電気工事業で静岡県の建設業許可の取得に必要な実務経験や資格について解説します!

コラム一覧
  1. ~電気工事業の経営業務の管理責任者の条件とは?電気工事業の専任技術者になるために必要な資格や実務経験とは?~
    1. 1 電気工事業の許可が必要になる工事とは?
    2. 2 電気工事の内容
      1. (1) 電気工事の定義・種類等
      2. (2) 電気工事業の登録(届出制度)※電気工事業の業務の適正化に関する法律
      3. (3)電気工事、電気工作物の区分について
      4. (4)電気工事士でないとできない工事
      5. (5)実務経験の特殊性(第2種電気工事士)
    3. 3 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件
      1. 建設業許可の条件①経営業務の管理責任者がいること(難易度★★★)
      2. 建設業許可の条件② 専任技術者がいること(難易度★★★)
      3. 建設業許可の条件③ 財産的基礎条件(難易度★★)
      4. 建設業許可の条件④ 適正な社会保険への加入(難易度★★)
      5. 建設業許可の条件⑤ 欠格要件に該当する者がいないこと(難易度★)
      6. 建設業許可の条件⑥ 誠実性があること(難易度★)
      7. 建設業許可の条件⑦ 実態として適切な営業所があること(難易度★★)
    4. 4 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格
    5. 5 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な書類
    6. まとめ~電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するなら行政書士に依頼しよう~

~電気工事業の経営業務の管理責任者の条件とは?電気工事業の専任技術者になるために必要な資格や実務経験とは?~

建設業許可には取得対象の業種が29業種があり、今回はその中の「電気工事業」について徹底的に詳しく解説していきます。この記事を読めば、電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な条件、資格、業種の内容について詳しく知ることができます。

静岡県で建設業許可専門の行政書士事務所を経営している代表行政書士の八木です。電気工事業で静岡県の建設業許可を取得したい方に向けて、どこよりも詳しく解説しています。今回の記事をみて、許可が取れそうだと感じた方は、許可取得に向けて全力でサポートさせて頂きますので、一度、行政書士法人アラインパートナーズへお気軽にお問い合わせください。

電話番号:0120-105-44


この記事では次の項目に分けてわかりやすく解説していきます。

1 電気工事業の許可が必要になる工事とは?
2 電気工事業の内容
3 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件
4 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格
5 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な書類

1 電気工事業の許可が必要になる工事とは?

電気工事業は、500万円以上の「電気工事」を請け負う場合、必要となる業種です。この500万円には注文者から支給された材料費及び材料運搬費も含みますので、例えば、請負額が490万円だから建設業許可はいらない、のではなく、この工事で注文者側から30万円程度の材料費が支給されている場合、合計で500万円以上となるため建設業許可を受けていないと工事を請け負うことができない、という点に注意してください。
また、工事を意図的に2回に分けて請け負ったとしてもダメです。仮に、意図的ではなく、結果的に2回に分かれてしまい、それぞれが500万円未満の工事であったとしても、その工事が結果として一つの工事として見なされる場合、建設業許可を受けている必要があります。
ただし、家を一棟新築するなどいわゆる建築一式工事の場合は、延べ面積が150㎡未満の木造住宅であれば、例外的に許可は必要ありません。また、150㎡以上であっても、請負金額が1,500万円未満であれば許可は不要となっています。この2つのケースのみが500万円以上の例外規定となっています。

2 電気工事の内容

(1) 電気工事の定義・種類等

電気工事とは「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」と定義されており、具体的な工事名称としては、「発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事」が建設業許可の電気工事に当たります。
それでは各電気工事について一つずつ説明していきます。

発電設備工事とは、常用発電機設備、非常用発電機設備のほか、太陽光発電機設備に関する工事のことをいいます。このうち、非常用発電機の駆動源はディーゼルタイプとガスタービンタイプがありますが、主流はディーゼルタイプとなっています。設置場所は、屋内、屋外問わず目的、適性によって設置されています。一方、常用発電機は非常用発電機に比べ常に高圧の電力を発電する必要があるため、大規模な設備となります。非常用発電機は、万一の際、速やかに稼働することが求められていることから、定期的にメンテナンスを行う必要がありますが、建設業許可においてはメンテナンス(維持管理のための保守点検)については、工事になりませんので請負実績の証明等では注意が必要です。参考ですが、非常用発電機は、消防法等の法律で多人数が集まる場所等については、排煙設備などの電源を確保するため設置が義務付けられています。

送配電線工事とは、山の上や街中にある鉄塔と鉄塔の間を”送電線””で結んだり、街中にある電柱と電柱の間を”配電線”で結ぶ工事のことをいいます。送電線と配電線の違いは、電気を上流である発電所から下流である一般家庭に届くまでの流れをイメージして頂ければわかいやすいのですが、発電所から配電変電所までつなぐ電線を「特別高圧送電線」または「送電線」といい、配電変電所から電柱の上に設置されている柱上変圧器までを「配電線」といい、柱上変圧器から一般家庭までの電線を「引込線」と呼んで区別しています。わかりやすくいえば、山間部や郊外にある鉄塔の上で作業をしている工事が”送電線工事”、街中の電柱の上で作業している工事が「配電線」工事となり、どちらも同じ電線を配線する工事ですが、取り扱う電圧や作業環境などが異なっています。

