建設業許可の取得に必要な財産的基礎条件とは?

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建設業許可を取るために必要な許可条件7つの中に「財産的基礎条件」があります。これは、建設業許可を取るためには、一定の資金能力があることが求められているからですが、今回はこの財産的基礎条件とはどういったことか、具体的にどのような書類が必要になっていくか、更に詳しく説明してきます。

この記事では次の項目に分けてわかりやすく解説していきます。

1 許可を取得するには500万円以上の資金能力が必要!
2 口座残高証明書か資本金で証明
3 原則、許可取得後は500万円以上の証明は不要(例外あり)

※ここでは許可取得のうち、ほとんどが一般許可であることから、一般許可を前提に話を進めていきます。特定許可の場合条件が異なりますので、記事にもその都度例外として説明していますが、特定許可の取得を検討されている方は、特定許可について詳しく解説した記事を参考にしてください。

1 許可を取得するには500万円以上の資金能力が必要!

建設業許可の条件の1つである「財産的基礎条件」について詳しくお話する前に、ここでもう一度許可条件7つについて確認しておきましょう。

条件① 経営業務の管理責任者がいること。(←「人」に関する条件)
条件② 専任技術者がいること。     (←「人」に関する条件)
条件③ 誠実性があること
条件④ 財産的基礎条件         (←「お金」に関する条件)
条件⑤ 欠格要件
条件⑥ 適正な社会保険の加入
条件⑦ 実態として適切な営業所があること

このように7つある条件の中でも、特にお金に関する条件がこの「財産的基礎条件」となります。
建設業許可を取得するためには、ある一定の資金能力があることが求められています(このことを建設業法上「財産的基礎等」といいます。都道府県の手引きではこの用語で解説されていることがほとんどです。静岡県の手びきでも「財産的基礎等」と記載されています。)。この一定の資金能力、財産的基礎等の金額「500万円」以上を証明することができれば、許可条件7つのうちの大きな条件1つをクリアすることができます。では、どのようにして証明するのかを見ていきましょう。

  • 500万円以上の銀行の残高証明書
  • 自己資本金500万円以上を貸借対照表等で証明

次にこの2つの証明方法についてさらに具体的に解説していきます。

2 口座残高証明書か資本金で証明

500万円以上の銀行の残高証明書

まず、一つめの証明方法として、銀行の残高証明書で証明する方法です。銀行口座に500万円以上あることが証明できればそれで条件クリアとなります。許可申請時に500万円以上口座にある状態で銀行に預金残高証明書を発行してもらいましょう。預金通帳のコピーでも受け付けてくれる自治体も一部ありますが、ダメな自治体も多く、原則、預金残高証明書を用意するようにしてください。ただ、預金残高証明書は取得日数、手数料がそれなりにかかりますので、事前に銀行に確認することをオススメします。
なお、預金残高証明書の発行日は各自治体によって異なりますが、申請日当日から起算して1か月以内、4週間以内といった条件が多いので(静岡県は発行日から1か月以内)、取得日が早すぎるのもダメですので、許可申請のタイミングを考えて取得するようにしましょう

自己資本金500万円以上を貸借対照表等で証明

次に、二つめの証明方法として、決算時の財務諸表のうちの「貸借対照表」で自己資本金500万円以上を証明する方法があります。残高証明書で証明する方法が証明方法としては簡単ですが、自己資本金500万円以上であることを証明する方法でも問題ありません。
証明できるかどうかは、下記自己資本金額が500万円以上であればOKです。
貸借対照表の自己資本金500万円以上で証明する場合、根拠資料となる直近の決算書を根拠資料として添付する必要がありますので、申請時には忘れずに提出するようにしましょう

(法人のケース)
貸借対照表における純資産の部の純資産額(会社設立時であれば資本金額)

(個人のケース)
貸借対照表における期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計金額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額(※)

※期首資本金+事業主借勘定+事業主利益…①
 事業主貸勘定の額…②
 利益留保性の引当金+準備金…③
 個人事業主における自己資本金額 ①-②+③

3 原則、許可取得後は500万円以上の証明は不要(例外あり)

今まで説明してきました資金能力が500万円以上の条件はあくまで許可申請時の条件であって、その後、銀行の残高が500万円を下回ったとしても問題ありあせん。また、5年後の許可更新時にも500万円以上を証明する必要はありません。これは、許可更新時は、すでに建設業として5年間の営業実績があり、更新を申請できるということは十分な資金力がある会社として認めてもよいという考えからきているからです。
ただし、一般許可ではなく、特定建設業許可の場合は更新時も資金力の証明が必要となっていますので、注意してください。

◇特定建設業許可の場合は500万円ではダメなんです!
冒頭にも申し上げたとおり、ここまで一般建設業許可の条件で解説してきましたが、実は特定建設業許可の場合はさらに厳しい資金能力が求められています。許可取得を希望される方の9割は一般建設業許可だと思いますが、特定建設業許可の取得を希望される方は注意が必要です。
特定建設業許可の場合は、下記4つの条件をすべてクリアしないといけません。
①資本金が2,000万円以上
②自己資本金4,000万円以上
③欠損の額が資本金の20%を超えていない(20%以下ならOK)
④流動比率が75%以上

どうですか、一般建設業許可に比べると非常に厳しい条件かと思います。特定建設業許可の取得を考えている方は、今一度、自社の財務状況を確認し、上記4つの条件がクリアできるか調べてみてください。

◇許可取得後はずっと500万円以上をキープしなければいけない!?
基本的に、建設業許可を取得できた後は財産的基礎条件である500万円以上の資金能力についてずっとキープする必要はありません。資金能力の条件はあくまで新規に許可を取得する際の条件であり、それをキープする、維持することは条件となっていません。
このため、万一、許可取得後に資金繰りが悪化し自己資本金500万円を下回ったとしても、これを理由として直ぐに許可が取り消されるということはありません。

~例外~特定建設業許可の場合は注意が必要です!
特定建設業許可についても一般建設業許可と同じで、許可取得後に財産的基礎条件を満たさなくなったとしても、このことを理由に直ぐに許可が取り消されるということはありませんが、特定建設業許可の場合は、更新の都度、財産的基礎条件について審査されることになっています。つまり、特定建設業許可では、財産的基礎条件が更新の条件の一つとなっているのです。

一般、特定、いずれにせよ、常に資金能力の条件をキープしていなければならないわけではありません。これについては下記のとおり国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」にも記載されておりますので参考としてください。

~国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」~
「本号(財産的基礎条件)の基準に適合するか否かは当該許可を行う際に判断するものであり、許可をした後にこの基準を適合しないこととなっても直ちに当該許可の効力に影響を及ぼすものではない(法第15条第3号の基準について同じ。)。」

「許可の取得に必要な財産的基礎条件」のまとめ

以上、建設業許可を取るために必要な許可条件7つの中の一つ「財産的基礎条件」について説明してきました。建設業許可の取得条件は7つありますが、そのうちお金に関することが条件となっているのは、この財産的基礎条件だけです500万円以上が許可取得時にどうして必要か、と申しますと建設業法において建設業を適正に営んでいくために最低限必要な資金力と考えられているからです
この許可条件は500万円以上あることを証明さえすれば他の許可条件に比べ比較的容易にクリアーできる条件ですので、どうしても用意できない場合は、融資等の方法により用意することも検討してみてください。ただし、今後、建設業を安定的、長期的に営業していくためには、やはり建設業の経営に必要な資金能力が求められますので、許可取得に際し余裕を持った資金計画をたてておくことが大切です。

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