管工事業で静岡県の建設業許可を取得するための必要な条件や資格、業種内容についてわかりやすく解説します!

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建設業許可には取得対象の業種が29業種があり、今回はその中の「管工事業」について徹底的に詳しく解説していきます。この記事を読めば、管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な条件、資格、業種の内容について詳しく知ることができます。

この記事では次の項目に分けてわかりやすく解説していきます。

1 管工事業の許可が必要になる工事とは?
2 管工事業の内容
3 管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件
4 管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格
5 管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な書類

1 管工事業の許可が必要になる工事とは?

管工事業は、500万円以上の「管工事」を請け負う場合、必要となる業種です。この500万円には注文者から支給された材料費及び材料運搬費も含みますので、例えば、請負額が490万円だから建設業許可はいらない、のではなく、この工事で注文者側から30万円程度の材料費が支給されている場合、合計で500万円以上となるため建設業許可を受けていないと工事を請け負うことができない、という点に注意してください。
また、工事を意図的に2回に分けて請け負ったとしてもダメです。仮に、意図的ではなく、結果的に2回に分かれてしまい、それぞれが500万円未満の工事であったとしても、その工事が結果として一つの工事として見なされる場合、建設業許可を受けている必要があります。
ただし、家を一棟新築するなどいわゆる建築一式工事の場合は、延べ面積が150㎡未満の木造住宅であれば、例外的に許可は必要ありません。また、150㎡以上であっても、請負金額が1,500万円未満であれば許可は不要となっています。この2つのケースのみが500万円以上の例外規定となっています。

2 管工事の内容

管工事とは「冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事」と定義されており、具体的な工事名称としては、「冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事」が建設業許可の管工事に当たります。
それでは管工事の具体的な工事について一つずつ説明していきます。

冷暖房設備工事とは、室内が暑いときは涼しくしたり、寒いときは暖かくしたり、室温を調整できる設備である、いわゆるルームエアコンなどを設置する工事のことをいいます。工事内容としては、エアコン本体を設置するために据付板を壁に取り付けた後、エアコンの室内機を設置し、冷媒配管やドレンホースを取り付け、室外機との配管を接続します。次に、室外機を適切な場所に固定、設置し、真空ポンプを使いガス漏れがないかを確認後、冷媒ガスを放出して、配管内に残っている空気や水分を追い出します。この作業はエアパージと呼ばれています。エアパージにより余分な空気や水分を除去した後に、渡り配線を接続し、室内と室外をつなぐ配管穴をパテ埋めし、エアコン工事の完了となります。エアコンの種類によって多少工事内容が異なりますが、一般的なルームエアコンはこのような工事の流れとなっています。
冷暖房設備工事と似ている工事として、空気調和設備工事、というものがあります。冷暖房設備、空気調和設備、どちらも「エアコン」と呼ばれていますが、厳密に区分すると、冷暖房設備は単に室内の温度調整を行う、いわゆる「ルームエアコン」と呼ばれる設備に対し、空気調和設備は室内の湿度や気流をコントロールすることができる設備で、主にオフィス、商業施設、電車、地下道などに設置されている業務用の設備になります。空気調和設備工事は冷暖房設備工事と異なり、室内機と室外機の距離が離れているため、これらの機器をつなぐ配管工事、電気工事がメインとなってきます。室内までの配管のルートを適切に設計したり、接続部分の空気、ガス漏れがないよう、確実な接続が求められる工事となります。

冷凍冷蔵設備工事とは、スーパーなどでよく見かける、食品などを冷凍・冷蔵保存したり、陳列したりする業務用の冷蔵、冷凍庫などの設備を設置する工事のことをいいます。主に食品の衛生管理や工業製品の品質管理に用いられていますが、用途によって冷却温度が異なるため、その温度用の設備を選択する必要があります。マグロ、カツオなどは-60度の超低温用の室外機、冷凍食品用の-40度の室外機、通常の精肉、鮮魚、飲料水用の-20度~-5度の室外機、青果用、生花用の-5度の室外機など、それぞれの用途に応じた室外機、ショーケースが用意されています。ショーケースなどは比較的大型のため一度設置すると容易に移動ができず、排水設備も必要なため、事前の配置設計が難しいという側面があり、専門的な知識が必要となってくる工事でもあります。