引込線工事とは、柱上変圧器から一般家庭までの間を引込線で結び各家庭で電気を利用できるようにするための工事のこといいます。引込線工事は、電圧、その利用目的等によって、単相2線式、単相3線式、三相3線式、高圧引込の4つのタイプの工事があり、一般家庭の多くは単相2線式となっており、大家族等で40A以上の電力契約をする場合は、単相3線式の工事を行う必要があります。より多くの電力を必要とする工場やビルなどで行う工事が、三相3線式(モーターを使う工場や公共施設)、高圧引込(6000V)のタイプの工事です。

変電設備工事とは、発電所から供給された高圧電気をそれぞれの利用目的の電圧に変換する設備である受変電設備(通称キューピクル、大きな建物の敷地内にあるグレーの金属製の箱)に関する工事のことをいいます。具体的な工事内容としては、変電の役割を担っているトランス(電柱の上にある筒状のゴミ箱のようなもの)を新しいトランスに更新したり、分電盤(ブレーカー)の更新、増設をしたり、その他、熱対策のため新たに換気扇等の部品を増加するなどといった工事を行います。ここで注意が必要な点としては、トランスのオイル交換や錆等の点検といった保守点検等はメンテナンスになるため、経営業務管理責任者や専任技術者の証明に必要な請負工事の実績として認められない可能性があります。単純な消耗品の交換や点検ではなく、性能が改善された新しいパーツに交換するなど機能の向上が認められるような内容の作業(いわゆる更新工事、リプレース)でないと、請負工事の実績として認められませんので、請負工事の実績証明をする際はこの辺りをしっかりと確認するようにしましょう。

構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事とは、構内、つまり建物や敷地内の電気設備に関する工事で、電気工事の業種においては非常用電気設備も含むことになっています。具体的には、構内の電気設備の新規設置や配線、修理などを行う工事のことをいいます。構内電気設備には様々な種類の器具、設備があり、例えば、分電盤や受変電設備などから配線を行う幹線、照明器具に配線する工事で扱う電灯、コンセント設備、電話設備、放送設備、テレビ共同受信設備、防災関係設備、火災や地震時の災害への備えとして設置される誘導灯設備、非常用照明装置などの電気設備があります。これらの構内電気設備を設置したり、配線したりする工事を構内電気設備工事といいます。

照明設備工事とは、誰でもイメージできるとおり照明に関する電気工事で電気工事士法に基づいて電気工事士が施工することが定められています。具体的には蛍光灯の新規設置や蛍光灯からLEDなどの照明設備への改修工事などが挙げられます。照明設備工事は、照明器具部分の工事だけでなく、そこに電気を供給するための電線、分電盤、照明器具を制御するスイッチ、調光器、リモコンリレーなど付随する工事も含まれてきます。照明器具は一般家庭をはじめ、店舗やオフィス、工場、病院、学校などあらゆる施設で必ず必要となってくる工事ですので、電気工事士などの有資格者が、安全で効果的な工事を施工することが求められています。

電車線工事とは、電車の動力源である電気を電車に送るために必要な送電線である架線の工事のことをいいます。電車への電力の流れは、変電所から送られてきた電気が、主線である”き電線”から”き電分岐装置”を経由して分岐し、トロリ線と呼ばれる支線に流れ、電車のパンタグラフをつたい電車に電気が供給されます。これら電車線路設備に関する工事をすべて電車線工事と呼んでいます。パンタグラフを通じて電車に電気を供給している部分以外は、街中の電柱と電線をイメージして頂ければ外観上はほとんど同じですが、電車線工事は日々社会インフラとしてみなさんの生活の移動を支えている電車のダイヤを一時的に止めた上で工事をすることから、計画的、効率的な工事が求められるとともに、最も重要な安全面も重要視しなければなりません。そのほか、架線張り替え工事では線路の上を走行できる専用の”軌陸車”と呼ばれる重機(線路を走行できる移動式クレーン車)が投入されるといった特徴もあります。

信号設備工事とは、交通インフラを支える信号機を設置、修理、保守する電気工事のことをいいます。交通工学に関する知識のほか、電気、通信、土木などの技術が求められますが、建設業許可における電気工事の業種では特に電気に関する工事がメインとなっています。工程としては、まず、支柱であるコンクリート柱、各種鉄鋼柱等による信号機の柱を設置します(参考ですが、これだけの工事ですと、とび・土工・コンクリート工事の業種となります。)。次に、交通信号機の本体部分の”灯器”と呼ばれる信号機本体をアームと呼ばれる鉄管でさきほど設置した信号機の柱に設置します。灯器にはみなさんもご存じのとおり、車両用の灯器と歩行者用の灯器があります。最後に交通信号機をコントロールする”制御器”を設置します。制御器は、交通事情の変化による設定変更や交通規制の際、直接操作パネルから設定変更できるタイプのものがほとんどですが、最近の制御器は外部からパソコンと接続して設定変更を行ったり、メンテナンスができるタイプのものもあります。参考ですが、車両用灯器はフードと呼ばれる帽子のつばのようなものが設置されており、強い日差しにより信号が判別できなくなるのを防いだり、レンズの腐食を防止する機能があり、最近の信号機はほぼLEDによる灯器となっていて寿命や電気代の面で機能が向上しています。このように信号設備工事は高度な知識、技術、安全性が求められることから、交通信号工事士という資格もあります。

