建設業許可を取るために必要な書類には、大きく2つに分けて建設業許可申請書類一式として「様式が定まっている書類」(様式第一号などあらかじめ決まった様式の書類)と「様式として定まっていない書類」、各社、各自で用意する書類があります。今回ご紹介する「納税証明書」は、後者の様式として定まっていない書類となります。 この「納税証明書」が許可申請時の添付書類として求められていますが、「どこで取得するんだろう?税務署かな?」、「税っていろいろ種類があるけど何の納税証明書を取ればいいんだろう?」とわからない点がたくさんでてきます。今回の記事では納税証明書に関するこのような様々な疑問点を解消すべく、具体的に解説していきます。
今回の記事のポイント
○納税証明書の種類について整理してみました!
○納税証明書はどこで取得できる?
○その他注意点は?起業したばかりで納税証明書が提出できない!?
納税証明書の種類について整理してみました!
納税証明書といっても申告所得税、法人税と税の種類によって様々であり、どの種類を取得すべきかは、知事許可、大臣許可、また、個人事業主、法人(会社)とそれぞれによって異なります。
取得する方の多くが知事許可かと思いますが、知事許可の場合は、個人事業主でしたら「個人事業税」、法人(会社)であれば「法人事業税」の納税証明書となります。また、営業所が都道府県に点在するような場合、大臣許可となってきますが、大臣許可の場合は、個人事業主であれば「申告所得税」、法人(会社)でしたら「法人税」となり、知事許可、大臣許可、個人、法人、それぞれで異なっているので、注意が必要です。
これについてはわかりやすく表にまとめてみました。
個人事業主 | 法人(会社) | |
知事許可 | 個人事業税 | 法人事業税 |
大臣許可 | 申告所得税 | 法人税 |
納税証明書はどこで取得できる?
納税証明書、「のうぜい(税)?」と聞くと、ふつうは税務署と思ってしまうところですが、取得窓口は必ずしも最寄りの税務署とは限りませんので、こちらも注意が必要です。
納税証明書の発行機関、つまり取得場所は、知事許可の場合は、県税事務所(各都道府県の税事務所)となります。静岡県の場合は、「財務事務所」という名称になり、東は下田財務事務所から西は浜松財務事務所、県内8箇所にある財務事務所の窓口で取得することができます。最寄りの財務事務所のほか、県内どこの財務事務所でも取得できます。
また、大臣許可(国土交通大臣許可)の場合は、営業所の管轄している「税務署」で取得することになります。こちらは県税事務所ではなく「税務署」ですので、取得する際は間違えないようにしてください。
【取得窓口】
○知事許可…県税事務所(静岡の場合は「県財務事務所」)
○大臣許可…税務署(営業所を管轄する税務署)
【静岡県 請求窓口一覧表】
財務事務所名 | 所 在 地 | 電話番号 |
下田財務事務 | 〒415-0016 下田市中531の1 | (0558)24-2012 |
熱海財務事務所 | 〒413-8686 熱海市水口町13-15 | (0557)82-9060 |
沼津財務事務 | 〒410-8520 沼津市高島本町1-3 | (055)920-2016 |
富士財務事務所 | 〒416-8544 富士市本市場441の1 | (0545)65-2115 |
静岡財務事務所 | 〒422-8630 静岡市駿河区有明町2-20 | (054)286-9120 |
藤枝財務事務所 | 〒426-8663 藤枝市瀬戸新屋362の1 | (054)286-9120 |
磐田財務事務所 | 〒438-0086 磐田市見付3599の4 | (0538)37-2214 |
浜松財務事務所 | 〒430-0929 浜松市中区中央1-12-1 | (053)458-7129 |
~必要なものって印鑑でいいの?取得の手数料は?~
ここで取得に必要なものについて説明します。窓口では、申請書に必要事項を記載し請求することになりますが、必要なものについては次のとおりとなります。
・印鑑(法人の場合は代表者印)
・本人確認書類(運転免許証、保険証等)
・交付手数料400円(1枚につき、例えば2枚なら800円)
