建設業許可の専任技術者の条件とは?どこよりも詳しく解説します!

建設業許可代行

今回は、建設業許可を取得するために必要な条件7つのうち、特に重要な条件の一つ「専任技術者」(通称、専技(せんぎ))について、今回はどこよりもわかりやすく、徹底的に解説していきます。

【今回の記事のポイント】
○専任技術者って?建設業許可をとるために必要な技術者です!
○専任技術者の条件とは?国家資格か実務経験10年が必要です!
○専任技術者は営業所への常勤性が求められています!

専任技術者って?建設業許可をとるために必要な技術者です!

→ 建設業許可を取得するには絶対必要な人です!

専任技術者、通称「せんぎ」と言われるこの技術者ですが、実際どういった役割を担っているのでしょうか。専任技術者には、工事の請負契約を適切な契約内容で契約し、その工事を契約どおりに進めるといった役割が課せられています。つまり、依頼があった見積の作成、締結した契約に関連する各種手続、発注者との連絡調整等、工事現場というより営業所において、このような細かな事務手続を行うために営業所に常駐する必要があるんです。

そして、この専任技術者は建設業許可取得の条件の一つでありますので、必ず配置しなければなりません。ここで建設業許可取得の条件7つを再度確認してみましょう

条件① 経営業務の管理責任者がいること (←「人」に関する条件)
条件② 専任技術者がいること      (←「人」に関する条件)
条件③ 誠実性
条件④ 財産的基礎条件         (←「お金」に関する条件)
条件⑤ 欠格要件
条件⑥ 適正な社会保険の加入
条件⑦ 実態として適切な営業所があること

このように建設業許可取得の条件は6つありますが、この専任技術者は特に「人」に関する重要な条件2つのうちの1つです。また、専任技術者は建設業法第15条2に「営業所ごと」と定められていますので、必ず「各営業所ごとに1人以上」の専任技術者を確保することが必要です。つまり、営業所が3箇所あれば、最低でも3人以上の専任技術者が必要ということになります。万一、許可取得後に勤務していた専任技術者が退職した場合、建設業許可の条件を維持できなくなってしまいます。その場合は、期間を空けず代わりの専任技術者をその営業所に配置する必要がありますので、計画的に専任技術者の採用、育成をしておくことも大切です。

専任技術者の条件とは?

→ 原則、資格か実務経験10年が必要です!

専任技術者はさきほど説明したとおり営業所への常勤性が求められているほか、下記のとおり資格や実務経験の条件を満たすことが必要となっています。

【専任技術者となるための条件】
①国家資格を取得している
②実務経験が10年以上ある ※特定の学科、学歴により期間短縮となるケースもあり

この条件は、①か②のいずれかをみたせばOKです。対象者は必ずしも役員である必要はなく、従業員で建築士2級を持っているとか、実務経験が既に10年ある、ということであればこの条件はクリアできます。ただし、ほかの記事でも説明しましたが、この条件をクリアしていることを書類で証明する、「役所の求めている書類を用意して提出する」、このことが実は非常に難しかったりしますので、条件がクリアしているからといって直ぐに許可が取れると思わず、書類が準備できるかまで確認するようにしましょう。

①国家資格を取得している

まず一つ目の条件、「国家資格」を取得している、ですが、こちらは建設業法施行規則に定められています。国土交通省のホームページにこれらをまとめた見やすい表がpdfとなっていますので、そちらで確認するとよいでしょう。
リンク先はこちら

こちらの表を見ていただくとおわかりのとおり、各業種ごとに認められる資格が詳細に定められていますので、お持ちの資格が認められる資格か否か表を見て確認するようにしてください。例えば、建築業法の資格の場合、2級建築施工管理技士(2級以上)、2級建設機械施工技士などはそれぞれ建築、土木で許可が取れるということがこの表からわかります。

②実務経験が10年以上ある

続いて二つ目の取得条件である「実務経験が10年以上ある」についてです。こちらは取りたい業種で10年以上の実務経験、現場経験があれば専任技術者として認められるという制度です。つまり、10年以上その仕事をしていれば、国家資格取得者と同等の知識、能力があるだろう、また、職人として一人前、ということです。
ここで少し注意が必要なポイントがあります。10年以上の「建築」と「内装」の実務経験がある場合、10年の実務経験で「建築」と「内装」の両方の許可を取るといったことができないのです。実はこの「実務経験10年以上」というみなし専任技術者の制度は、1業種10年となっており、2業種なら20年、3業種なら30年以上、それぞれ実務経験が必要となっていることに注意してください。(一部例外もあります。)

※特定の学科、学歴により期間短縮となるケースがあります!
さらにこの「実務経験10年以上」には、なんと予め定められた学科を卒業するとこの「実務経験10年以上」のルールが短縮されるという、許可を取りたい方にとってうれしい制度があります。それは、高校で指定学科を履修し卒業していれば最低5年、大学で指定学科を履修し卒業していれば最低3年の実務経験があれば、専任技術者として認められるという制度になります。
高校卒業(指定学科履修)…実務経験5年以上
大学卒業(指定学科履修)…実務経験3年以上
なお、この予め定められた「指定学科」については「建設業法施行規則第1条」で定められていますが、国土交通省のHPにも掲載されていますので確認してみてください。
リンク先はこちら

この指定学科についてはこちらの表に記載のない学科や微妙に学科名が異なるケースでも認められることもありますので、疑義が生じた際は役所の担当者に事前に確認してみましょう。