ネオン装置工事とは、ネオン管の新規設置、更新、修理、ネオン電線の配線等の工事のことをいい、施工するには、電気工事士の資格に加え、ネオン工事技術者の資格が必要となってくる工事です。ネオン管は、ガラス管の両端にある電極から高電圧をかけ、封入したネオンガスを発光させ鮮やかな光を点灯させています。このため、途中でネオン変圧器という機器により高電圧に変換する必要があり、知識、技術がない作業員がネオン管の設置をすることは非常に危険であるため、特殊電気工事士の資格であるネオン工事技術者の資格が必要となってくるのです。このようにネオン設備は通常の照明機器に比べ非常に高圧で危険性が高いことから、ネオン管、ネオン配線回路、ネオン変圧器、点滅装置等は、人が触れるおそれがないように設置する必要があり、ネオン変圧器は原則地上から1.8m以上離れて設置することが義務付けられています。ネオン管に手が触れるおそれがあるような場所には、金網等の設置が施され、また、強風等で脱落しないように強固に固定する必要があります。

次に建設業許可の許可業種における区分けについてみていきます。建設業許可の業種のうち、電気工事か、屋根工事か、とび・土工・コンクリート工事か、管工事か判断に悩んでしまう工事が”太陽光パネル設置工事”です。太陽光パネルのうち”屋根一体型”である太陽光パネル設置工事は屋根工事に該当しますが、屋根一体型ではなく、単に太陽光パネルの発電設備を設置するだけの工事は”電気工事”に区分けされます。単に太陽光パネルの架台(土台)や太陽光パネルを単に設置するだけの工事については、電気工事、屋根工事ではなく、”とび・土工・コンクリート工事”に区分けされます。なお、太陽光パネル設置工事の場合、工事の工程の中に防水工事が含まれていたとしてもこれはあくまで建設業許可上の付帯工事という考えとなり、特段、建設業許可の”防水工事”がなくとも、電気工事業の許可があれば施工することができます。ほかに、太陽光集熱器を使って太陽光エネルギーを温水などに変換して利用するソーラーシステムの設置工事の場合は、”管工事”に当たる可能性がありますので、太陽光パネルに関連する工事の場合、事前に静岡県の建設業課に確認するようにしましょう。
このほか、工場やビル、病院、学校などの比較的大きい施設内に、電力による電動の機械器具を設置する工事の場合、その機械器具が電気、電力がメインの機械の工事であれば電気工事に当たりますが、電気、電力は補助的なものであくまでその建物と一体となって機能する機械器具で、電気工事、電気通信工事、管工事(大型施設用エアコン等)、消防施設工事などと重複しない工事の場合は”機械器具設置工事”の業種となります。ここは電気工事の解説のページとなりますので機械器具設置工事については簡単に記載いたしますが、機械器具設置工事は建設業許可の業種の中で最難関と言っていいほど取得するのに非常に難しい業種で、その施設に設置する機械器具設置工事が、今挙げたような、電気工事、電気通信工事、管工事、消防施設工事、とび・土工・コンクリート工事などの業種のいずれにも該当しない場合に限って、機械器具設置工事として認められることとなっています。したがいまして、その設置しようとしている機械器具が電気、電力がメインの工事であれば電気工事の業種となりますが、工事の目的の判断に少しでも迷うところがある場合、申請準備段階で静岡県の建設業の手びきを確認の上、静岡県の建設業課に事前に相談するようにしましょう。

電気工事は「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」と定義されているとおり、原則、必ず電気に関する工事となります。許可行政庁である、静岡県の建設業課担当者に確認をしましたが、電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な契約書、注文書、請求書には、具体的な工事名称である電気工事という名称が記載されているか、または、電気の発電、送電、受電に関する工事であることが明確に分かる記載が必ず必要との回答を得ております。従いまして、今後、許可の取得を考えている方は、請求書等の書類作成時には特にこの点を意識して作成することが重要なポイントです。

(2) 電気工事業の登録(届出制度)※電気工事業の業務の適正化に関する法律

電気工事業の仕事をしようとする場合は、原則、その営業所のある都道府県知事、静岡県でしたら静岡県知事に届出をして電気工事業の登録を受けなければなりません(電気工事業の業務の適正化に関する法律第3条に規定されています。)ただし、電気工事業のうち、事業用電気工事業における自家用電気工事業の仕事だけを行う場合は、届出、登録ではなく、営業所のある都道府県知事へ”通知”を行うこととなっています。通知といっても、届出と同じように必要書類に記載して提出することに変わりはありません。自家用電気工事業の場合は、登録は不要ですが、この通知を行う必要があります。
通常の登録電気工事業者、通知電気工事業者のほかに”みなし登録電気工事業者”という区分があります。
みなし登録電気工事業者とは、一般電気工事、自家用電気工事を施工する事業者のうち、特に建設業許可を取得している事業者のことをいいます。電気工事業を取得している建設業許可業者に限らず、他の業種の許可業者が自社において電気工事を施工する場合は、この”みなし登録電気工事業者”となり、必要な届出を行い、電気工事業者として登録する必要があります。また、既に登録電気工事業者であっても、建設業許可を取っていない電気工事業者が新たに建設業許可の電気工事業を取得した場合は、今まで登録していた登録電気工事業者については一旦廃業手続を行い、新たに建設業許可業者として、届出、登録が必要になってきますので、特に注意してください。

