パチンコ景品交換所のインボイス制度対策~古物商許可の取得?~

コラム

1 インボイス制度によるパチンコ景品交換所が直面する問題

令和5年10月1日から導入されるインボイス制度に伴い、パチンコ景品交換所の事業者様は経営の危機に立たされています。
インボイス制度とは、商品等の仕入時の消費税の計算方式で、正式名称は「適格請求書等保存方式」と呼ばれています。
インボイス制度については詳しく解説しているサイトがあると思いますので、ここでは簡単に説明しますが、登録した事業者からの仕入でないと、仕入時の消費税を控除することができなくなる、ということです。つまり、登録していない事業者から仕入をした場合、自社で全て消費税を余分に払わなければならくなる、ということです。ここで補足しますと、登録した事業者のことを「適格請求書発行事業者」と言い、この事業者から発行された請求書が「適格請求書」(これをインボイスと呼んでいます。ちなみにインボイスは日本語で請求書)と言います。
まとめますと、インボイス制度とは「この適格請求書があれば仕入時の消費税を控除(=免除)しますよ」という制度なんです。

ここでどうしてパチンコ景品交換所がインボイス制度によって経営が窮地立たされているかと言いますと、パチンコ景品交換所は薄利多売で営業されているところが一般的です。薄利多売ということは仕入時に余分に消費税を支払うとなると、ほぼ赤字となってしまい経営が成り立たなくなるということになります。パチンコ景品交換所のお客様はほぼ個人、一般のお客様であり、「適格請求書発行事業者」ではありません。景品を売ってはくれますが(持ち込んでくれますが)、「適格請求書」を発行してくれません。

これでは全国のパチンコ景品交換所は営業できなくなってしまうので、黒字にするためには、買い取り価格を大幅に値下げするか、景品問屋さん(お客様から買った景品を買い取ってくれる問屋さん)に今まで以上に高く買い取ってもらうか、どちらかとなりますが、現実問題、どちらも対応が難しいところです。

2 インボイス制度におけるパチンコ景品交換所の具体的な対応策~古物商特例・質屋特例を適用する!~

こういった喫緊の問題に対し、国税庁や警察庁のホームページには、前記の「適格請求書」を必要としない、保存が不要といったケースが紹介されています。それは、ある一定の条件の下では、「適格請求書」がなくても仕入時の消費税を免除することができる、という特例措置です。この条件とは以下のとおりです。

1 古物商又は質屋であること
2 適格請求書発行事業者でない者から仕入れた古物、質物であること
3 仕入れた古物・質物が、当該古物商・質屋にとって棚卸資産(消耗品を除く)であること
4 一定の事項が記載された帳簿を保存すること

この4つの条件をクリアすることで仕入時の消費税を免除することができるのですが、パチンコ景品交換所において古物商が古物でない景品を買い取るときも、消費税を控除、免除することができるのか、という点については、国税庁において

(参考)古物商が「古物」でないものを買い取る場合…
古物商が、古物営業法上の「古物」に該当しないもの(例:金、白金の地金等)を、古物営業と同等の取引方法(古物台帳に記帳する等)により買い受ける場合には、その仕入れも古物商特例の対象となります。

と明記されております。従いまして、パチンコ景品交換所の事業者様がこのインボイス制度導入によって直面する問題に対応するためには、「古物商になる」ことが条件となります。

3 古物商になるには・・・

それでは、古物商になるには、どうしたら良いかと言うと、現在の事業に新たに古物商の事業を兼業として始めれば良いのです。ただし、本格的に中古品を扱ってそれで利益を出していく、ということはなかなか難しいですし、本来の事業、本業を営んでいくための兼業ですので、最小限の営業規模で良いかと思います(もちろんこれを機に古物商で事業を拡大しても何ら問題はありません、、、)。全く営業しない場合、古物商の許可は受けられませんので、古物商の13品目のうち、比較的簡単に始められる、道具商、事務機器商、チケット商等でご自身でやっていけそうなものを選んで許可取得を目指すのがいいでしょう。ここでは、特にこれが良いと紹介はできませんが、現代はフリマ等、ネットで簡単に売買ができる時代ですので手軽に始められるものを選べば良いか思います。

古物商の事業を開始できる目処が経ちましたら、古物商許可申請の手続を行います。申請場所は営業所を管轄する警察署の生活安全課担当窓口になります。申請書類は静岡県警のホームページからダウンロードできます。申請書の書き方が分からない場合、警察署の生活安全課担当者の方に問い合わせれば教えてくれますが、そもそも何を聞いて良いかわからない、忙しくて警察署に行く時間もない、といった方は行政書士に依頼する方法もあります。当事務所では古物商許可申請の代行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。許可申請から許可が下りるまでの期間は標準処理期間40日となっております。これは土日を除いた期間ですので概ね2か月、繁忙期はもう少しかかると思ってください。費用については法定手数料が19,000円となっており、行政書士に依頼する場合は4万円前後の代行手数料がかかってきます。

以上が簡単ではありますが、インボイス制度導入に伴うパチンコ景品交換所が抱える問題とその対策方法をご紹介してきました。当事務所もパチンコ景品交換所の事業者様から相談を受けた後初めてその問題の深刻さを理解し、対策についていろいろと考えて参りました。今後はパチンコ景品交換所の事業者様をはじめ古物商の許可取得を目指されている皆様を全力でサポートいたしますので、お気軽にアライン行政書士事務所へご相談ください。

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