給水・給湯設備工事とは、建築物内の水やお湯を必要な場所に運ぶための給水設備を設置するための工事で、水回りの設備を取り付ける給排水工事、衛生設備工事などと同時に行われることが多い工事です。給水設備工事には、「水道直結直圧方式、水道直結増圧方式、高置水槽方式、ポンプ直送方式」の主に4つの方式があります。一つめの水道直結直圧方式とは、給水場から引かれてくる水道管である、水道本管の水圧によって建物内の必要とされる場所に給水する方式で、一戸建ての住宅など、規模が比較的小さな2階建て程度の高さで用いられる方式です。水圧を利用するため、ポンプなどを使う必要がないので、工事にかかる費用も押さえることができます。次の水道直結増圧方式とは、敷地内に水を引き込むための配管である水道引込管に増圧ポンプを接続して給水する方式の工事です。一つめの水道直結直圧方式と異なり増圧ポンプを使用しているため、高さ10階程度の中層階の建物の最上階まで給水することができる点が特徴です。次の高置水槽方式とは、水道管から引き込んだ水を一度屋上に設置した高置水槽まで水を送り、この高置水槽から重力で下の階に給水する方式です。水道本管から1階もしくは地下に設置された受水槽に水を引き込み、ここで一度水を貯め、揚水ポンプを使って高置水槽まで水を一気に運びます。高置水槽が建物の一番高い場所ですので、重力により任意の場所に水を運ぶことができるというメリットがあります。主に、学校、病院といった比較的中層で規模の大きい建物で用いられる方式です。最後にポンプ式直送方式について説明します。ポンプ式直送方式とは、受水槽から直送ポンプユニットという給水設備を使って建物内の必要な場所に水が運ぶ方式です。加圧ポンプを使うため、大規模な建物にもおいても使用が可能であり、また、ポンプの力を使うことから、高置水槽方式のように高置水槽を設置する必要がない、といった点がメリットと言えます。一方、給湯設備については、局所給湯方式と中央給湯方式の2つの方式があります。局所給湯方式とは、キッチンなどお湯を使う場所に加熱装置を設置してお湯を使用する方式で、一般的な住宅でよく用いられています。いわゆる瞬間湯沸かし器など、給湯器から直接お湯がでると行った点が特徴です。もう一つの方式、中央給湯方式とは、建物の加熱装置から管を利用して各使用場所にお湯を運ぶ方式で、一度に大量のお湯を使用する住宅やホテル、学校、病院などの施設でよく用いられます。使う場所まで距離があるとなかなかお湯がでてこないといったデメリットがあります。

厨房設備工事とは、厨房の設備に関する工事で、飲食店の厨房を新たに新設、若しくはリフォームする際、必ず施工する工事となります。厨房に必要なフライヤー、ガスレンジなどの調理器具や冷蔵庫、冷凍庫などの冷却装置である冷凍冷蔵設備にガスや冷気等を運ぶため管を接続する工事が主な内容となります。厨房の設備に関する工事、と比較的広い意味で用いられるため、厨房設備工事の中には、皿洗い用の業務用食洗機や水の利用に欠かせない厨房用の洗面台など、さきほど紹介した給排水設備の工事も含まれる場合があります。

衛生設備工事とは、主にトイレや浴室など、建物内に設置されている衛生施設の設備に関する工事のことをいいます。給水、排水、水の再利用など、建物内のいわゆる水廻りの工事となりますが、快適な生活環境を維持するためにはこの衛生設備の定期的なメンテナンスや改修工事が非常に重要です。
浄化槽工事とは、日常生活で生じた汚水やし尿を微生物の働きにより分解し、放流する設備である”浄化槽”を設置する工事のことをいいます。浄化槽工事を施工する場合は、浄化槽法で、浄化槽工事を行う都道府県知事に登録または届け出ることが定められていますので、建設業許可を取得する以前に、浄化槽工事の登録、届出をしておく必要があります。また、浄化槽設備士を浄化槽工事を行う営業所ごとに配置し、浄化槽工事を行う際は、実地監督させることも定められていますので、浄化槽工事については建設業許可以外にも定められている事項が別にあることを事前に把握しておく必要があります。