その他、”電気工事業の業務の適正化に関する法律”では、

・ある一定の定められた電気工事に必要な器具(絶縁抵抗計その他の経済産業省令で定める器具)を備え付ける必要がある
・建設業許可の金看板(標識)と同じように、電気工事業者であることの必要事項を表示した標識を営業所に掲示する義務がある
・営業所ごとに電気工事に関する必要な事項を記載した帳簿を備え付ける必要がある
・登録の有効期間は原則5年で、5年ごとに更新が必要
・営業所ごとに主任技術者を設置する必要がある

など、建設業許可と同様のルールが電気工事業を営む上での必要事項として定められています。

(3)電気工事、電気工作物の区分について

・電気工作物とは、発電、蓄電、変電、送電、配電または電気を使用するために設置する工作物(機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路等)のことをいいます。区分として大きく分けて、事業用電気工作物と一般用電気工作物があります。

・一般用電気工作物(電気事業法第38条第1項)
一般用電気工作物とは比較的電圧が小さくて安全性が高い電気工作物のことをいい、一般用電気工作物を設置するためには主任技術者の選任や保安規程の届出などが不要であるため、一般家庭等に容易に工作物等を設置することができます。
(例)一般家庭、コンビニ、商店、小規模事務所等の屋内配線、一般家庭用の太陽光発電など

・事業用電気工作物(電気事業法第38条第2項)
一般用電気工作物以外の電気工作物のことをいい、電気事業法に基づき事業用電気工作物を設置する場合は、主任技術者の選任や保安規程の届出など、安全確保のための措置が必要となってきます。
(例)電力会社、工場など大規模施設の発電所、変電所、送電線、配電線など

・小規模事業用電気工作物(電気事業法第38条第3項)
一部の小規模な発電設備の場合、前記、主任技術者の選任や保安規程の届出に代わり、負担の少ない基礎情報の届出と使用前自己確認などの書類を提出します。
(例)10KW以上~50KW未満の太陽光発電設備、20KW未満の風力発電設備など

・自家用電気工作物(電気事業法第38条第4項)
電気事業(一般送配電事業、送電事業、配電事業、特定送配電事業、一部の発電事業等)のために使用する事業用電気工作物以外の事業用電気工作物のことをいいます。抽象的でよくわからないかもしれませんが、具体的には電力会社から600Vを超える電圧で受電して電気を使用する電気設備のことです。学校、ビル、工場、病院、福祉施設などある一定規模の施設にある高圧受電設備がこれに当たります。電気工事業者の間では、キューピクルといったりしますが、施設内の目立たないところにあるグレーの金属製の箱のことで、誰でも一度は目にしたことがあると思います。
(例)自家用発電設備、学校、病院、工場、ビルなどの600Vを超えて受電する需要設備(通称キューピクル)

このようにひと口に電気工作物といってもその規模や安全性によって区分けされており、電気事業法をはじめ電気工事士法など、各関連法令においてこの区分に基づいて電気工事に関することが定められています。なお、今回の記事の中では、各工作物に係る工事は、本来は、一般用電気工作物に係る電気工事、事業用電気工作物に係る電気工事、小規模事業用電気工作物に係る電気工事、自家用電気工作物に係る電気工事、と表記するところ、わかりやすく解説するため、一般用電気工事、事業用電気工事、小規模事業用電気工事、自家用電気工事と簡略化して表記しておりますのでこの点予めご了承ください。

(4)電気工事士でないとできない工事

電気工事士法第3条では一般用電気工事については電気工事士(第一種、第二種)でないと工事できないと定められています。ただし、法で定められた電気工事における”軽微な工事”に限っては電気工事士の資格がなくても工事ができます。逆をいえば、軽微な工事以外の電気工事を行う場合は、必ず電気工事士が行わなければなりません。また、一般用電気工事ではなく、さらに危険度が高い事業用電気工作物を扱う自家用電気工事を行う場合は、第二種電気工事士は扱えず第一種電気工事士でないと施工することはできません。
それでは、ここでいう電気工事における”軽微な工事”について解説していきます。
資格がない、いわゆる無資格者でもできる”軽微な工事”は電気工事士法施行令第1条に6つ定められています。

①電圧600V以下で使用する差込み接続器(受け口)、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器または電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
②電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く)または電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む)をねじ止めする工事
③電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器またはヒューズを取り外す工事
④電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事
⑤電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、または変更する工事
⑥地中電線用の暗渠(あんきょ)又は管を設置し、または変更する工事

このように極めて限定的に列挙されています。⑤と⑥については直接の電気工事ではないため電気工事士でなくてもできそうだと予想はできますが、電気工事の知識がない者にとって判断が難しいと思います。特に注意したいポイントですが、よく行われる”電源コンセントの増設工事”については資格がなくても施工できるのでしょうか。電源コンセントの増設工事は、この軽微な工事の中に例示されておらず、コンセントの増設工事として読み取れる条項もないため、電源コンセントの増設工事については、電気工事士でないと施工できないこととなっていますので、この点は特に注意が必要です。

(5)実務経験の特殊性(第2種電気工事士)

