令和5年7月の一般建設業許可の専任技術者要件の緩和について解説

一般建設業許可の専任技術者要件の緩和 コラム一覧

2023年(令和5年)7月に国土交通省では建設業の従事者の確保や育成を図るため、建設業法に基づいて、技術検定の受検資格の見直しや、一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和などを行う「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」が公布されています。

専任技術者について

建設業法で定められています。建設業事業者の各営業所には建設業に関する一定の資格または経験を有する技術者を専任で配置することとなっています。

この建設業に関する一定の資格、または経験を有する技術者が専任技術者ということになります。

専任技術者の役割としては、許可を受けた営業所でおこなう建設工事に関して、請負契約の適正な締結やその履行を確保することです。

原則的に営業所に常勤して、見積の作成や契約の締結、注文者との技術的なやり取りをします。

原則としては工事現場に出ることはなく、営業所の中で仕事をすることになっています。

建設業許可を取得する要件として、営業所に専任技術者がいなければいけません

専任技術者がいなくなってしまうと建設業許可を維持することができません。専任技術者は建設業許可を取得、維持するために必ず必要な要件のひとつです。

専任技術者の法的な根拠は、建設業法の第7条に次のような記載されています。

(建設業法第7条第2号)

その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置くものであること

イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法による高等学校若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学~途中省略~国土交通省令で定める学科を修めた者

ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務経験を有する者

ハ 国土交通大臣イ又はロに掲げる者と同等以上の知識又は技術を有する者と認定した者

見直しの内容

一般建設業の許可を受けるには、営業所ごとに専任の技術者の配置をしなければなりませんでしたが、その要件が追加されています。

  • 技術検定合格者を指定学科卒業者と同等として次の2つをが追加されました。
    • 1級1次合格者を大学指定学科卒業者と同等
    • 2級1次合格者を高校指定学科卒業者と同等

特定建設業許可の営業所専任技術者要件 、建設工事において配置する主任技術者と監理技術者も同様の扱いとなりました。

改正前

大学、短大等(指定学科)   ——卒業後3年
高等学校(指定学科)     ——卒業後5年
上  記  以  外     ——10年

改正後

大学、短大等(指定学科)   ——卒業後3年
高等学校(指定学科)     ——卒業後5年

      1級1次検定合格 ——合格後3年
技士補技士
      2級1次検定合格 ——合格後5年

上  記  以  外     ——10年

技術検定種目と対応する指定学科

これらを指定学科と組み合わせると次のようになります。

土木施工管理、造園施工管理 → 土木工学
建築施工管理 → 建築学
電気工事施工管理 → 電気工学
管工事施工管理 → 機械工学

改正前後の比較の例としては、たとえば機械器具設置工事業であれば次のようになりました。

改正前

建築学、機械工学、電気工学に関する学科(指定学科)の卒業者以外は10年の実務経験が必要

改正後

指定学科の卒業者以外であっても、建築・電気工事・管工事施工管理技術検定(第一次検定)の合格によって、合格後3年(1級)または5年(2級)に短縮可能となりました。

専任の特例

営業所専任技術者は、次の条件をすべて満たしていれば例外的に工事現場ごとに専任を要しない工事の主任技術者を兼ねることができます。

次の条件が満たされる場合は、当該営業所専任技術者が、当該工事の現場における専任を要しない主任技術者となった場合においても、「営業所に常勤して専らその職務に従事」しているものとみなされることから兼務が認められています。

(1)当該営業所で請負契約が締結された建設工事であること

(2)工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接していること

(3)当該営業所との間で常時連絡を取りうる体制にあること

(4)所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること

静岡市の見解では、近接の考え方は、兼務する工事現場と当該営業所を概ね1時間以内で移動できることとされていました。

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