業所で契約した工事であること。
  • 専任技術者として適正に職務ができる範囲の近隣の工事現場であること。
  • 所属する営業所と常時連絡がとれる状態であること。

ただし、これらの条件を満たしたとしても、(1)で説明した専任性が求められる現場(公共性のある工事で、請負金額が4,000万円(建築一式の場合8,000万円)以上の工事)では、いかなる場合でも兼任は絶対できませんので特に注意してください。

「配置技術者」のまとめ

今回は、配置技術者について詳しく解説してきました。建設業許可では、配置技術者のほかに、経営業務の管理責任者、専任技術者、今回の配置技術者、主任技術者、監理技術者等たくさんの名称がでてきますが、一つ一つその役割やその技術者等になるための条件が異なっています。今回の配置技術者を含め、今一度よく整理してみましょう。これら名称が理解できるようになると建設業許可の各種制度、建設業法の条文も理解しやすくなってきます。また、今回最後にご紹介した兼務についてですが、実際、専任技術者の方のほとんどは多忙で現場に出ていることが多いかと思いますが、どのようなことが理由で(根拠となって)、原則NGのところ、例外として現場に出ることができるのか、よく理解した上で現場と営業所の兼任をしていただきたいところです。特に専任性が求められる公共性のある工事(個人の住宅を除くほとんどの工事)で請負金額が4,000万円上(建築一式の場合8,000万円以上)の工事では他の工事現場とは絶対に兼任、兼務できない、というルールについては今一度確認してみてください。

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