建設業許可における専任技術者となる資格については、

1 定められた国家資格を有すること
2 その業種に関する実務経験があること

となっており、実務経験については原則10年以上のところ、関連する課程の学科を卒業した場合、高卒は5年以上、短大、大卒は3年以上に短縮されることとなっております。これは一般的には建設業許可のどの業種にも当てはまるところですが、とりわけ電気工事業の中で国家資格として認められている”第二種電気工事士”については、資格取得後3年の実務経験が必要となっております。”第二種電気工事士”は比較的取得者が多く、この資格をもって建設業許可の専任技術者としての要件を満たそうと考えておられる方は多数いらっしゃるところ、この電気工事業における資格取得後実務経験3年以上をはじめ、単に資格がなく実務経験で10年以上の証明については、他の業種の実務経験の証明に比べ、特殊な部分が多数あることから、この項では詳しく解説していきます。

まず、第二種電気工事士の資格もなく、いわゆる無資格の状態で実務経験だけの10年以上の実績で専任技術者となることができるか、と言いますと、静岡県の場合、原則、なることはできません。通常の電気工事の範囲は、一般家庭や小規模事務所等の屋内配線工事などの一般電気工事、500KW未満の自家用発電設備などの自家用電気工事がほとんどのところ、これら工事に携わる場合は、電気工事士法では必ず電気工事士の資格が必要となっております。無資格者は当然工事に携わることができないため、実際、実務経験を積むことができません。”第二種電気工事士”については、このうち、500KW未満の自家用電気工事については従事することができないため、施工することが認められている一般電気工事に限って、実務経験を3年以上積むことができれば、専任技術者となることができます。ちなみに、第一種電気工事士については実務経験は不要なため、資格を有していれば専任技術者となることができます。

それでは、無資格者は絶対実務経験10年以上で専任技術者となることができないのでしょうか。実はこれには例外があり、無資格者、つまり資格がなくても主任技術者の監督の下で工事に携わるなど、ある一定の条件の下で実務経験を積んだ場合、認められる可能性があります。それは電気事業法で定められた#電気工事士でなければ工事できない範囲以外の工事”、つまり、無資格者でも工事に携わることができる、最大電力500KW以上の需要設備、工場等の需要設備以外の発電所、変電所、電気事業用の電気工作物などの工事の経験を証明することができれば、実務経験10年以上として専任技術者となれる可能性はあります。

これについては静岡県の建設業の手びきで更に具体的にその範囲、条件等について定められています。電気工事士法第3条各号において、一般用電気工作物及び事業用電気工作物のうち最大電力500KW未満の自家用電気工事は、電気工事士免状等の交付を受けた者でなければ、直接作業に従事することができないことが規定されています。
事業用電気工作物のうち、最大電力500KW未満の自家用電気工作物を除く電気工事については、前記の電気工事士法第3条各号の規制の対象となっていませんが、電気事業法第43条により工事、維持及び運用に関する保安監督のため、主任技術者の選任が義務付けられています。したがって、建設業許可における電気工事業の実務経験については、電気工事士免状等が必要となる一般用電気工作物及び事業用電気工作物のうち最大電力500KW未満の自家用電気工事の実務経験については、免状等の交付後の実務経験に限り、経験期間として算入することができます。

また、事業用電気工作物のうち、最大電力500KW未満の自家用電気工作物を除く電気工事の実務経験については、主任技術者の監督の下に従事した経験であれば、免状等の交付の有無に関わらず、経験期間として算入することができます。ただし、この取扱いにより専任技術者に認定された者であっても、電気工事士免状等の交付を受けずに、一般用電気工作物及び事業用電気工作物のうち最大電力500kW 未満の自家用電気工作物の工事に直接従事することはできない(電気工事士法に違反するため)ので、特に注意が必要です。
文章にすると少しわかりにくいかもしれませんが、静岡県の建設業の手びきでは、表でわかりやすく区分けされておりますので、一度、そちらを確認されることをおすすめいたします。

3 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件

ここでは、電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な7つの条件について、具体的に解説していきます。条件は7つありますが、それぞれ難易度が異なりますので、ここでは参考として難易度を★の数で表しました。やはり一番難しいのが、「人」の条件、経営業務の管理責任者、専任技術者となれる人がいるか、という2つがポイントです。この2つのポイントをクリアできれば、許可取得の可能性は80パーセント以上と考えてよいでしょう。

①経営業務の管理責任者がいること
②専任技術者がいること
③財産的基礎条件
④適正な社会保険への加入
⑤欠格要件に該当する者がいないこと
⑥誠実性があること
⑦実態として適切な営業所があること

建設業許可の条件①経営業務の管理責任者がいること(難易度★★★)

まず最初に7つの条件の中で最もハードルが高いと言われている「経営業務の管理責任者」です。建設業許可を取得するには、「建設業の経営を適正に行える経営者」の存在が求められています。通称「けーかん」と呼ばれることが多い、この経営業務の管理責任者ですが、法人の場合は役員(取締役)の経験が、個人事業主であれば事業主の経験が、トータルで5年以上必要です。個人事業から法人化した場合、個人事業主と取締役経験を合計して5年以上あればOKです。

建設業許可の条件② 専任技術者がいること(難易度★★★)

①の次に難易度の高い条件がこの「専任技術者」です。この条件は、各営業所に次の条件を満たしている従業員が1人以上(取締役、事業主でもOKです。)いるか、という条件となっています。※アとイ、両方ではなくいずれかでOK