水洗便所設備工事とは、その名のとおり、水洗トイレを設置する工事のいいます。主に汲み取り式トイレから水洗トイレへリフォームする際の工事となります。具体的には、工事内容としては、浄化槽(便槽)の汚物をくみ取り、清掃、消毒して掘り出し、給水管と排水管の敷設、便器と給水タンクの設置などが挙げられます。汲み取り式トイレから水洗トイレへリフォームするメリットとしては、臭気や衛生面対策ができる、害虫発生への懸念が減る、水害による排泄物流出の危険性が減る、 便槽への落下の危険がなくなる、といったメリットがあり、汲み取り式トイレから水洗トイレへリフォームの場合は、行政の補助金等がある場合があり、早めに水洗トイレへリフォームすることが奨められています。
ガス配管工事とは、各家庭に調理や給湯などに利用するガスを供給するためガスの配管を設置する工事のことをいいます。一般家庭で使用するガスには、都市ガスとプロパンガスがありますが、それぞれのガスの種類に適した方法で工事を行います。また、病院で利用されている酸素、窒素ガスといった医療用ガスの配管工事などもあります。一般的にガス工事は敷地内の埋設工事がありますので、土木工事と併せて行われることがほとんどです。

ダクト工事とは、配管工事の一種で”風道”と呼ばれるダクトを天井裏等に取り付ける工事のことをいいます。ダクトは、冷房暖房、排煙、換気などを目的として空気を運ぶためのもので、通常は建物の天井裏に設置されているため、普段はあまり目にすることは少ないかもしれませんが、快適な住環境を維持するためには欠かせないものです。ダクトは丸い筒の一般的な配管とは異なり、断面が四角形の大きな筒型のものが多いといった点が、特徴です。このダクトのおかげで、人が多く集まるオフィスビル、学校、病院、ショッピングモールなどでも、常に新鮮な空気を吸うことができます。

管内更生工事とは、古い配管を新しいものに取り換えるのではなく、既存の配管をクリーニングし、内側から専用の塗料を流して配管を再生させる工事のことをいいます。通常建物は、人間の体の血液のように、給水、排水とあらゆる箇所に配管が埋設されています。これら配管の老朽化に伴い、全て取り替えるとなると建物が利用できない時期が必要になるほど大規模な工事が必要となります。これを更生工事ではなく更新工事といいます。一方、このような大規模な工事を行うことなく、今ある配管の内部を研磨洗浄し、特殊な樹脂などでコーティングすることで、既存の配管を保護し、サビや汚れによる腐食を防止する工事がこの管内更生工事です。更新工事と比べて短期間で施工できるうえ、比較的費用が安価であり、また、工事騒音も少なく、壁や天井の解体復旧の手間も少なくなるというメリットがあります。