※【注意1】特定建設業の許可では、実務経験クリアだけではNG!
ここまで一般建設業許可について説明してきましたが、特定建設業許可の場合は、前記一般建設業許可の条件クリアに加え、「元請として受注した4,500万円以上の工事において、指導監督的な実務経験が2年以上」という条件が必要となっています。
(参考)特定建設業許可の条件
発注者から直接請け負った工事で、下請に出すときの工事金額が4,000万円(建築一式の場合は6,000万円)以上の場合、特定建設業許可が必要です。

※【注意2】特定建設業許可の指導監督的な実務経験をクリアしてもNGなケース!
注意1では特定建設業許可ではさらに指導監督的な実務経験が2年以上必要という追加の条件を説明しましたが、さらに例外の条件があります。それは、「指定建設業では指導監督的な実務経験2年では認められない。」ということです。つまり、指定建設業7業種の場合、前記注意1の 「元請として受注した4,500万円以上の工事において、指導監督的な実務経験が2年以上」をクリアしても、専任技術者として認めらないのです。従って、指定建設業で専任技術者の条件をクリアするには、「国家資格を取得するしかない。」ということになります。
(参考)指定建設業7業種とは・・・、
土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種です。

※【注意3】国家資格も持っているけど、実務経験もクリアしている、どっちで証明?
もし、あなたが許可申請をしようとして、自社に国家資格をもっていて、なおかつ、実務経験が10年以上ある役員、従業員がいる場合、どちらで許可取得の証明をするのがよいのでしょうか。
結論から申し上げます。必ず「国家資格」の方で証明しましょう。なぜなら「実務経験10年以上」の証明はとても骨の折れることだからです。とっても大変です。自治体によって証明書類のルールが異なりますが、その業種の実務経験が10年あることを証明するため、10年分の工事契約書、注文書、請け書等を集める必要があるからです。どうです?10年前の書類、直ぐ用意できますか?一方、国家資格の証明はいたって簡単です。こちらは「国家資格合格書のコピー」を提出するだけです。もしあなたが、国家資格を持っていて、実務経験も10年以上あったとしても、迷わず国家資格で証明するようにしましょう。

専任技術者は営業所への常勤性が求められています!

専任技術者は、「専任」という名称が冠されているとおり、各営業所に専属で勤務することが求められています。そして専属で勤務すると言うことは、営業時間中は常にその営業所の専任技術者として勤務することが求められています。つまり、このような状況のことを「常勤性」と言います。よって、専任技術者は2つの営業所を兼務したり、他社の営業所と掛け持ちでみたりするようなことはできません。また、通勤時間が4時間もかかるなど、常識的に考えて通勤不可能な営業所で勤務することもできません。
なお、専任技術者はその営業所の専任、専属の技術者として、常勤性が求められていますが、逆を言えば、専任、常勤性を満たしてさえいれば、他社からの出向者や派遣者、任期付社員と言った身分の者でも専任技術者になることは可能です。また、常勤性を判断する一つの目安として、社会保険への加入の有無、つまりその会社名で保険証が発行されているか、ということも挙げられます。社会保険への加入には、一定の条件があり、労働時間の短いパート、アルバイト従業員の方は加入できません。加入するには、労働時間、契約期間等の条件がありますが、当然、その会社への常勤性が必要となっています。

※専任技術者は工事現場にでることはできない!?実は、例外があります。
専任技術者には、工事の請負契約を適切な契約内容で契約し、その工事を契約どおりに進めるために仕事をする役割があり、見積の作成、契約に関連する手続、発注者との連絡調整など、工事現場というよりその営業所において事務手続を行うために営業所に常駐する必要があります。このため、建設業法では専任技術者は原則「工事現場にでてはいけない」という考え方となっています。専任技術者が現場へ出て仕事をするとなると営業所への専任性、常勤性を満たすことができなくなるからです。
ただし、このようなルールを厳格に運用するとなると一人親方や従業員が2,3人といった少数、小規模の建設業者は、実際のところ仕事ができなくなってしまいます。このため、次の条件を全て満たす場合に限り、例外として、専任技術者が現場に出ることが認められています。
・現場への専任性が求められてないこと。
・専任技術者の所属する営業所で契約した工事であること。
・専任技術者として適正に職務ができる範囲の近隣の工事現場であること。
・所属する営業所と常時連絡がとれる状態であること。

※さらに注意!専任技術者が絶対に出られない現場とは!
専任技術者は上記の条件を満たせば、現場に出ることができますが、実は、絶対に出ることができない現場があります。それは「専任性が求められる現場」、具体的には、公共性がある工事で請負金額が3,500万円(建築一式の場合7,000万円)以上の工事の現場です。この専任性が求められる現場では、前記の例外条件を全てクリアしたとしても絶対に現場に出ることはできませんので特に注意してください。

まとめ

以上、今回は建設業許可取得条件の一つである「専任技術者」について解説してきました。専任技術者は許可取得条件6つのうち、「経営業務の管理責任者」と並んで人に関わる重要な条件です。許可を取ろうと思ったら、まずは、専任技術者を配置できるか、ということが絶対必要となってきます。記事の中にも触れてきましたが、専任技術者は常勤性を満たせば出向者や派遣者といった自社社員でなくても配置することは可能ですので、自社で該当者がいない場合は他社から一時的に招き入れる方法を検討してみるのもよいでしょう。しかし、まずは自社社員を計画的に教育することで、国家資格を取得し、許可が早期に取得できるよう、一つ一つ条件やその内容を理解するなど、着実に準備していくことが大切です。

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