ア 取りたい業種に関係する国家資格をもっている。
イ 取りたい業種の実務経験が10年以上ある。

建設業法では、これらの条件を満たしている「専任技術者」(通称:せんぎ)を置くことで、建設業許可を取得した会社の一定レベルの技術、スキルを担保しています。一つ注意しなければいけない点に、この条件は「各営業所ごとに1人以上」ですので、もし会社として営業所が3つあれば、専任技術者も3人以上必要となってきます。
なお、上記イの「実務経験10年以上」の条件には緩和措置の制度があります。関係する短大、大学の学科を卒業していれば、実務経験は3年以上でOK、関係する高校の学科を卒業していれば、実務経験は5年以上でOKと期間が短縮されます。
ここでいう「関係する学科」については業種ごと国土交通省が詳細に定めているので、緩和制度を使用して専任技術者の条件を満たそうとする場合は、事前に静岡県の建設業課が発行している「建設業許可の手びき」で確認するか、静岡県内の建設業許可専門の行政書士に相談するようにしましょう。
また、イの「実務経験10年以上の条件をクリアしているので許可が取れそうだ」と考える方は結構いらっしゃいますが、実際この実務経験10年以上を書類で証明することが本当に難しいんです。この実務経験10年以上という条件をクリアされている方は一定数いらっしゃいますが、そのうち半分以上は書類が準備できなくてあきらめる、というケースが多々あります。取りたい業種であることが明確に分かる請求書等を過去10年分、しっかりと保管している、そういう方はそうそう多くないと思います。
後ほど詳しく解説しますが、「取りたい業種であることが明確に分かる請求書等」とは、例えば電気工事業を取得するなら、請求書等の明細に「電気工事、発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事」等の工事名称が記載されているか、若しくは「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」と明確に分かる工事名、内容が記載されている必要があります。こういった厳しい書類の条件をクリアできないとこの実務経験10年以上という条件で許可を取得することができないので、お持ちの書類で証明できるか否か確認したい場合は、事前に静岡県の建設業課、または、静岡県内の建設業許可専門の行政書士に確認をお願いするようにしましょう。

建設業許可の条件③ 財産的基礎条件(難易度★★)

建設業の許可を受ける3つめの条件として、ある一定以上の資金力、財力があることが求められています。これは、許可した会社が直ぐに倒産するようでは注文者が安心して仕事を任せることができないといった注文者保護の観点から求められたものです。建設工事は、資材や機械器具の購入、労働者の雇用など、様々な要素において一定の資金が必要であり、また、工期も長期化することもあるので、財産的基礎条件が建設業許可の条件の一つとなっています。※アとイ、両方ではなくいずれかでOK
具体的な条件としては、

ア 資本金が500万円以上あること
イ 500万円以上の資金調達能力があること

もう少し具体的に説明しますと、アについては、申請しようとするタイミングの直近の決算における決算書の貸借対照表の純資産額が500万以上、イについては申請日から1か月以内の日付で500万円以上の銀行口座の残高証明書が取得できればOKです。なお、イの残高証明書はその日1日の残高証明書ですので、極端なはなし1日だけ借りてきてその日の残高証明書を申し込めば、その後、再び口座から引き出して残高が500万円未満となってしまっても何ら問題ありません。

建設業許可の条件④ 適正な社会保険への加入(難易度★★)

建設業の許可を受ける4つめの条件に、「社会保険へ適正に加入していること」という条件があります。これは主に法人に関係してきますが、法人の場合、現在、一人社長であっても社会保険(健康保険、厚生年金等)への加入は必須となっていますので、建設業者についても、しっかりと社会保険に入っているか、ということがチェックされます。当然、経費の負担となるからと言って社会保険に加入していない法人には許可はおりません。
法人でなく、個人事業主の場合、従業員数が5人未満の場合、加入義務はありませんが、5人以上の従業員のいる場合、社会保険(健康保険、厚生年金)への加入の義務があります。
なお、ここで言う、「建設業許可における社会保険」は、健康保険、厚生年金保険のほか、雇用保険も対象となっております。法人はもちろん、個人事業主であっても従業員を1人以上雇用している場合は、雇用保険への加入義務が発生しますので、静岡県で許可を受けようとする際は、加入状況を書類で証明することが必要です。ただし、労災保険については当然加入義務は発生してきますが、静岡県で建設業許可の申請をする場合、これを証明することまでは今のところ求められておりません。

建設業許可の条件⑤ 欠格要件に該当する者がいないこと(難易度★)

建設業の許可を受ける5つめの条件として、申請の日を基準として過去5年以内に「欠格要件に該当する者がいない」という条件です。欠格要件は下記のとおり建設業法第8条に細かく定められており、このいずれにも該当する者がいないことが許可の条件となります。つまり、一つでも該当する者がいる場合、許可は取得できません。逆を言えば、5年を経過していれば、万一欠格要件に該当していたとしても許可取得上問題はありません。
なお、この欠格要件の対象者は、法人の場合は役員(取締役)、個人事業主の場合は、事業主本人、支配人など、経営に直接かかる地位にいる者が対象者となっております。欠格要件に該当しているにもかかわらず、該当していないと虚偽申請をしてしまうと、申請から5年間は許可を取ることができなくなってしまうので、申請する際は下記の欠格要件に該当していないか、確実にチェックするようにしましょう。特に静岡県で申請する場合は、この欠陥要件に該当していないか、事前に十分チェックをしましょう。万一、3,4年前に対象となっていて今は対象でないからといってうっかり欠格要件に該当しないとして申請してしまった場合、虚偽申告として扱われてしまいます。これは、静岡県の建設業許可の手引きにもしっかり明記されており、たとえ、”うっかり”だったとしても、虚偽申告として扱われ、そこから5年間は欠格要件に該当するとして、一切、許可の申請ができなくなってしまうので十分確認してから申請するようにしてください。