次に、建設業許可の許可業種における区分けについてみていきます。配管工事の種類にある、「冷暖房設備工事」、「冷凍冷蔵設備工事」、「空気調和設備工事」には、冷媒の工事、つまり、空気中の熱を運ぶために使われるフロンガスが漏れないようにする工事についても、これらの工事に含まれると解釈されています。冷媒配管工事という名称であっても、配管工事の一種と考えてもよいということになります。
し尿処理に関する施設の建設工事については、「管工事」、「水道施設工事」及び「清掃施設工事」のいずれかに分類されることになりますが、区分けの考え方としては、建設規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む。)によりし尿を処理する施設の建設工事については全て「管工事」に該当します。公共の団体が設置するもので、下水道により収集された汚水を処理するための施設の建設工事の場合は、「水道施設工事」に該当し、公共の団体が設置するもので、汲み取りにより収集されたし尿を処理するための施設の建設工事の場合は「清掃施設工事」という区分けの考えになります。
厨房設備工事など、食品用の機器等については、管工事か機械器具設置工事か判断に迷うところですが、機械器具設置工事の基本的な考え方として、管工事、電気工事、電気通信工事、消防施設工事等と重複した場合は、原則として、管工事等それぞれ専門の工事の方に区分けするものとし、これらのいずれにも該当しない機械器具、もしくは複合的な機械器具の設置の場合に限り「機械器具設置工事」として区分けすることとなります。機械器具設置工事については、判断が各都道府県の建設業許可担当課によって異なるため、静岡県の場合は県の建設業課に必ず事前に確認、相談を行った上で、業種の区分けを行うようにしてください。
空気調和設備工事、ダクト工事等の送風設備に関する工事については、管工事か機械器具設置工事か判断が分かれることがありますが、建物内に設置される空調機器の設置工事については「管工事」に該当し、トンネルや地下道などの給排気用に設置される設備の工事については「機械器具設置工事」に該当する、という区分けになっています。
上下水道に関する施設の建設工事における「土木一式工事」、「管工事」及び「水道施設工事」の区分けの考え方について説明します。公道の下の下水道の配管工事、下水処理場自体の敷地造成工事については「土木一式工事」になり、家屋その他の施設の敷地内における配管工事、上水道等の配水小管を設置する工事が「管工事」に区分けされます。上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事については、「水道施設工事」に区分けされます。なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は「水道施設工事」ではなく、「土木一式工事」に該当しますので注意してください。
公害防止施設を設置する場合の工事に関する区分けについて説明します。公害防止施設を単体で設置する工事の場合は、「清掃施設工事」ではなく、それぞれの公害防止施設の目的で区分けされます。例えば、排水処理設備の工事であれば「管工事」、集塵設備の工事であれば「機械器具設置工事」に分類されます。

管工事は「冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事」と定義されているとおり、原則、必ず水や空気などを送る設備の設置または管を用いた工事となります。許可行政庁である、静岡県の建設業課担当者に確認をしましたが、管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な契約書、注文書、請求書には、具体的な工事名称が記載されていること、または、水や空気などを送る設備の設置工事または管を用いている工事であることが明確に分かる記載が必ず必要との回答を得ております。従いまして、今後、許可の取得を考えている方は、請求書等の書類作成時には特にこの点を十分意識して作成することが重要なポイントです。

3 管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件

ここでは、管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件について、具体的に解説していきます。条件は7つありますが、それぞれ難易度が異なりますので、ここでは参考として難易度を★の数で表しました。やはり一番難しいのが、「人」の条件、経営業務の管理責任者、専任技術者となれる人がいるか、という2つがポイントです。この2つのポイントをクリアできれば、許可取得の可能性は80パーセント以上と考えてよいでしょう。

①経営業務の管理責任者がいること
②専任技術者がいること
③財産的基礎条件
④適正な社会保険への加入
⑤欠格要件に該当する者がいないこと
⑥誠実性があること
⑦実態として適切な営業所があること

建設業許可の条件①経営業務の管理責任者がいること(難易度★★★)

まず最初に7つの条件の中で最もハードルが高いと言われている「経営業務の管理責任者」です。建設業許可を取得するには、「建設業の経営を適正に行える経営者」の存在が求められています。通称「けーかん」と呼ばれることが多い、この経営業務の管理責任者ですが、法人の場合は役員(取締役)の経験が、個人事業主であれば事業主の経験が、トータルで5年以上必要です。個人事業から法人化した場合、個人事業主と取締役経験を合計して5年以上あればOKです。

建設業許可の条件② 専任技術者がいること(難易度★★★)

①の次に難易度の高い条件がこの「専任技術者」です。この条件は、各営業所に次の条件を満たしている従業員が1人以上(取締役、事業主でもOKです。)いるか、という条件となっています。※アとイ、両方ではなくいずれかでOK

ア 取りたい業種に関係する国家資格をもっている。
イ 取りたい業種の実務経験が10年以上ある。

建設業法では、これらの条件を満たしている「専任技術者」(通称:せんぎ)を置くことで、建設業許可を取得した会社の一定レベルの技術、スキルを担保しています。一つ注意しなければいけない点に、この条件は「各営業所ごとに1人以上」ですので、もし会社として営業所が3つあれば、専任技術者も3人以上必要となってきます。
なお、上記イの「実務経験10年以上」の条件には緩和措置の制度があります。関係する短大、大学の学科を卒業していれば、実務経験は3年以上でOK、関係する高校の学科を卒業していれば、実務経験は5年以上でOKと期間が短縮されます。
ここでいう「関係する学科」については業種ごと国土交通省が詳細に定めているので、緩和制度を使用して専任技術者の条件を満たそうとする場合は、事前に静岡県の建設業課が発行している「建設業許可の手びき」で確認するか、静岡県内の建設業許可専門の行政書士に相談するようにしましょう。