なお、代表者が仕事などの都合でどうしても窓口に出向けない場合は、代理人による請求、取得も可能です。この場合は、委任状、代理人の印鑑(認印)、代理人自身の本人確認書類(運転免許証等)が必要となってきます。委任状は静岡県の公式ホームページからダウンロードが可能となっています。リンク先はこちら↓
また、県財務事務所での取得については、「郵送」による請求、取得が可能となっています。こちらも静岡県の公式ホームページから「県税納税証明書交付請求書」をダウンロードして必要事項を記載、本人確認書類等必要書類を同封の上、郵送することで取得することもできますので、郵送をしようとお考えの方は、先ほどご紹介した静岡県の公式ホームページを参照するようにしてください。
リンク先はこちら https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/zei/nouzei/1011863.html
一方、税務署での取得(大臣許可の場合)については、電子申請が可能となっております。こちらも詳細は国のホームページ「e-Tax」に申請方法が詳しく載っておりますのでこちらをよく確認して申請していただければと思います。
リンク先はこちら https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/shomei_index.htmhttps://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/shomei_index.htm
その他注意点は?起業したばかりで納税証明書が提出できない!?
最後に納税証明書取得に関し、その他細かな注意点についていくつかご紹介いたします。細かな注意点ですが、どの注意点も気を付けないと有効な添付書類、納税証明書として受け付けてくれませんので、ここの注意点についてもしっかりと押さえておきましょう。
○実は納税証明書に有効期間があるんです!
建設業許可の申請に必要な添付書類には、それぞれ発行日から定められた期間までのものしか有効な添付書類として扱ってくれないといったルールがあります。納税証明書自体に有効期限があるのではなく、あくまで、建設業許可の申請における添付書類としての有効期限という意味になります。納税証明書の場合、この有効期限は発行日から「3か月以内」と定められていますので、他の書類の準備状況をみながら実際の役所への提出するタイミングを勘案して取得するようにしましょう。
○納税証明書の対象期間は「直前1年分」のものです!
納税証明書は通常過去3年分まで取得できますが、許可申請に際し必要な対象期間は、「直前の事業年度」、つまり許可申請の「直前1年分」のものです。取得する際は、決算書の期間と同じになるよう、申請直前の事業年度に合わせた期間で取得するように注意しましょう。
○起業したばかりで納税証明書が提出できない!?
起業したばかりの会社で1年未満の場合、つまり1事業年度が終了していない場合、前段の納税証明書の対象期間である事業直前1年分の納税証明書がない!といったことが考えられます。このような場合、都道府県によって対応が異なりますが、原則、知事許可でしたら、法人の設立届書や個人事業主の開業届出書の写し、大臣許可なら、税務署へ提出した法人設立届出書の写しなどで証明することになります。静岡県の場合は、納税証明書に「課税実績なし」等の文言が記載されて発行されるため、”納税証明書の省略はできない”ということになっています(手びき記載、「課税実績なし」記載の納税証明書を提出すればOKです)。
まとめ
ここまで「建設業許可に必要な納税証明書とは?」について説明してきました。納税証明書は建設業許可の申請の添付書類の一つではありますが、意外と細かな注意点がたくさんあることがおわかりになったかと思います。納税証明書と聞くと、「税務署に行って納税した実績の証明書を発行してもらえばいいだよな」、と言わば住民票のような感覚で取得されると有効な納税証明書として受け付けてもらえず、再度、取得することになってしまいますので、今回ご紹介した記事をしっかり確認していただき、適正で有効な納税証明書を取得するようにしてください。建設業許可の申請に必要な書類は、様式のほかにこういった細かな添付書類が複数必要になってきますのでそれなりに面倒かもしれませんが、建設業許可を取得するため、一つ一つ確実に揃えるようにしましょう。