【欠格要件】
1 許可申請書またはその添付書類中の重要な事項について虚偽の記載があるとき。または、重要な事項についての記載が欠けているとき。
2 法人の役員、個人事業主本人、支配人等が次のいずれかの要件に該当するとき。
①成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ない者
②不正の手段により許可を受けたことなどによりその許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
③許可を取り消されるのを避けるため廃業の届け出をした者で、その届け出の日から5年を経過しない者
④建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき
⑤請負契約に関し不誠実な行為をしたことにより営業の停止を命ぜられ、その停止期間を経過しない者
⑥禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
⑦一定の法令(建築業法、建築基準法、刑法等)に違反したことにより、罰金刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
3 役貝等(取綠役のほか、顧問、相談役等も含む)に暴力団や過去5年以内に暴力団であった者が含まれている法人、暴力団員等である個人及び暴力団員等にその事業活動を支配されている者

建設業許可の条件⑥ 誠実性があること(難易度★)

建設業の許可を受ける6つめの条件として、「誠実性があること」という条件があります。この条件は、ある意味確認的な条件となります。要するに、建設業を経営するに当たり、請負契約、工事の施工等において、不正、不誠実な取引、対応をしない、ということです。許可条件⑤の欠格要件に該当していない、健全に建設業を営んでいる方にとってはごく当然のことで、6つ目の条件は確認的な条件と考えてください。
具体的な内容としては、次のとおりです。
直近5年間において、建設関連の法律、規則等に違反し、許可や免許の取り消しがないこと。

建設業許可の条件⑦ 実態として適切な営業所があること(難易度★★)

建設業の許可を受ける7つめの条件として、「実態として営業所があること」という条件があります。建設業法では明確にこの条件の記載はありませんが、第29条に国土交通大臣、都道府県知事は営業所の所在地を確認できない場合は、公告後30日後に許可を取り消すことができる、と規定されており、また、第31条には特に必要がある場合は、営業所への立ち入り検査ができる、と規定されています。
営業所が会社、個人の所有物件であれば問題ありませんが、よくある事例は、賃貸借物件の場合、所有者(大家さん)の使用承諾書が必要となってきます。静岡県では賃貸借物件の場合、この承諾書の添付は義務付けておりませんが、他県では賃貸借物件の場合、承諾書の添付を義務付けているところもあります。では、静岡県だったら承諾書がなくても申請していいか、ということをよく聞かれますが、当事務所では承諾書がもらえない場合、許可の申請は承っておりません。これは、当然、建設業法における許可の条件に満たしていないことはもちろん、虚偽申告することにより、万一、確認が入り発覚した場合、許可の取消しなどにより向こう5年間は許可が取得できないといった可能性があり、大きなデメリットがあることをよく考えて頂きたいところです。実際のところ、承諾書を提供してくれる所有者(大家さん)は多くはないと思います。これは、営業用として賃貸借物件を提供するとなると、税法上税率がアップすることが影響していると考えられるからです。通常のアパート、マンションはあくまで居住用として契約しているのが一般的で、契約書を確認していただければ分かると思いますが、使用目的欄には居住用としての記載となっており、営業用の記載が通常ないと思いますので、賃貸借物件を営業所として使用されている場合は、この点をよく確認してから申請するようにしましょう。
なお、法人としてアパート、マンションを登記しているケースもありますが、登記する際はこの使用目的の確認が入らないため、登記しているからといって大丈夫と思わず、必ず賃貸借物件の契約書の使用目的を確認するようにしてください。万一、承諾書が入手できない場合は、営業用の賃貸借物件に借り換えるか、所有権を得られる実家等に移転することを検討せざるを得ません。
その他、営業所を持たず資材置き場と車で建設業の営業されている一人親方さんなんかもいらっしゃいますが、このケースも許可はとれません。営業所とは、工事の見積、積算、設計、工程管理、安全管理、材質管理等適切に建設業を経営するための事務所スペースを確保する必要があるからです。そのため、申請に必要な営業所を撮影した写真としては、事務所入り口の看板、事務所内の机、イス、パソコン、電話、FAX、コピー機、書庫等も撮影の対象となっています。
経営業務管理責任者、専任技術者がいて、財産的基礎条件、社会保険の条件等クリアしていて許可が取れそうだ、と思っても、実際、適切な営業所でないといった理由で許可が取れない、といったケースも多々ありますので、ご自身の営業所が実態として適切な営業所かどうかしっかり確認しておくことがとても重要です。

4 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格

電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な資格、つまり、電気工事業の専任技術者になれる資格は次のとおりです。これらの資格をお持ちの方であれば、建設業許可取得に必要な条件の一つである、「専任技術者」になることができます。
一部技能士の資格等については、必要な年数の実務経験が求められます。その場合は、必要な年数分の契約書、注文書、請求書等を提出して実務経験を証明することになります。