また、イの「実務経験10年以上の条件をクリアしているので許可が取れそうだ」と考える方は結構いらっしゃいますが、実際この実務経験10年以上を書類で証明することが本当に難しいんです。この実務経験10年以上という条件をクリアされている方は一定数いらっしゃいますが、そのうち半分以上は書類が準備できなくてあきらめる、というケースが多々あります。取りたい業種であることが明確に分かる請求書等を過去10年分、しっかりと保管している、そういう方はそうそう多くないと思います。
後ほど詳しく解説しますが、「取りたい業種であることが明確に分かる請求書等」とは、例えば管工事業を取得するなら、請求書等の明細に「冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事」等の工事名称が記載されているか、若しくは「冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事」と明確に分かる工事名、内容が記載されている必要があります。こういった厳しい書類の条件をクリアできないとこの実務経験10年以上という条件で許可を取得することができないので、お持ちの書類で証明できるか否か確認したい場合は、事前に静岡県の建設業課、または、静岡県内の建設業許可専門の行政書士に確認をお願いするようにしましょう。

建設業許可の条件③ 財産的基礎条件(難易度★★)

建設業の許可を受ける3つめの条件として、ある一定以上の資金力、財力があることが求められています。これは、許可した会社が直ぐに倒産するようでは注文者が安心して仕事を任せることができないといった注文者保護の観点から求められたものです。建設工事は、資材や機械器具の購入、労働者の雇用など、様々な要素において一定の資金が必要であり、また、工期も長期化することもあるので、財産的基礎条件が建設業許可の条件の一つとなっています。※アとイ、両方ではなくいずれかでOK
具体的な条件としては、

ア 資本金が500万円以上あること
イ 500万円以上の資金調達能力があること

もう少し具体的に説明しますと、アについては、申請しようとするタイミングの直近の決算における決算書の貸借対照表の純資産額が500万以上、イについては申請日から1か月以内の日付で500万円以上の銀行口座の残高証明書が取得できればOKです。なお、イの残高証明書はその日1日の残高証明書ですので、極端なはなし1日だけ借りてきてその日の残高証明書を申し込めば、その後、再び口座から引き出して残高が500万円未満となってしまっても何ら問題ありません。

建設業許可の条件④ 適正な社会保険への加入(難易度★★)

建設業の許可を受ける4つめの条件に、「社会保険へ適正に加入していること」という条件があります。これは主に法人に関係してきますが、法人の場合、現在、一人社長であっても社会保険(健康保険、厚生年金等)への加入は必須となっていますので、建設業者についても、しっかりと社会保険に入っているか、ということがチェックされます。当然、経費の負担となるからと言って社会保険に加入していない法人には許可はおりません。
法人でなく、個人事業主の場合、従業員数が5人未満の場合、加入義務はありませんが、5人以上の従業員のいる場合、社会保険(健康保険、厚生年金)への加入の義務があります。
なお、ここで言う、「建設業許可における社会保険」は、健康保険、厚生年金保険のほか、雇用保険も対象となっております。法人はもちろん、個人事業主であっても従業員を1人以上雇用している場合は、雇用保険への加入義務が発生しますので、静岡県で許可を受けようとする際は、加入状況を書類で証明することが必要です。ただし、労災保険については当然加入義務は発生してきますが、静岡県で建設業許可の申請をする場合、これを証明することまでは今のところ求められておりません。

建設業許可の条件⑤ 欠格要件に該当する者がいないこと(難易度★)