【資格一覧】
・一級電気工事施工管理技士
・二級電気工事施工管理技士

・技術士法…建設・総合技術監理(建設)(解体工事を申請する場合は、実務経験1年又は登録解体工事講習受講者)
・技術士法…建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)(解体工事を申請する場合は、実務経験1年又は登録解体工事講習受講者)
・技術士法…電気電子・総合技術監理(電気電子)

・第一種電気工事士
・第二種電気工事士 ※実務経験3年(前記「実務経験の特殊性」の項、参照)
・電気主任技術者(第1種~第3種) ※実務経験5年
・建築設備士 ※実務経験1年
・計装 ※実務経験1年

・登録技能者…登録電気工事基幹技能者

5 電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な書類

~実務経験の証明に必要な、契約書、注文書、請求書等について~
建設業許可の申請書は、様式で定められた書類、それに付随する添付書類、官公庁が発行する住民票などの公的書類、自社で作成した契約書、請求書等膨大な書類が必要ですが、それぞれ、申請する方の状況、法人か個人事業主か、資格を持っているか、持っていないか、従業員を雇用しているか、一人親方か、等によって変わってきます。また、複雑な多くの必要書類に必要事項を適切に記入し、かつ、順番どおり、必要枚数ごと並べて提出する必要があります。これらの書類については、静岡県の手びきに詳細に記載されておりますので、ここでは割愛させて頂きますが、今回は手びきに記載されていない、実体験に基づいた、非常に貴重なお話をさせて頂きます。それは、経営業務の管理責任者の請負実績、専任技術者の実務経験の証明に必要な、契約書、注文書、請求書等(以下、請求書等と略します)についてです。
なお、請求書に限っては、請求額の入金箇所がわかる通帳のコピーが必ずセットで必要です。これは、請求書は申請者自身で作成できるため、第三者機関である銀行が証明する書類である通帳のコピーが必要という理由からです。このため申請者自身で作成できない契約書や注文書については、通帳のコピーのような第三者の証明書類の添付は必要ありません。

それでは本題に入ります。まずはじめに、「経営業務の管理責任者の請負実績」の証明と「専任技術者の実務経験」の証明では、同じ請求書等で証明するのですが、「その求められる内容に相当の違いがある」ということを理解してください。つまり、同じ請求書等でも経営業務の管理責任者の請負実績では認められるのに、専任技術者の実務経験の証明では認められない、使えない、ということです。経営業務の管理責任者の請負実績を証明する請求書等の場合、その内容を見てざっくり「これは建設業の請求書だな」と分かればOKですが、専任技術者の実務経験の証明の場合、電気工事業であれば「これは間違いなく電気工事の請求書等だ」と誰が見てもわかるような記載が求められます。この「誰が見てもわかるような記載」が官公庁独特の風習と言いますか、その基準が明確に示されておりません。要するに同じ請求書等でも担当者によってOKだったり、そうでなかったり、また、他県ではOKだったり、NGだったりすることがある、ということです。ですので、どの担当者でもOKをもらえる請求書等とはどのような内容の請求書等かといいますと、電気工事業の場合、請求書の明細や項目に「電気工事、発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事」のいずれかの工事名称が記載されていれば、まず、問題ありません。問題は請求書にこれら建設工事の例示として示された工事名称の記載がないときです。電気工事業の場合は、「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」と定義されておりますので、請求書には、原則、必ず「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」と明確に分かる工事名、内容が記載されている必要があります(例えば、照明用電源設置工事、キューピクル新設工事、構内電線延長配線工事などの記載があれば問題ありません。)。仮に電気工事、発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事などの工事名、電気工事に関する具体的な工事名の記載がない場合は、材料明細書、見積書、工程表、または、工事現場の写真(例えば施設内の分電盤を空けて電気基板等の設置をしている、または、電柱等に登って架線の配線をしているなどの状況がこれら資料から読み取れるもの)等によって請求書等を補完、補強するかたちであれば認められることがありますので、条件に合った請求書等がないからダメだ、と思わず、関連する書類は全て探し出して集める、という強い気持ちで最後まであきらめないようにしてください。こうして集めた書類で証明できるかできないかご不安な場合は、本番の許可申請でいきなり提出するのではなく、事前に静岡県の審査機関である建設業課の担当者や静岡県の建設業専門の行政書士に確認してもらうようにするとよいでしょう。

まとめ~電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するなら行政書士に依頼しよう~

ここまで、電気工事業で静岡県の建設業許可を取得するために必要な条件や資格、業種内容について説明してきました。建設業の許可を取得するには、多くの定められた条件を全てクリアーし、それらを定められた様式に記載して審査機関である静岡県の建設業課から求められている証明書類を全て揃えて申請する必要があり、初めて許可を取得する人にとっては相当ハードルが高い申請であると言えます。本来の建設業というお仕事でご多忙の中、これら許可申請の事務作業に時間を割いていては本来の業務に支障が出てくることも考えられます。そこで、代行費用はかかりますが、建設業許可を専門にしている行政書士に申請を依頼した方が、スムーズかつ確実に許可を取得できる可能性が非常に高いので、依頼する方法が現実的で一番オススメです。メリットは、

○申請を全て代行するので本来の業務に専念できる
○許可取得に要する日数が短縮できる
○建設業法、許認可に関する相談が気軽にできる

といった大きなメリットがあります。建設業許可がないと現場に入れない、500万円以上の大きい仕事を請け負う可能性があり許可が直ぐに必要になった、という場合は、迷わず建設業許可専門の行政書士にご相談ください。

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