建設業の許可を受ける5つめの条件として、申請の日を基準として過去5年以内に「欠格要件に該当する者がいない」という条件です。欠格要件は下記のとおり建設業法第8条に細かく定められており、このいずれにも該当する者がいないことが許可の条件となります。つまり、一つでも該当する者がいる場合、許可は取得できません。逆を言えば、5年を経過していれば、万一欠格要件に該当していたとしても許可取得上問題はありません。
なお、この欠格要件の対象者は、法人の場合は役員(取締役)、個人事業主の場合は、事業主本人、支配人など、経営に直接かかる地位にいる者が対象者となっております。欠格要件に該当しているにもかかわらず、該当していないと虚偽申請をしてしまうと、申請から5年間は許可を取ることができなくなってしまうので、申請する際は下記の欠格要件に該当していないか、確実にチェックするようにしましょう。特に静岡県で申請する場合は、この欠陥要件に該当していないか、事前に十分チェックをしましょう。万一、3,4年前に対象となっていて今は対象でないからといってうっかり欠格要件に該当しないとして申請してしまった場合、虚偽申告として扱われてしまいます。これは、静岡県の建設業許可の手引きにもしっかり明記されており、たとえ、”うっかり”だったとしても、虚偽申告として扱われ、そこから5年間は欠格要件に該当するとして、一切、許可の申請ができなくなってしまうので十分確認してから申請するようにしてください。

【欠格要件】
1 許可申請書またはその添付書類中の重要な事項について虚偽の記載があるとき。または、重要な事項についての記載が欠けているとき。
2 法人の役員、個人事業主本人、支配人等が次のいずれかの要件に該当するとき。
①成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ない者
②不正の手段により許可を受けたことなどによりその許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
③許可を取り消されるのを避けるため廃業の届け出をした者で、その届け出の日から5年を経過しない者
④建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき
⑤請負契約に関し不誠実な行為をしたことにより営業の停止を命ぜられ、その停止期間を経過しない者
⑥禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
⑦一定の法令(建築業法、建築基準法、刑法等)に違反したことにより、罰金刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
3 役貝等(取綠役のほか、顧問、相談役等も含む)に暴力団や過去5年以内に暴力団であった者が含まれている法人、暴力団員等である個人及び暴力団員等にその事業活動を支配されている者

建設業許可の条件⑥ 誠実性があること(難易度★)

建設業の許可を受ける6つめの条件として、「誠実性があること」という条件があります。この条件は、ある意味確認的な条件となります。要するに、建設業を経営するに当たり、請負契約、工事の施工等において、不正、不誠実な取引、対応をしない、ということです。許可条件⑤の欠格要件に該当していない、健全に建設業を営んでいる方にとってはごく当然のことで、6つ目の条件は確認的な条件と考えてください。
具体的な内容としては、次のとおりです。
直近5年間において、建設関連の法律、規則等に違反し、許可や免許の取り消しがないこと。

建設業許可の条件⑦ 実態として適切な営業所があること(難易度★★)

建設業の許可を受ける7つめの条件として、「実態として営業所があること」という条件があります。建設業法では明確にこの条件の記載はありませんが、第29条に国土交通大臣、都道府県知事は営業所の所在地を確認できない場合は、公告後30日後に許可を取り消すことができる、と規定されており、また、第31条には特に必要がある場合は、営業所への立ち入り検査ができる、と規定されています。
営業所が会社、個人の所有物件であれば問題ありませんが、よくある事例は、賃貸借物件の場合、所有者(大家さん)の使用承諾書が必要となってきます。静岡県では賃貸借物件の場合、この承諾書の添付は義務付けておりませんが、他県では賃貸借物件の場合、承諾書の添付を義務付けているところもあります。では、静岡県だったら承諾書がなくても申請していいか、ということをよく聞かれますが、当事務所では承諾書がもらえない場合、許可の申請は承っておりません。これは、当然、建設業法における許可の条件に満たしていないことはもちろん、虚偽申告することにより、万一、確認が入り発覚した場合、許可の取消しなどにより向こう5年間は許可が取得できないといった可能性があり、大きなデメリットがあることをよく考えて頂きたいところです。実際のところ、承諾書を提供してくれる所有者(大家さん)は多くはないと思います。これは、営業用として賃貸借物件を提供するとなると、税法上税率がアップすることが影響していると考えられるからです。通常のアパート、マンションはあくまで居住用として契約しているのが一般的で、契約書を確認していただければ分かると思いますが、使用目的欄には居住用としての記載となっており、営業用の記載が通常ないと思いますので、賃貸借物件を営業所として使用されている場合は、この点をよく確認してから申請するようにしましょう。
なお、法人としてアパート、マンションを登記しているケースもありますが、登記する際はこの使用目的の確認が入らないため、登記しているからといって大丈夫と思わず、必ず賃貸借物件の契約書の使用目的を確認するようにしてください。万一、承諾書が入手できない場合は、営業用の賃貸借物件に借り換えるか、所有権を得られる実家等に移転することを検討せざるを得ません。
その他、営業所を持たず資材置き場と車で建設業の営業されている一人親方さんなんかもいらっしゃいますが、このケースも許可はとれません。営業所とは、工事の見積、積算、設計、工程管理、安全管理、材質管理等適切に建設業を経営するための事務所スペースを確保する必要があるからです。そのため、申請に必要な営業所を撮影した写真としては、事務所入り口の看板、事務所内の机、イス、パソコン、電話、FAX、コピー機、書庫等も撮影の対象となっています。
経営業務管理責任者、専任技術者がいて、財産的基礎条件、社会保険の条件等クリアしていて許可が取れそうだ、と思っても、実際、適切な営業所でないといった理由で許可が取れない、といったケースも多々ありますので、ご自身の営業所が実態として適切な営業所かどうかしっかり確認しておくことがとても重要です。

4 管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格

管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格、つまり、管工事業の専任技術者になれる資格は次のとおりです。これらの資格をお持ちの方であれば、建設業許可取得に必要な条件の一つである、「専任技術者」になることができます。
一部技能士の資格等については、必要な年数の実務経験が求められます。その場合は、必要な年数分の契約書、注文書、請求書等を提出して実務経験を証明することになります。

【資格一覧】
・一級管工事施工管理技士
・二級管工事施工管理技士

・技術士法…機械「流体工学」又は「熱工学」・総合技術監理(機械「流体工学」又は「熱工学」)
・技術士法…上下水道・総合技術監理(上下水道)
・技術士法…上下水道「上水道及び工業用水道」・総合技術監理(上下水道「上水道及び工業用水道」)
・技術士法…衛生工学・総合技術監理(衛生工学)
・技術士法…衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」)
・技術士法…衛生工学「廃棄物管理」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理」)

・水道法…給水装置工事主任技術者 ※実務経験1年

・技能士…冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管(1級)
・技能士…冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管(2級) ※実務経験3年(平成16年3月以前は1年でOK)
・技能士…給排水衛生設備配管(1級)
・技能士…給排水衛生設備配管(2級) ※実務経験3年(平成16年3月以前は1年でOK)
・技能士…配管・配管工(1級)
・技能士…配管・配管工(2級) ※実務経験3年(平成16年3月以前は1年でOK)
・技能士…建築板金「ダクト板金作業」(1級)
・技能士…建築板金「ダクト板金作業」(2級) ※実務経験3年(平成16年3月以前は1年でOK)

・建築設備士 ※実務経験1年
・計装 ※実務経験1年

・登録技能者…登録配管基幹技能者
・登録技能者…登録ダクト基幹技能者
・登録技能者…登録冷凍空調基幹技能者

5 管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な書類

~実務経験の証明に必要な、契約書、注文書、請求書等について~
建設業許可の申請書は、様式で定められた書類、それに付随する添付書類、官公庁が発行する住民票などの公的書類、自社で作成した契約書、請求書等膨大な書類が必要ですが、それぞれ、申請する方の状況、法人か個人事業主か、資格を持っているか、持っていないか、従業員を雇用しているか、一人親方か、等によって変わってきます。また、複雑な多くの必要書類に必要事項を適切に記入し、かつ、順番どおり、必要枚数ごと並べて提出する必要があります。これらの書類については、静岡県の手びきに詳細に記載されておりますので、ここでは割愛させて頂きますが、今回は手びきに記載されていない、実体験に基づいた、非常に貴重なお話をさせて頂きます。それは、経営業務の管理責任者の請負実績、専任技術者の実務経験の証明に必要な、契約書、注文書、請求書等(以下、請求書等と略します)についてです。
なお、請求書に限っては、請求額の入金箇所がわかる通帳のコピーが必ずセットで必要です。これは、請求書は申請者自身で作成できるため、第三者機関である銀行が証明する書類である通帳のコピーが必要という理由からです。このため申請者自身で作成できない契約書や注文書については、通帳のコピーのような第三者の証明書類の添付は必要ありません。

それでは本題に入ります。まずはじめに、「経営業務の管理責任者の請負実績」の証明と「専任技術者の実務経験」の証明では、同じ請求書等で証明するのですが、「その求められる内容に相当の違いがある」ということを理解してください。つまり、同じ請求書等でも経営業務の管理責任者の請負実績では認められるのに、専任技術者の実務経験の証明では認められない、使えない、ということです。
営業務の管理責任者の請負実績を証明する請求書等の場合、その内容を見てざっくり「これは建設業の請求書だな」と分かればOKですが、専任技術者の実務経験の証明の場合、管工事業であれば「これは間違いなく管工事の請求書等だ」と誰が見てもわかるような記載が求められます。この「誰が見てもわかるような記載」が官公庁独特の風習と言いますか、その基準が明確に示されておりません。要するに同じ請求書等でも担当者によってOKだったり、そうでなかったり、また、他県ではOKだったり、NGだったりすることがある、ということです。ですので、どの担当者でもOKをもらえる請求書等とはどのような内容の請求書等かといいますと、管工事業の場合、請求書の明細や項目に「冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事」のいずれかの工事名称が記載されていれば、まず、問題ありません。問題は請求書にこれら建設工事の例示として示された工事名称の記載がないときです。管工事業の場合は、「冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事」と定義されておりますので、請求書等には、原則、必ず「必ず水や空気などを送る設備の設置工事または金属製等の管を用いた工事」と明確に分かる工事名、内容が記載されている必要があります(例えば、エアコン設置工事、業務用冷蔵庫設置工事、風呂用給水配管工事、厨房ダクト設置工事などの記載があれば問題ありません。)。仮に冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事などの工事名、管工事に関する具体的な工事名の記載がない場合は、材料明細書、見積書、工程表、または、工事現場の写真(例えば施設内に金属製の管を設置している、排煙用のダクトを設置している状況がこれらの資料、写真から読み取れるもの)等によって請求書等を補完、補強するかたちであれば認められることがありますので、条件に合った請求書等がないからダメだ、と思わず、関連する書類は全て探し出して集める、という強い気持ちで最後まであきらめないようにしてください。こうして集めた書類で証明できるかできないかご不安な場合は、本番の許可申請でいきなり提出するのではなく、事前に静岡県の審査機関である建設業課の担当者や静岡県の建設業専門の行政書士に確認してもらうようにするとよいでしょう。

まとめ~管工事業で静岡県の建設業許可を取得するなら行政書士に依頼しよう~

ここまで、管工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な条件や資格、業種内容について説明してきました。建設業の許可を取得するには、多くの定められた条件を全てクリアーし、それらを定められた様式に記載して審査機関である静岡県の建設業課から求められている証明書類を全て揃えて申請する必要があり、初めて許可を取得する人にとっては相当ハードルが高い申請であると言えます。本来の建設業というお仕事でご多忙の中、これら許可申請の事務作業に時間を割いていては本来の業務に支障が出てくることも考えられます。そこで、代行費用はかかりますが、建設業許可を専門にしている行政書士に申請を依頼した方が、スムーズかつ確実に許可を取得できる可能性が非常に高いので、依頼する方法が現実的で一番オススメです。メリットは、

○申請を全て代行するので本来の業務に専念できる
○許可取得に要する日数が短縮できる
○建設業法、許認可に関する相談が気軽にできる

といった大きなメリットがあります。建設業許可がないと現場に入れない、500万円以上の大きい仕事を請け負う可能性があり許可が直ぐに必要になった、という場合は、迷わず建設業許可専門の行政書士にご相談ください。

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